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資  料 3-2 令和5年度第1回適正使用調査会の概要について (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38341.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会運営委員会(令和5年度第4回 3/13)《厚生労働省》
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遠隔地では緊急輸血への対応と血液製剤の有効利用の課題として、「自治体、医療
機関、地域全体で工夫を提案するが、全国画一的な建前を血液センターが提示しかみ
合わない」、「自治体と話し合いの場がない」「日本医師会、日本政府が要請しても、
費用と供給量を理由に、離島僻地の血液供給体制が改善されない」等があり、具体的
な対策が必要である。その一つに小笠原諸島で実用化されているブラッドローテーシ
ョン(BR)の応用が挙げられる(図 16)。BR とは医療機関に定期的に輸血用血液を搬
送し、一定期間在庫血として運用後、未使用の血液を血液センターが回収し、地域の
中核病院へ再出庫することにより有効利用を図るシステムである。将来的に搬送でき
る血液製剤の種類を増やし、地域での BR 支援体制を推進することがより有効な対策
となる可能性がある。
【考察】
離島は九州以西を中心に 12 都道県、へき地は全国に分布しており、それらの地域
での問題点は日本全体の課題と捉えて対策を考えるべきであろう。遠隔地では小規模
施設であっても二次救急などの医療機能を担う比率が他の地域よりも高く、輸血管理
体制の整備率・輸血管理料の取得率とも若干高いことに影響していると考えられた。
但し、20 床未満の施設では輸血責任医師や輸血担当技師の配置率は低かった。一方、
1 施設当たりの RBC 使用量はへき地で少なく、輸血患者数はへき地・離島とも少なく、
RBC の廃棄率は高かった。へき地・離島での診療科別の RBC 使用量は内科(血液内科、
消化器内科等の診療科目別分類に含まれる内科以外)、救急科、整形外科、消化器内
科での使用が多く、その他の地域とは異なっていることが廃棄率の高さの要因と考え
られた。
緊急避難的な血液製剤融通は離島施設の約 1/4 で実績があり、特に高度な医療機
能や輸血使用量の多さとの関連が推測された。しかし。緊急避難的な血液融通の需要
があると回答した施設でも合同輸血療法委員会への参加は少なく、地域での輸血医療
連携の検討はさらに少なかった。各県の地域医療構想では二次医療圏毎に病院の機能
分化と連携を進め、なるべく地域で完結する医療を目指す方向性が示されており、合
同輸血療法委員会と地域医療計画・地域医療構想調整会議との連携の推進が極めて重
要と思われる。また、離島・へき地ともブラッドローテーションの希望が予想より少
なかった。これは、対象製剤が RBC に限定され外傷などの急性出血への対応に限界が
あることや搬送費用・搬送容器等の追加費用発生が影響した可能性が考えられ、引き
続き、ブラッドローテーションの標準化について検討する必要がある。海外で一部臨
床使用されている冷蔵血小板や凍結乾燥血漿、日本で臨床研究が進められている人工
赤血球やドローン等を利用した新たな血液製剤の搬送システムなどの臨床応用にも
期待したい。新たに承認された冷凍赤血球製剤の活用の是非についても,検討が必要
である。
「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の基本理念には「国、地方公
共団体その他の関係者は、この法律に基づく施策の策定及び実施に当たっては、公正
の確保及び透明性の向上が図られるよう努めなければならない」と記載されている。
そして、血液製剤の安定供給の確保は国および採血事業者の責務となっている。へき
地・離島の施設では緊急輸血への対応に困難を抱え、血液製剤の緊急避難的融通が実
施されており、医療関係者の責務である血液製剤の適正使用が果たされるように国・
地方自治体・血液センターが支援を尽くすことが求められる。
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