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05 参考資料1-2 13価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(成人用)ファクトシート (15 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36630.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第22回 12/1)《厚生労働省》
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以上、国内で報告されている肺炎の患者数や医療費の情報を考慮すると、我が国の 65
歳以上の高齢者における肺炎医療費は、年間 4,400 億円(患者数 60 万人)~9,500 億円(患
者数 130 万人)程度になると見積もることができる(肺炎患者 1 人あたりの入院と外来治
療費を合わせて 73 万円とした場合)
。医療経済評価には、このように患者数と 1 人あたり
の治療費を掛け合わせて総医療費を求めることが重要である。しかし、我が国では患者数
を正確に把握することが難しく、このように推計には大きな幅があることに注意が必要で
ある。
一方、65 歳以上の高齢者全員(約 3,300 万人)にワクチンを接種すると、1 人あたりの
接種費用を 1 万円とすると約 3,300 億円が必要となる。しかし、ワクチン接種で削減でき
るのは肺炎医療費の一部だけである(肺炎球菌性肺炎の割合は全肺炎の 2 割程度)。むし
ろ、ワクチン接種によって肺炎球菌感染症の罹患や重症化等を防ぐことで、高齢者が「健
康で長生きできるか」を示す指標である質調整生存年(QALY:Quality Adjusted Life Year)
などを使って費用対効果を評価する必要がある。
②成人用 PCV13 の費用対効果
米国では、予防接種諮問委員会(ACIP:Advisory Committee on Immunization Practices)
でワクチン接種の推奨を議論する際に、費用対効果分析の結果を参考にしている。成人用
PCV13 に関しては、50 歳以上の中高齢者を対象に 2011 年 12 月に適応拡大が行われた。そ
の翌年、免疫不全状態の成人に対するワクチンプログラムに PCV13 が追加され、2014 年 9
月には 65 歳以上の高齢者に対して、これまでの PPSV23 に加えて PCV13 接種を定期接種に
することが決定された(44)。その根拠として、PPSV23 を接種した場合と、PPSV23 接種後
に PCV13 を追加接種した場合の新たな費用対効果の情報が示されている。
Smith(2012)らは、ワクチン選択(PPSV23 と PCV13)と接種時期(50 歳、65 歳、75
歳)を組み合わせた 5 つの成人ワクチンプログラムについて、仮想コホートを使ったモデ
ル分析を実施した(45)。その結果、PCV13 は IPD による入院や死亡リスクを抑えるだけで
なく、菌血症を伴わない肺炎球菌性肺炎にも効果があると仮定し、現行の PPSV23 から
PCV13 に切り替えた場合、生活の質を加味した質調整生存年(QALY)を 1 年追加するため
に必要な費用は 28,900 ドル(日本円で約 350 万円)と推定され、より費用対効果に優れ
ることが示された。しかし、菌血症を伴わない肺炎球菌性肺炎の予防効果に関する情報が
不足しているため、65 歳で接種した場合、その効果は IPD 予防効果の 75%程度であると
仮定して検討している。しかし、その効果が予想より低い場合は結論が逆転、つまり費用
対効果が悪くなることから、ACIP は本研究における解析結果をエビデンスとしては不十分
と判断した。一方、Cho らの報告によると(46)、肺炎球菌感染のリスクが高い免疫抑制状
態(HIV/AIDS、血液癌、臓器移植、腎機能障害)の患者の場合、PCV13 の追加接種によっ
て IPD 患者、全ての肺炎入院、死亡を減少できることから、追加接種に必要な費用を上回

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