よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料3-3:小室委員提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27052.html
出典情報 循環器病対策推進協議会(第8回 7/29)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

難治性心血管病・脳血管病におけるゲノム・オミックス研究

➢実診療における現状
難治性心血管病・脳血管病の遺伝子異常検出は原因の特定そのものであり、診断と治療選択に直結

✓大動脈解離の原因となるMarfan症候群、突然死の原因になるQT延⾧症候群、異常タンパクが心臓に蓄積する心アミロイドーシス、糖脂質が心臓に蓄積する心Fabry病、
脳血管難治性疾患CADASIL/CARASIL 5疾患保険収載済
✓米国臨床遺伝学会(ACMG)は、臨床的に対応が取れるので無症状でも異常を現場に告知すべき遺伝子として計73遺伝子を指定している
その内 心血管病33遺伝子、がん28遺伝子

➢遺伝子診断のメリット
●ゲノムガイドの最適治療選択が可能になる

遺伝子解析で診断→最適治療を選択できる
心Fabry病;特定の変異陽性者に効く新薬migalastatを早期投与することで全例で病状改善
心アミロイドーシス;遺伝子変異があるとsiRNA治療が可能
QT延⾧症候群1型にはβ遮断薬、3型にはメキシレチンが著効、遺伝子診断に基づいて治療選択すると年間死亡率は10.3%➔0.7%へと劇的改善

●重症化群、積極治療すべき群を予知できる

ラミンによる拡張型心筋症(DCM)では突然死が多い→ヨーロッパの診療ガイドラインでは除細動器植込みが推奨
本邦でもラミンDCMでは37%症例で50才までに心移植あるいは死亡

●一見健常でも遺伝子変化を持っている人は環境リスクの影響を受けて心不全になりやすい

タイチン遺伝子変異があると、アルコールや抗がん剤などのストレスで心不全に陥りやすい、デスモソーム遺伝子変化があると運動負荷でARVC心筋症を発症しやすい
→遺伝子を調べることで、一見健常者の中から強力に予防策を取るべき症例を選抜することができる

●難治性脳血管病「もやもや病」で発見されたRNF213遺伝子多型は一般の脳卒中・全身の心血管病の予測マーカー

RNF多型は薬効マーカーでもあり、RNF213 R4810K(+)患者に対して脂質異常症治療薬スタチンを早期投与すると頭蓋内動脈狭窄進行抑制、発症予防が可能 (上図)

●親から子(次世代)へと遺伝、兄弟間で同じ変異を持つ→血縁者の発症予測が可能:これはがんゲノムとの大きな違い

→変異がある血縁者には年一回のフォローアップ、生活指導、運動制限や合併症予防を積極的におこなうのに対し、変異がない血縁者では年一回のフォローアップ検査が不要になる

➢今後注力すべき課題

✓原因遺伝子変異 肥大型心筋症(HCM)の 60%, DCMの 40%, Brugada型若年性突然死の 10%でしかわかっていない
→疾患レジストリーでの遺伝子解析、全国でデータシェアリング、新しい遺伝子異常をさらに見つけて100%に限りなく近づける
✓既にわかっている遺伝子異常→予後や治療反応性との対応関係を検証、遺伝子検査を導入すると医療がどのように改善するのか明らかにする