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2024年度介護報酬改定に関するアンケート調査(前編) (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.wam.go.jp/hp/keiei-report-r6/ |
出典情報 | 2024年度介護報酬改定に関するアンケート調査(前編)(11/20)《福祉医療機構》 |
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2024-004
加算(Ⅰ)の算定率がもっとも高いのは、特養
を対象として、開設主体の大半7を占める社会福
で 79.6%であった。特養以外の施設・事業をみ
祉法人と営利法人に絞って、新加算の算定率を
ると 60%前後が多く、もっとも低いのは介護医
みていきたい。
療院の 44.0%であった。施設・事業によって差
まず、通所介護の加算(Ⅰ)の算定率を確認し
はあるが、介護医療院を除き、加算(Ⅰ)・(Ⅱ)
たところ、社会福祉法人の 73.1%に対して、営
を合計すると、8~9 割程度を占めていた。
利法人は 31.9%と 4 割以上の開きがあった(図
この要因だが、新加算の加算率をみると、加
表 2)
。本アンケートでは今次改定前の介護職員
算(Ⅰ)・(Ⅱ)の差よりも、加算(Ⅱ)・(Ⅲ)
等特定処遇改善加算(Ⅰ)の算定率も聞いてい
の差が大きい5ことから、当面は加算(Ⅱ)まで
るが、社会福祉法人が 71.6%、営利法人が 29.9%
引き上げることに注力している施設・事業所が
であった。このことから、当該加算の算定状況
一定程度あるのかもしれない。算定の前提とな
がほぼそのまま新加算(Ⅰ)
・
(Ⅱ)の算定率へと
るキャリアパス要件をみても、加算(Ⅲ)は「昇
つながっているものと思われる。
給の仕組み」だけで要件を満たすのに対し、加
算(Ⅱ)では「経験・技能のある介護職員のうち
(図表 2)開設主体別 通所介護の介護職員
1 人以上は、賃金改善後の賃金額が年額 440 万
等処遇改善加算の算定状況
円以上」が求められている。制度の建付けとし
ても、仕組みだけでなく、実績を重視して加算
率が設定されているということであろう。
なお、図表 1 だが、8~9 割程度が加算(Ⅰ)・
営利法人
(n=251)
(Ⅱ)を算定しているが、加算(Ⅰ)の算定率が
4.5%
19.4%
73.1%
社会福祉法人
(n=465)
31.9%
46.2%
17.1%
6 割程度に留まっており、算定要件は少しハー
加算(Ⅰ)
加算(Ⅱ)
加算(Ⅲ)
ドルが高いという見方もできる。この点につい
加算(Ⅳ)
加算(Ⅴ)
算定していない
ては、後ほど詳しくみていきたい。
1.2
続いて、訪問介護の加算(Ⅰ)の算定率をみる
と、社会福祉法人の 68.3%に対して、営利法人
開設主体別の算定状況
は 50.0%と差が縮まる結果となった(図表 3)
。
新加算の算定率を開設主体別にみると、サー
ビスによっては差がみられる
また、加算(Ⅰ)
・
(Ⅱ)の算定率を合計すると、
社会福祉法人が 90.5%、営利法人は 91.0%でほ
前節で施設・事業別に新加算の算定率を確認
ぼ同水準となっている。この結果だが、訪問介
したが、介護業界では社会福祉法人、医療法人、
護員になるには、介護職員初任者研修を修了す
営利法人6、NPO 法人など多様な開設主体が、同
るなど一定の要件があることから、ある程度ベ
一の報酬体系のもとで施設・事業を運営してい
テランの職員が多いことが一因なのかもしれな
る。そうした開設主体の違いによって、新加算
い。
(公財)介護労働安定センターの調査8による
の算定状況には何か違いがあるかもしれない。
と、訪問介護員の平均年齢は 50.5 歳で、同調査
そこで、サンプル数の多い通所介護と訪問介護
における介護職員 46.7 歳よりも高い。こうした
5 特養の加算率の場合、
(Ⅰ)は 14.0%、(Ⅱ)は 13.6%、
(Ⅲ)は 11.3%
6 本稿においては、株式会社、有限会社、合同会社を指す
7 通所介護(n=778)の開設主体は、社会福祉法人(59.8%)と営利法人(32.3%)の合計で 92.0%を占める。訪問介護(n=312)の開
設主体は、社会福祉法人(53.5%)と営利法人(32.1%)の合計で 85.6%を占める。
8 (公財)介護労働安定センター「令和 5 年度介護労働実態調査」
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_roudousya_siryou1.pdf
Copyright ⓒ 2024Welfare And Medical Service Agency (WAM). All rights reserved.
