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資料3-1-1 医療機器感染症定期報告感染症別文献一覧表[407KB] (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41653.html
出典情報 薬事審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和6年度第1回 8/1)《厚生労働省》
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ID

感染症(PT)

出典

概要

21 レンサ球菌感染

概要:Streptococcus equi (Streptococcus equi subspecies zooepidemicus )-ドイツの雌ブタ農場
における突然死の症例報告。
ドイツ北西部のある農場では、雌のブタ群の病的状態と死亡率が高かった。雌のブタは、発熱、嗜
眠、浮腫、粘膜分泌物、呼吸困難を示した。剖検の結果、重度の線維性・化膿性多発性糜爛炎が
認められた。血液学的及び組織学的検査で敗血症が確認された。Streptococcus equi
AASV.
subspecies zooepidemicus が主要臓器から高収率で分離された。この分離株(21/455株)の塩基
https://www.aasv.org/new
配列タイピングにより、他の2株と比較して有意に高い増殖率を示す新しい塩基配列型が明らかに
s/story.php?id=16189
なった。他の感染因子(A型インフルエンザウイルス、ブタ繁殖・呼吸障害症候群、豚サーコウイル
ス2、アフリカブタコレラウイルス、ブタ熱ウイルス、アクチノバシラス・プルロニューモニエ)は、日常
的な診断検査で除外された。気候チェックの結果、妊娠中の雌のブタへの空気換気が不十分であ
ることが判明した。本症例は、ドイツで初めて発生したS. zooepidemicus によるブタの疾病発生で
ある。

22 レンサ球菌感染

Microb Genom.
9(2023)000952

ブタ由来レンサ球菌は人獣共通感染症のひとつであり、ヒトに重篤な感染症を引き起こす可能性
がある。2021年3月、タイのナコーンラーチャシーマー県でレンサ球菌感染のアウトブレイクが発生
した。19名の敗血症及び髄膜炎が確認され、2名が死亡した。疫学調査にイルミナとナノポアの全
ゲノムシーケンス技術による解析(WGS)を併用し、このアウトブレイクの特徴を明らかにした。この
アウトブレイクの発生源は、241名が参加した仏教儀式の際に調理された生の豚肉料理であった。
WGS解析の結果、タイの新興人獣共通感染症クレードCC233/379の新規配列型(ST)に属する単
一のレンサ球菌血清型2の株が感染の原因であることが明らかになった。このアウトブレイクのク
ローンは、グローバルなレンサ球菌の系統発生において、CC233/379及びCC104に属する他のタ
イ人獣共通感染株とともにグループ化され、血清型2の人獣共通感染株と血清型7のブタ株との間
の遺伝子組換えによる血清型の変化が確認された。アウトブレイク株はペニシリン結合タンパク質
の主要残基の変異によりペニシリン感受性の低下を示した。さらにアウトブレイク株は耐性遺伝子
tetOとermBを持つintegrative and conjugative element、optrAとermAを持つIS1216のトランスポゾ
ン(転移因子)を獲得しており、テトラサイクリン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リネゾリド、ク
ロラムフェニコールに耐性があった。この調査からヒトの健康を脅かす人獣共通感染症レンサ球
菌の多剤耐性系統が出現し続けていることが明らかになった。

PLoS One.
18(2023)e0288840

Streptococcus suis (豚レンサ球菌)は人獣共通感染症の病原体で、ヒトやブタに侵襲的な感染症
を引き起こす。本研究では、ヒト患者、又は罹患したブタ及び臨床的に健康なブタから回収された
クローン複合体(CC)94に属する7つのS. suis 血清型4株のゲノム解析を行った。ゲノム解析及び
比較、in vitro細胞毒性試験から、S. suis 血清型4株は病原性を有する可能性が示唆された。ゲノ
ム解析の結果、7株すべてが最小コアゲノム群3(MCG-3)に属し、病原性血清型2株と同様の病原
性関連遺伝子を多数有していた。細胞毒性アッセイでは、ヒト肺腺癌細胞株及びHeLa細胞は、
106菌体濃度で菌株と4時間インキュベートした後、急速に生存能力を失った。ヒト血清型4株
(ID36054)は、対照の血清型2株P1/7と同様に、細胞の生存率を著しく低下させた。さらに、臨床
的に健康なブタから分離されたST1689株(ID34572)は、腺癌細胞株及びHeLa細胞株においても
同様の挙動を示した。テトラサイクリン、マクロライド、リンコサミドに対する耐性を付与する抗菌薬
耐性遺伝子tet(O)及びermBは、これらの菌株に共通してみられた。一方、アミノグリコシド耐性遺
伝子とストレプトトリシン耐性遺伝子は特定の菌株にのみ認められた。以上の結果から、S. suis
CC94血清型4株は病原性・強毒性を示す可能性があり、監視が必要であることが示唆された。

ProMED-mail
20231105.8713007

タイの保健当局は、数百人の感染者と24人の死亡者を記録したことを受け、生や十分に加熱され
ていない豚肉を食べないよう呼びかけている。タイ疾病管理局(DDC)によると、2023年1月から11
月にかけて、複数の県で500件のブタレンサ球菌感染症例が発生し、24人が死亡した。患者は、
生の豚肉や加熱が不十分な豚肉を食べたり、ブタの血液を使った食事をしたり、感染の可能性の
ある動物と一緒に働いたりしたことを報告した。また、ソーシャルメディア上では、生食と飲酒が流
行しているが、これは感染リスクを高めるという。
ブタレンサ球菌感染症は、通常ブタでは無症状である。ヒトは汚染された生又は加熱不足の豚肉
や新鮮な血液を摂取したり、感染したブタや豚肉製品に直接接触することで感染する可能性があ
る。潜伏期間は数時間から5日間である。症状としては、高熱、激しい頭痛とめまい、嘔吐、下痢、
首のこわばり、光の不耐症、意識レベルの低下、難聴などがある。
DDCは、すべての消費者に対し、生又は加熱が不十分な豚肉と生の血液の摂取を避けるよう勧
告している。豚肉は内部温度が摂氏70度(華氏158度)になるまで加熱する必要がある。新鮮な豚
肉は信頼出来る業者からのみ購入すること、定期的に手を洗うこと、調理用と生肉用の調理器具
を使い分けること、豚肉を扱う際には手袋を着用すること、などが勧告されている。
ヒトにおいて、病原体が特定の毒素を産生した場合、中毒性ショックが報告されている。S. suis 感
染症は、主にブタの飼育者、屠畜場労働者、食肉加工業者、調理人、生の豚肉製品を食べるヒト
に発生する。豚肉の生食は、東南アジアでは一般的な習慣であり、豚肉製品に関連したS. suis 感
染症が頻繁に報告されている。(以下のProMEDの過去の記事参照)感染したブタの調理済み肉
や内臓、或いはブタの生血を使った血液プリンを食べることにリスクはなく、ヒトからヒトへの感染
は起こらないようである。(http://jac.oxfordjournals.org/cgi/content/full/50/2/201)ヒトへの感染
例のほとんどはアジアで報告されているが、北米ではブタやヒトへの感染の可能性が懸念されて
いる。

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