よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【資料No.1】2.4_非臨床試験の概括資料 (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26901.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第3回 7/20)、医薬品第二部会(令和4年度第6回 7/20)(合同開催)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

S-217622

2.4 非臨床の概括評価

(CC50) は > 100 µmol/L 及び 55 µmol/L であり,S-217622 フマル酸共結晶はスパイクタンパク質
に変異が認められている複数の臨床分離株及びマウス馴化株に対して抗 SARS-CoV-2 活性を有
し,臨床分離株及びマウス馴化株に対する感受性の違いは株間で小さいこと,並びに細胞障害
を起こす濃度より極めて低い濃度で抗 SARS-CoV-2 活性を有することが示された.ヒト鼻腔由
来細胞の MucilAir™においても S-217622 フマル酸共結晶の EC50,EC90,EC99 及び EC99.9 は感染
2 日後ではそれぞれ 0.0177,0.0514,0.121 及び 0.266 µmol/L,感染 3 日後ではそれぞれ 0.0570,
0.117,0.207,0.329 µmol/L を示し,ヒトプライマリー気道上皮細胞 (hAEC) においても抗 SARSCoV-2 活性を有することが示された (2.6.2.2.1.2 項参照).また S-217622 フマル酸共結晶はレム
デシビル,EIDD-1931 (モルヌピラビルの親化合物) 並びに PF-07321332 と併用することにより
相加的な,また REGN-COV2 と併用することにより相加から相乗的なウイルス増殖抑制効果を
示した (2.6.2.2.1.7 項参照).S-217622 フマル酸共結晶の抗 SARS-CoV-2 活性に対するヒト血清
及びマウス血清の影響を検討した結果,血清添加による抗 SARS-CoV-2 活性の potency shift が
みられ,100%ヒト血清及び 100%マウス血清存在下での S-217622 フマル酸共結晶の推定の
protein-adjusted EC50 (PA-EC50) はそれぞれ 3.02 µmol/L 及び 3.93 µmol/L であり,血清非存在下の
ときの抗 SARS-CoV-2 活性と比較すると,potency shift はどちらも 6 倍であった.以上の結果よ
り,S-217622 フマル酸共結晶では血清による抗 SARS-CoV-2 活性への影響はヒト,マウス血清
で同程度であることが示された (2.6.2.2.1.3 項参照).
2.4.2.1.3

In vivo 活性

In vivo 評価では,SARS-CoV-2 ガンマ株 (Pango lineage P1: hCoV-19/Japan/TY7-501/2021 株) を
経鼻接種したマウス感染モデルを用いて,感染直後又は感染 24 時間後に S-217622 フマル酸共
結晶を投与開始した際の抗ウイルス効果について,肺内ウイルス力価を指標に検討した.その
結果,感染直後及び 24 時間後に投与開始したいずれの場合でも,用量依存的に肺内ウイルス力
価の低下が認められ,S-217622 フマル酸共結晶はマウスにおいて,ウイルス複製を阻害すると
考えられた (2.6.2.2.2.1 項及び 2.6.2.2.2.2 項参照).また,重篤な新型コロナウイルス感染症では
死に至る場合もあることから,マウスに馴化した SARS-CoV-2 株を感染させたマウス致死モデ
ルを用いて,感染から 14 日間の体重変化率,生存率及び生存期間を確認した.感染 24 時間後
から S-217622 フマル酸共結晶を 4,8,16 及び 32 mg/kg の用量で 12 時間ごとに 1 日 2 回の 5日
間経口投与を実施した結果,感染 14 日後における生存率は,媒体対照群では 37.5%,4 mg/kg 投
与群では 91.7%,8,16 及び 32 mg/kg 投与群では 100%であり,S-217622 フマル酸共結晶投与に
より生存期間が有意に延長し,感染に伴う体重減少が用量依存的に抑制された (2.6.2.2.2.3 項参
照).以上の結果から,S-217622 フマル酸共結晶はマウスにおける SARS-CoV-2 感染に伴う病態
進展を抑制するものと考えられた.
2.4.2.1.4

臨床で有効性が期待できる血漿中濃度

SARS-CoV-2 感染 24 時間後のマウスに S-217622 フマル酸共結晶を投与開始した際,用量依
存的に肺内ウイルス力価の低下が認められた (2.6.2.2.2.2 項参照).薬物動態学 (PK)/薬力学
(PD) 解析から,初回投与から 48 時間後の肺内ウイルス力価の低下量と良好に相関する
9