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参考資料7 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用について~(令和4年2月1日総合科学技術・イノベーション会議) (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29015.html |
出典情報 | ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(再設置第3回 11/7)《厚生労働省》《文部科学省》 |
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ア
生殖補助医療
現在、体外受精については、これにより年間1万人以上の子供が生まれ、広く
国民の間に定着した一般的な医療技術となっていると考えられるが、ヒト受精胚
の「人の生命の萌芽」としての位置付けを踏まえれば、体外受精によって作成さ
れるヒト受精胚のうち、移植予定が無く、最終的に廃棄されることになる余剰胚
が生じることが問題となる。
生殖補助医療においては、母体の負担の低減の観点から、未受精卵を一度に複
数個採取し、受精させた上で、これらのうち妊娠の可能性の高いものを選択して
順次、利用していくのが通常である。このため、妊娠に成功した場合等において、
移植されず、かつ移植予定のない余剰胚が生じる。余剰胚の発生を伴う点で、生
殖補助医療のための体外受精はヒト受精胚を損なう取扱いであるものの、母体の
負担に配慮してこのような方法で生殖補助医療を行うことには、十分な科学的合
理性と社会的妥当性も認められるため、余剰胚の発生は容認し得ると考えられる。
イ
着床前診断
ヒト受精胚の着床前診断については、診断の結果としてのヒト受精胚の廃棄を
伴うということが、ヒト受精胚を損なう取扱いとして問題となる。
母親の負担の軽減、遺伝病の子を持つ可能性がある両親が実子を断念しなくて
すむ、着床後の出生前診断の結果行われる人工妊娠中絶手術の回避といった、着
床前診断の利点を踏まえて、これを容認すべきかどうかが問題となるが、着床前
診断そのものの是非を判断するには、医療としての検討や、優生的措置の当否に
関する検討といった別途の観点からも検討する必要があるため、本報告書におい
てその是非に関する結論を示さないこととした。
ウ
遺伝子治療
ヒト受精胚に対する遺伝子治療は、確実性・安全性が確認されていないことか
ら、ヒト受精胚を損なう取扱いである上に、生殖細胞系列の遺伝的改変を通じて
後の世代にまで悪影響を残すおそれもあることから、現時点においては容認でき
ない。これを認めないとする文部科学省及び厚生労働省の「遺伝子治療臨床研究
に関する指針」(平成14年3月)の取扱いは、現時点においては適切と考えら
れる。
(3)未受精卵等の入手の制限及び提供女性の保護
ヒト受精胚を作成し、これを利用する生殖補助医療研究では、必ず未受精卵を
使用するが、未受精卵の女性からの採取には提供する女性の肉体的侵襲や精神的
負担が伴うとともに、未受精卵の採取が拡大し、広範に行なわれるようになれば、
人間の道具化・手段化といった懸念も強まる。このため、未受精卵の入手につい
ては個々の研究において必要最小限の範囲に制限し、みだりに未受精卵を採取す
ることを防止しなければならない。また、いわゆる無償ボランティアからの未受
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生殖補助医療
現在、体外受精については、これにより年間1万人以上の子供が生まれ、広く
国民の間に定着した一般的な医療技術となっていると考えられるが、ヒト受精胚
の「人の生命の萌芽」としての位置付けを踏まえれば、体外受精によって作成さ
れるヒト受精胚のうち、移植予定が無く、最終的に廃棄されることになる余剰胚
が生じることが問題となる。
生殖補助医療においては、母体の負担の低減の観点から、未受精卵を一度に複
数個採取し、受精させた上で、これらのうち妊娠の可能性の高いものを選択して
順次、利用していくのが通常である。このため、妊娠に成功した場合等において、
移植されず、かつ移植予定のない余剰胚が生じる。余剰胚の発生を伴う点で、生
殖補助医療のための体外受精はヒト受精胚を損なう取扱いであるものの、母体の
負担に配慮してこのような方法で生殖補助医療を行うことには、十分な科学的合
理性と社会的妥当性も認められるため、余剰胚の発生は容認し得ると考えられる。
イ
着床前診断
ヒト受精胚の着床前診断については、診断の結果としてのヒト受精胚の廃棄を
伴うということが、ヒト受精胚を損なう取扱いとして問題となる。
母親の負担の軽減、遺伝病の子を持つ可能性がある両親が実子を断念しなくて
すむ、着床後の出生前診断の結果行われる人工妊娠中絶手術の回避といった、着
床前診断の利点を踏まえて、これを容認すべきかどうかが問題となるが、着床前
診断そのものの是非を判断するには、医療としての検討や、優生的措置の当否に
関する検討といった別途の観点からも検討する必要があるため、本報告書におい
てその是非に関する結論を示さないこととした。
ウ
遺伝子治療
ヒト受精胚に対する遺伝子治療は、確実性・安全性が確認されていないことか
ら、ヒト受精胚を損なう取扱いである上に、生殖細胞系列の遺伝的改変を通じて
後の世代にまで悪影響を残すおそれもあることから、現時点においては容認でき
ない。これを認めないとする文部科学省及び厚生労働省の「遺伝子治療臨床研究
に関する指針」(平成14年3月)の取扱いは、現時点においては適切と考えら
れる。
(3)未受精卵等の入手の制限及び提供女性の保護
ヒト受精胚を作成し、これを利用する生殖補助医療研究では、必ず未受精卵を
使用するが、未受精卵の女性からの採取には提供する女性の肉体的侵襲や精神的
負担が伴うとともに、未受精卵の採取が拡大し、広範に行なわれるようになれば、
人間の道具化・手段化といった懸念も強まる。このため、未受精卵の入手につい
ては個々の研究において必要最小限の範囲に制限し、みだりに未受精卵を採取す
ることを防止しなければならない。また、いわゆる無償ボランティアからの未受
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