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加算(Ⅰ)の算定率がもっとも高いのは、特養
を対象として、開設主体の大半7を占める社会福
で 79.6%であった。特養以外の施設・事業をみ
祉法人と営利法人に絞って、新加算の算定率を
ると 60%前後が多く、もっとも低いのは介護医
みていきたい。
療院の 44.0%であった。施設・事業によって差
まず、通所介護の加算(Ⅰ)の算定率を確認し
はあるが、介護医療院を除き、加算(Ⅰ)・(Ⅱ)
たところ、社会福祉法人の 73.1%に対して、営
を合計すると、8~9 割程度を占めていた。
利法人は 31.9%と 4 割以上の開きがあった(図
この要因だが、新加算の加算率をみると、加
表 2)
。本アンケートでは今次改定前の介護職員
算(Ⅰ)・(Ⅱ)の差よりも、加算(Ⅱ)・(Ⅲ)
等特定処遇改善加算(Ⅰ)の算定率も聞いてい
の差が大きい5ことから、当面は加算(Ⅱ)まで
るが、社会福祉法人が 71.6%、営利法人が 29.9%
引き上げることに注力している施設・事業所が
であった。このことから、当該加算の算定状況
一定程度あるのかもしれない。算定の前提とな
がほぼそのまま新加算(Ⅰ)
・
(Ⅱ)の算定率へと
るキャリアパス要件をみても、加算(Ⅲ)は「昇
つながっているものと思われる。
給の仕組み」だけで要件を満たすのに対し、加
算(Ⅱ)では「経験・技能のある介護職員のうち
(図表 2)開設主体別 通所介護の介護職員
1 人以上は、賃金改善後の賃金額が年額 440 万
等処遇改善加算の算定状況
円以上」が求められている。制度の建付けとし
ても、仕組みだけでなく、実績を重視して加算
率が設定されているということであろう。
なお、図表 1 だが、8~9 割程度が加算(Ⅰ)・
営利法人
(n=251)
(Ⅱ)を算定しているが、加算(Ⅰ)の算定率が
4.5%
19.4%
73.1%
社会福祉法人
(n=465)
31.9%
46.2%
17.1%
6 割程度に留まっており、算定要件は少しハー
加算(Ⅰ)
加算(Ⅱ)
加算(Ⅲ)
ドルが高いという見方もできる。この点につい
加算(Ⅳ)
加算(Ⅴ)
算定していない
ては、後ほど詳しくみていきたい。
1.2
続いて、訪問介護の加算(Ⅰ)の算定率をみる
と、社会福祉法人の 68.3%に対して、営利法人
開設主体別の算定状況
は 50.0%と差が縮まる結果となった(図表 3)
。
新加算の算定率を開設主体別にみると、サー
ビスによっては差がみられる
また、加算(Ⅰ)
・
(Ⅱ)の算定率を合計すると、
社会福祉法人が 90.5%、営利法人は 91.0%でほ
前節で施設・事業別に新加算の算定率を確認
ぼ同水準となっている。この結果だが、訪問介
したが、介護業界では社会福祉法人、医療法人、
護員になるには、介護職員初任者研修を修了す
営利法人6、NPO 法人など多様な開設主体が、同
るなど一定の要件があることから、ある程度ベ
一の報酬体系のもとで施設・事業を運営してい
テランの職員が多いことが一因なのかもしれな
る。そうした開設主体の違いによって、新加算
い。
(公財)介護労働安定センターの調査8による
の算定状況には何か違いがあるかもしれない。
と、訪問介護員の平均年齢は 50.5 歳で、同調査
そこで、サンプル数の多い通所介護と訪問介護
における介護職員 46.7 歳よりも高い。こうした
5 特養の加算率の場合、
(Ⅰ)は 14.0%、(Ⅱ)は 13.6%、
(Ⅲ)は 11.3%
6 本稿においては、株式会社、有限会社、合同会社を指す
7 通所介護(n=778)の開設主体は、社会福祉法人(59.8%)と営利法人(32.3%)の合計で 92.0%を占める。訪問介護(n=312)の開
設主体は、社会福祉法人(53.5%)と営利法人(32.1%)の合計で 85.6%を占める。
8 (公財)介護労働安定センター「令和 5 年度介護労働実態調査」
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023_jittai_chousa_roudousya_siryou1.pdf
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