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【古谷委員提出資料】 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35769.html
出典情報 社会保障審議会介護給付費分科会(第229回 10/26)《厚生労働省》
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Ⅰ 重点事項
1. 基本報酬の増額
本会が毎年度実施している特別養護老人ホーム等の決算値に関する調査(以下、「収支
状況等調査」という)の令和4年度速報値によれば、回答を得た1,600の特養のうち、
赤字施設の割合(補助金除く)は、令和3年度で43.0%であったものが62.0%と
大きく増加した。過去漸減傾向であった収支差率(補助金除く)は、△2.8%と初めて
のマイナスとなり落ち込み幅も大きい。また特養に併設する通所介護においても収支差
率(補助金除く)は△5.0%、補助金を含めても△3.6%となっていることが明らか
になった。
介護保険事業は、収益の殆どが公定価格である介護報酬であり、経費増を価格に転嫁で
きないため、もはや施設の経営努力だけでは限界に来ている。このままでは事業継続自体
が困難となり介護事業を休止・廃止する事業者の増加が危惧され、事業撤退による地域の
介護基盤が崩壊してしまうことを強く懸念する。
介護保険制度の安定性・持続可能性を維持するためには、介護事業者の事業継続が可能
となる介護報酬の適切な設定が必要不可欠である。
これらのことから令和6年度介護報酬改定においては、地域の介護基盤が継続できる
よう物価・賃金の上昇に見合う大幅な基本報酬の増額を行っていただきたい。
また、インフレ経済下において介護保険サービス事業者の経営の安定化に資するため、
介護報酬改定サイクルの中間年においては、賃金スライド及び物価スライドの導入を検
討していただきたい。

2.介護従事者の処遇改善
これまで介護施設・事業所としても自助努力による処遇改善に取り組んできたが、公定
価格である以上改善には限界がある。高齢者福祉・介護施設の令和5年度の平均賃上げ率
は1.42%(※1)となっており、春闘の賃上げ率3.58%を大きく下回っているこ
とが明らかになった。これにより、介護職員の平均月額賃金と全産業平均との差額が令和
4年に6.8万円(※2)であったものが、更に拡大する見込みになった。
(※1)令和4年度賃金構造基本統計調査(厚労省)及び賃上げ及び物価高騰状況
調査(全老健・老施協・GH 協・介護医療院の合同実施)を基に算出
(※2)賃金構造基本統計調査を基にした厚生労働省による試算
このような中、介護現場からの離職者が顕著に増加しており、他業種への流出も多くみ
られる。特に経験を有する中堅の人材の離職率は50%近く増加し、これまで経験したこ
とのない、事業継続への危機が生じている。このため、介護現場で勤務する職員の処遇改
善について、他業界と遜色のない賃上げが実現できる大幅な改定をお願いしたい。

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