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参考資料7 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用について~(令和4年2月1日総合科学技術・イノベーション会議) (22 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29015.html |
出典情報 | ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(再設置第3回 11/7)《厚生労働省》《文部科学省》 |
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生殖補助医療研究以外にも、ヒトの初期発生時の仕組みを解明し、病気の予
防・治療に結びつける研究のためにヒト受精胚を作成・利用することも考えら
れる。しかし、国は規制していないものの、日本産科婦人科学会はこうした研
究を認めておらず、その実施も確認されていない。
2.ヒト受精胚の位置付け
(1)現在のヒト受精胚の法的・制度的位置付け
現行法上、ヒト受精胚の法的位置付けを明文上定め、その尊重を規定する法規
範は存在せず、これに「人」としての地位を与える規定もないが、民法、刑法等の
解釈上、人に由来する細胞として、通常の「物」とは異なった扱いがなされている
と考えられている。他方、本報告書における直接の検討対象ではないが、出生前
の胎児については、堕胎罪の規定によって、出生後の人と同程度ではないが、刑
法上の保護の対象となっている。その上で、母体保護法(第2条第2項及び第1
4条第1項)では、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健
康を著しく害するおそれのある者等に対してのみ、母体保護法指定医が、本人及
び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができるとしており、これが許
される期間は通達上、妊娠22週未満とされている。また、民法では、胎児は、生
きて生まれたときには、その不法行為の損害賠償請求権(民法第721条)、相続
権(同886条)等について胎児であった段階に遡及して取得することとされて
いる。
(2)ヒト受精胚の位置付けに関する生命倫理専門調査会としての考え方
これまでの社会実態を踏まえて定められた我々の社会規範の中核である現行法
体系は、ヒト受精胚を「人」として扱っていない。ヒト受精胚を「人」として扱う
考え方を採用することは、この現行法体系を大幅に変更し、受精胚を損なうこと
を殺人と同義に位置付けることを意味するが、人工妊娠中絶手術が行なわれ、ま
た生殖補助医療において余剰胚等の一部の受精胚を廃棄せざるを得ない現在の社
会実態を踏まえれば、そのような制度変更は現実的とは考えられない。また、そ
のような制度変更について社会的合意を得る見通しもないと考えられる。
他方、ヒト受精胚は、母胎にあれば胎児となり、「人」として誕生し得る存在で
あるため、「人の尊厳」という社会の基本的価値を維持していくためには、ヒト受
精胚を特に尊重して取扱うことが不可欠となる。
このため、ヒト受精胚を「人」と同等に扱うべきではないとしても、「人」へと
成長し得る「人の生命の萌芽」として位置付け、通常のヒトの組織、細胞とは異な
り、特に尊重されるべき存在として位置付けざるを得ないのである。
すなわち、ヒト受精胚は、「人」そのものではないとしても、「人の尊厳」とい
う社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき存在であり、かかる意味
で「人の生命の萌芽」として位置付けられるべきものと考えられる。
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防・治療に結びつける研究のためにヒト受精胚を作成・利用することも考えら
れる。しかし、国は規制していないものの、日本産科婦人科学会はこうした研
究を認めておらず、その実施も確認されていない。
2.ヒト受精胚の位置付け
(1)現在のヒト受精胚の法的・制度的位置付け
現行法上、ヒト受精胚の法的位置付けを明文上定め、その尊重を規定する法規
範は存在せず、これに「人」としての地位を与える規定もないが、民法、刑法等の
解釈上、人に由来する細胞として、通常の「物」とは異なった扱いがなされている
と考えられている。他方、本報告書における直接の検討対象ではないが、出生前
の胎児については、堕胎罪の規定によって、出生後の人と同程度ではないが、刑
法上の保護の対象となっている。その上で、母体保護法(第2条第2項及び第1
4条第1項)では、妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健
康を著しく害するおそれのある者等に対してのみ、母体保護法指定医が、本人及
び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができるとしており、これが許
される期間は通達上、妊娠22週未満とされている。また、民法では、胎児は、生
きて生まれたときには、その不法行為の損害賠償請求権(民法第721条)、相続
権(同886条)等について胎児であった段階に遡及して取得することとされて
いる。
(2)ヒト受精胚の位置付けに関する生命倫理専門調査会としての考え方
これまでの社会実態を踏まえて定められた我々の社会規範の中核である現行法
体系は、ヒト受精胚を「人」として扱っていない。ヒト受精胚を「人」として扱う
考え方を採用することは、この現行法体系を大幅に変更し、受精胚を損なうこと
を殺人と同義に位置付けることを意味するが、人工妊娠中絶手術が行なわれ、ま
た生殖補助医療において余剰胚等の一部の受精胚を廃棄せざるを得ない現在の社
会実態を踏まえれば、そのような制度変更は現実的とは考えられない。また、そ
のような制度変更について社会的合意を得る見通しもないと考えられる。
他方、ヒト受精胚は、母胎にあれば胎児となり、「人」として誕生し得る存在で
あるため、「人の尊厳」という社会の基本的価値を維持していくためには、ヒト受
精胚を特に尊重して取扱うことが不可欠となる。
このため、ヒト受精胚を「人」と同等に扱うべきではないとしても、「人」へと
成長し得る「人の生命の萌芽」として位置付け、通常のヒトの組織、細胞とは異な
り、特に尊重されるべき存在として位置付けざるを得ないのである。
すなわち、ヒト受精胚は、「人」そのものではないとしても、「人の尊厳」とい
う社会の基本的価値の維持のために特に尊重されるべき存在であり、かかる意味
で「人の生命の萌芽」として位置付けられるべきものと考えられる。
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