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費ー1参考3-2○制度見直しに関する検討(その2)について (38 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000182080_00016.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会(第65回 10/4)《厚生労働省》 |
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諸外国における費用対効果の閾値設定の動向
(研究分担者 池田俊也 国際医療福祉大学)
参考資料7
3.英国
英国NICE では、Technology Appraisal において永らく20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY と、幅を持たせた閾値が使用され
ていた。2013 年4 月の「Guide to the methods of technologyappraisal 2013」では、閾値を20,000 ポンドよりも緩和する
ことを検討する条件として、1、推計された増分費用効果比(ICER)の不確実性程度、2、健康関連QOL の変化の評価が不十
分であり、そのため得られる健康上の有用性を誤って表現している可能性、3、技術の革新性が基本分析におけるQALY で十分に捉
えられていない場合、4、「終末期における延命治療」(End of life)の条件を満たす場合、5、NHS の非健康目標に関連する側面、
の5 点を挙げている。
「終末期における延命治療」の条件には、その治療法の平均余命が短く、通常24 ヶ月未満であること、その治療が、現在のNHS の治
療と比較して、通常、少なくとも3 ヶ月の平均値の延命を提供する見込みがあること、などが含まれていた。
2020 年11 月6 日に「The NICE methods of health technology evaluation: the case for change」が公表され、これま
でのガイダンスの変更が提案された。この中で、重症度に応じて閾値を緩和するための閾値緩和係数(modifier)を導入することが提案
された。
QALY 不足量は、ある疾患を持つ人々が現在の治療によって残りの生涯に得られると期待されるQALY の合計から、同じ年齢と性別に
分布する一般集団が得られると期待されるQALY の合計を差し引いたものとして計算される。現在の治療で期待されるQALYs は、
NHS で確立された診療で得られるQALYs の合計のことである。QALY 不足割合は、その疾患と共に生きる人々が失う、人生の質と長
さを含む将来の健康の割合を表す。これはQALY 不足量を、「同じ年齢と性別の分布を持つ一般集団が残りの生涯に期待される
QALY」で割って算出される。
この提案に対し同年10 月13 日までコンサルテーションが行われ、これを踏まえ2022 年1 月31日に 「NICE health technology
evaluations:the manual」が公表された。本マニュアルでは、標準的な閾値は20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY として上で、
表1に示すように、QALY 不足量とQALY 不足割合で評価された重症度に応じてQALY に調整係数を乗じ、閾値を緩和することとし
ている。QALY 不足量が12~18 の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が18 以上の場合は調整係数を1.7 とする。また、QALY
不足割合が0.85~0.95の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が0.95 以上の場合は調整係数を1.7 とする。いずれにも当ては
まる場合には調整係数は大きい方が採用される。
なお、Technology appraisal ではなくHighly specialized technology で評価される医療技術については、100,000 ポンド
/QALY の閾値が適用される。
38
出所: 2021 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事業)「医薬品・医療機器等の 費用対効果評価における公的分析と公的意思決定方法に関する研究」2021年度総括
研究報告書(研究代表 福田敬)2022年3月
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202101016A-buntan1_0.pdf
(研究分担者 池田俊也 国際医療福祉大学)
参考資料7
3.英国
英国NICE では、Technology Appraisal において永らく20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY と、幅を持たせた閾値が使用され
ていた。2013 年4 月の「Guide to the methods of technologyappraisal 2013」では、閾値を20,000 ポンドよりも緩和する
ことを検討する条件として、1、推計された増分費用効果比(ICER)の不確実性程度、2、健康関連QOL の変化の評価が不十
分であり、そのため得られる健康上の有用性を誤って表現している可能性、3、技術の革新性が基本分析におけるQALY で十分に捉
えられていない場合、4、「終末期における延命治療」(End of life)の条件を満たす場合、5、NHS の非健康目標に関連する側面、
の5 点を挙げている。
「終末期における延命治療」の条件には、その治療法の平均余命が短く、通常24 ヶ月未満であること、その治療が、現在のNHS の治
療と比較して、通常、少なくとも3 ヶ月の平均値の延命を提供する見込みがあること、などが含まれていた。
2020 年11 月6 日に「The NICE methods of health technology evaluation: the case for change」が公表され、これま
でのガイダンスの変更が提案された。この中で、重症度に応じて閾値を緩和するための閾値緩和係数(modifier)を導入することが提案
された。
QALY 不足量は、ある疾患を持つ人々が現在の治療によって残りの生涯に得られると期待されるQALY の合計から、同じ年齢と性別に
分布する一般集団が得られると期待されるQALY の合計を差し引いたものとして計算される。現在の治療で期待されるQALYs は、
NHS で確立された診療で得られるQALYs の合計のことである。QALY 不足割合は、その疾患と共に生きる人々が失う、人生の質と長
さを含む将来の健康の割合を表す。これはQALY 不足量を、「同じ年齢と性別の分布を持つ一般集団が残りの生涯に期待される
QALY」で割って算出される。
この提案に対し同年10 月13 日までコンサルテーションが行われ、これを踏まえ2022 年1 月31日に 「NICE health technology
evaluations:the manual」が公表された。本マニュアルでは、標準的な閾値は20,000 ポンド~30,000 ポンド/QALY として上で、
表1に示すように、QALY 不足量とQALY 不足割合で評価された重症度に応じてQALY に調整係数を乗じ、閾値を緩和することとし
ている。QALY 不足量が12~18 の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が18 以上の場合は調整係数を1.7 とする。また、QALY
不足割合が0.85~0.95の場合は調整係数を1.2、QALY 不足量が0.95 以上の場合は調整係数を1.7 とする。いずれにも当ては
まる場合には調整係数は大きい方が採用される。
なお、Technology appraisal ではなくHighly specialized technology で評価される医療技術については、100,000 ポンド
/QALY の閾値が適用される。
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出所: 2021 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(政策科学総合研究事業)「医薬品・医療機器等の 費用対効果評価における公的分析と公的意思決定方法に関する研究」2021年度総括
研究報告書(研究代表 福田敬)2022年3月
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202101016A-buntan1_0.pdf