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05 参考資料1-2 13価肺炎球菌コンジュゲートワクチン(成人用)ファクトシート (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36630.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第22回 12/1)《厚生労働省》
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1.対象疾患とその疫学所見
対象疾患:ワクチンに含まれる血清型の肺炎球菌による感染症(侵襲性感染症と非侵襲性
感染症の両方を含む)
(1)疾患の特性
①臨床症状
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)は主に乳幼児の鼻咽頭に高頻度に保菌されてい
る(1)。肺炎球菌による無症候性の保菌状態は、本菌による呼吸器や全身感染症に先行し
て発生し、市中における菌の水平伝播に重要な役割を果たしている(2)。本菌は主要な呼
吸器病原性菌であり、小児、成人に中耳炎、副鼻腔炎や菌血症を伴わない肺炎などの非侵
襲性感染症を引き起こす。また、本菌が血液中に侵入した場合には、小児、成人に髄膜炎
や菌血症を伴う肺炎などの侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease: IPD)
を引き起こす(IPD とは通常無菌的であるべき検体から肺炎球菌が分離された疾患をさす)


②鑑別を要する他の疾患
鑑別を必要とする疾患に、他の呼吸器病原性菌による肺炎をはじめとする呼吸器感染症、
他の細菌に起因する菌血症、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎などがある。鑑別診断には実験室
診断を実施する必要がある。

③検査法
喀痰、咽頭ぬぐい液、鼓膜切開液、胸水、髄液、関節液などの臨床検体を直接血液寒天
培地に接種するか、もしくは増菌培地を用いて増菌したのち血液寒天培地に接種する方法
で分離し、コロニーを鑑別する培養検査を実施するのが一般的である。培養法による肺炎
球菌の同定は血液寒天培地上での溶血性(α 溶血)、胆汁酸溶解試験、オプトヒン感受性
試験等によって行われる。また、喀痰などの臨床検体を用いたグラム染色は、本菌感染症
の推定に有用である(3)。近年、Real-time PCR 法や PCR 法により鑑別する方法も用いられ
ている。また、肺炎球菌の共通抗原である C-polysaccharide に対する抗体を用いた尿中
抗原による診断法も普及している(4)。さらに、尿中に血清型特異的莢膜抗原を検出する
urinary antigen detection (UAD)アッセイも開発されている(5)。
血清型の決定は莢膜膨化試験により行われるが、スクリーニングとして血清型特異的遺
伝子をターゲットとした Multiplex PCR も有用である(6)。また、肺炎球菌ワクチンの免
疫誘導能や肺炎球菌感染症に罹患した患者の液性免疫の評価を目的とした ELISA 法による
血清型特異 IgG 濃度(μg/ml)と Multiplex opsonization assay(MOPA)による血清型
特異的なオプソニン活性の測定も可能である(7)。

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