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参考資料3 髙橋参考人提出資料 (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23334.html
出典情報 がんとの共生のあり方に関する検討会 がんの緩和ケアに係る部会(第4回  1/14)《厚生労働省》
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(はじめに)
放射線療法は、手術・抗癌剤療法と並び、がんの代表的な治療法の一つとなって
いる 1。しかしながら、わが国においては欧米諸国などと比べると、十分に活用さ
れていない状況にある 2。特に、痛みなどの症状を和らげるために行う「緩和照射
(緩和的放射線療法)」については、患者のみならず、医療従事者においてもその
認知度がかなり低いのが現状である。
緩和照射は、骨にがんが転移したこと(骨転移 3)による痛み(疼痛)の緩和や、
肺がんなどによる呼吸困難の改善など、患者のQOL(Quality of Life:生活の
質)を向上させることが期待できる。また、これにより、患者の日常生活動作(A
DL 4)なども改善し、家族の負担も軽減される。このように、緩和照射が積極的に
活用されるようになれば、患者・家族にとってメリットになるばかりでなく、ひい
ては、国全体の医療費増加を抑え、医療資源の効率的な活用に資することにもつな
がると考えられる。
こうしたことから、本稿では、特に、
「骨転移に伴う痛み」に対する緩和照射を
中心に、緩和照射の現状や課題を整理した上で、その積極的な活用に向けた具体的
な方策について提言することとする 5。

1.緩和照射とは何か――治療の目的と活用されている範囲
がんの三大治療の一つである放射線療法は、その治療目的で分類すると、大きく
(a)根治照射(根治的放射線療法)と(b)緩和照射(緩和的放射線療法)の二種類に

1

近年では、分子標的薬等、新たな治療法も出てきており、がん治療にかかる戦略は大きく変わってきては
いるが、放射線療法・手術療法・抗癌剤療法が、がん治療の重要な柱であることには変わりない。

2

放射線療法の適用率は、欧米では 50~60%とされているのに対し、日本では 30%未満と半分に過ぎない。ま
た、近年のわが国におけるがん患者全体の増加率に比べると、放射線治療実施患者数の伸びは低い。

3

骨転移(こつてんい)は、どんなタイプのがんでも起こる可能性があり、疼痛や骨折、麻痺、高カルシウ
ム血症などの症状を引き起こすなど、患者のQOLを著しく低下させる。

4

Activities of Daily Living の略。食事・着替え・移動・排泄・入浴など、日常生活を営む上で不可欠な
基本的な動作を指す。

5

近年、高精度な放射線治療によって「根治照射」の分野におけるがん治療は著しく進歩してきたが、本稿
で取り扱う「緩和照射」も、がん患者の苦痛軽減やQOLの向上に大きく貢献できており、今後のさらなる
拡大が期待されている。

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