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議題3 参考資料2(先-4) (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42187.html
出典情報 先進医療会議(第134回 8/8)《厚生労働省》
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transfer:蛍光共振エネルギー伝達)の原理により Tm 値(2 本鎖 DNA の解離温度)がウ
イルス毎に異なることを利用して増幅されたウイルスを検出することができる。この反
応はすべてキャピラリーと呼ばれるガラス管内で行われるため、空気中に含まれる真菌
胞子など他の微生物の混入や検査施行者の感染のリスクが軽減されるメリットがある。
これまでの検討では、1 キャピラリーあたり 30 copy のウイルスを検出できる感度を持ち、
今回検出できる 12 種類のウイルスは全ての遺伝子型(例えば HHV-6 であれば HHV-6A 型、
HHV-6B 型や肝炎であれば A 型から G 型)を適当な共通配列プローブを選ぶことにより、
各ウイルスの亜型も網羅できる特徴がある。血液だけではなく髄液、尿、喀痰、気管支
肺胞洗浄液、消化管組織などの検体でも測定することが可能である。従って当該施設に
おいては、本検査法によって HHV-6 髄膜脳炎の確定診断が症状発現以前に行えるように
なっており、その結果、死亡例や後遺症併発症例はほとんどなくなっている。
③多項目迅速ウイルス PCR 検査の適応と方法
今回、免疫不全症の代表的モデルとして血液疾患のため造血細胞移植(自家、同種骨
髄、同種末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)を受けた患者を対象とし、移植後 a)発熱、 b)
咳・呼吸困難、c)黄疸・肝障害(T-Bil. 2.0 mg/dl 以上、AST>60 IU/ml、ALT>60 IU/ml)

d)出血性膀胱炎、e)意識障害、f)発疹、g)下痢・血便・腹痛の臨床症状が現れた時に、
血液検体の多項目迅速ウイルス PCR 法を実施する。本ウイルス解析法は定性試験である
網羅的ウイルス解析と、リアルタイム PCR を用いたウイルス定量試験の2つで構成され
るが、ウイルス定量試験の感度および特異度は確立されているので、ウイルス定量結果
をもとに本定性試験の正確度を評価し、当該多項目迅速ウイルス PCR 検査の総合的陽性
的中率および陰性的中率を算出する。すなわち、この多項目迅速ウイルス PCR 法が臨床
的に真に有用であるか否かを評価する。
④期待される効果
上記病態において、同時に 12 種類の DNA ウイルスの有無を約 4 時間(DNA 抽出 1 時間、
測定 3 時間)で測定することができるので(後述の検査計画参照)、ウイルス感染の早期
診断が可能である。このことにより、早期に抗ウイルス薬や免疫グロブリン製剤の投与
を行うことができ、一方、無駄な抗生剤の投与を回避することができる。すなわち、感
染症診断と治療をこれまでより的確に行うことが可能で、ウイルス血症からウイルス病
への進展を予防することに貢献できる。
また、これまでサイトメガロウイルスや帯状疱疹ウイルス以外の免疫不全状態に再活
性化するウイルスの臨床症状、ウイルス量と重症度の相関、あるいは重複ウイルス感
染の頻度などは充分に解明されていなかった。また、ウイルス血症からウイルス病へ
の進展を阻止する pre-emptive therapy を将来的に実施するためにも、本ウイルス解
析法の感度、特異度、陽性的中率、および陰性的中率の算出は多項目迅速ウイルス定
性試験の正確度を評価する上で、重要な指標となる。

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