○はじめに
社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部健康・医療情報システム推進合同 PT は、
令和４年５月 17 日に「医療 DX 令和ビジョン 2030」を提言し、政府にその早急な実施を
求めた。本 PT の提言を踏まえ、政府は、令和４年 10 月 12 日に総理を本部長とする「医
療 DX 推進本部」を設置し、今春を目途に、医療 DX の推進に向けた「工程表」をとりま
とめることとしている。
本 PT においても、今後医療 DX のさらなる推進に向け、令和５年３月７日に中間報告
を行った後、さらに必要な議論を重ねてきたところ、これらを踏まえ、ここに提言をま
とめることとする。
○グランドデザイン
今後強力に医療 DX を推進するため、政府与党一体となり、国民目線に立ち、医療関係
者や産業界の納得と理解を得ながら、強固な推進体制を確立する。
また、医療 DX への理解を得るため、個々の国民の健康増進や治療、疾病予防のための
一次利用に加え、公衆衛生や医学研究、創薬等の医療情報の二次利用を含めた、医療 DX
で実現する明確なグランドデザインを明示する。
・より効果的かつ効率的で質の高い医療の提供
医療 DX とは、単なる医療の提供の際の手続のデジタル化にとどまるものではなく、保
健・医療・介護の場面において発生する情報をデジタル化して活用することにより、す
べての国民が適切なタイミングで最適な医療等のサービスを受けられるようになり、か
つ、医療機関等の高度化と業務の効率化が進むといった形で、医療や介護のシステムや
制度のあり方そのものを変革していくことである。さらにはこれを、災害や次の感染症
危機にも対応しうるものとしていく。
わが国の医療制度の大きな特長はフリーアクセスであることであり、患者は複数の医
療機関で医療を受けている可能性が高い。こうした受診の履歴に関して、例えば救急時
などの緊急時において、医療従事者が患者の必要な医療情報をまとめて確認することが
できるようになれば、適切な医療を提供することができる。このように、医療 DX は、国
民にとって即時に大きなメリットをもたらすものである。
・国民の健康寿命の延伸（PHR の推進）
また、世界一の長寿国であるわが国において、さらに健康寿命を延伸するため、自身
の医療や保健のデータを国民が簡単に確認できるように、さらには、ライフログデータ
等も活用して、自身の健康増進や疾病予防に活かせるようにしていく。
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