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生活機能の自立・非自立、都市規模別にみた高齢者 小林 江里香 (1 ページ)
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公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html |
出典情報 | 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》 |
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生活機能の自立・非自立、都市規模別に みた高齢者
東京都健康長寿医療センター研究所
小林 江里香
1 . 背 景と 目的
人口の高齢化が進む中で、高齢になっても住み慣れた場所で安心して年をとることができ
る、いわゆる “a gi ng in pl ac e ”のため の政 策の重要性が 多くの国 で認識される ようにな っ
ている。この政策が支持される背景には、施設に入所して介護を受けるのではなく、住み慣
れた自宅や地域で生活を継続できるようにすることが、高齢者本人にとっても財政的にも望
ましいという 考え方が ある
1)
。
日本では、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられ
るように、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシス
テム」が推進されており
2)
、これらの政策に共通するのは、日常生活に介助が不要な生活機
能が自立した人だけでなく、生活機能が低下した人にとっても暮らしやすい環境の整備が不
可欠という視 点である 。
「高齢者にや さしい地 域( ag e- fr ie nd ly c o mmu ni ti es )」につい て は様々なモデ ルが 提示
されているが、その多くは物理的環境と社会的環境の両方の要素を含んでいる
3)
。例えば、
世界保健機関 (W or ld Hea lt h O rg an iz at io n :WHO)が 推進する Age -f ri en dl y C it ie s
4)
で は 、 高 齢 者 に や さ し い 都 市 の 特 徴 と し て 、「 屋 外 ス ペ ー ス と 建 物 」「 交 通 機 関 」「 住 宅 」
「 社 会 参 加 」「 尊 敬 と 社 会 的 包 摂 」「 市 民 参 加 と 雇 用 」「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と 情 報 」「 地 域 社
会の支援と保健サービス」の8つのトピックを設定しており、物理的環境の要素が強いもの
( 例 : 屋 外 ス ペ ー ス )、 社 会 的 環 境 の 要 素 が 強 い も の ( 例 : 市 民 参 加 )、 両 方 の 要 素 を 含 む も
の(例:情報 )など多 様な領域をカ バーして いる。
Ag e- fr ie nd ly Ci ti es は、 高齢化の 進展と 都市に住む住 民の増加 という世界的 な問題を 踏
まえて「都市」に着目したものだが、暮らしの課題は地域によって異なると考えられ、大都
市だけでなく規模の小さな市や町村に住む高齢者の研究も必要である
3)
。そこで本稿では、
日常生活の様々な領域における高齢者の実態や意識について、生活機能の自立者と非自立者
の比較、および自立者、非自立者それぞれについて都市規模別の比較を行う。検討した領域
は、①心理的ウェルビーイング、②親族・近隣関係と社会参加、③近隣の物理的環境、④情
報である。①は生活満足度や生きがい感、②は家庭や地域の中に役割や活動の場があるか、
近隣の人々と支援的な関係を築いているかといった社会的環境に関して、自立者と非自立者
あるいは都市規模による違いの実態を明らかにする。③④については、外出時の物理的環境、
生活情報の入 手に関す る不便さや不 満につい て 生活機能・ 都市規模 別に 検討する 。
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東京都健康長寿医療センター研究所
小林 江里香
1 . 背 景と 目的
人口の高齢化が進む中で、高齢になっても住み慣れた場所で安心して年をとることができ
る、いわゆる “a gi ng in pl ac e ”のため の政 策の重要性が 多くの国 で認識される ようにな っ
ている。この政策が支持される背景には、施設に入所して介護を受けるのではなく、住み慣
れた自宅や地域で生活を継続できるようにすることが、高齢者本人にとっても財政的にも望
ましいという 考え方が ある
1)
。
日本では、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられ
るように、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシス
テム」が推進されており
2)
、これらの政策に共通するのは、日常生活に介助が不要な生活機
能が自立した人だけでなく、生活機能が低下した人にとっても暮らしやすい環境の整備が不
可欠という視 点である 。
「高齢者にや さしい地 域( ag e- fr ie nd ly c o mmu ni ti es )」につい て は様々なモデ ルが 提示
されているが、その多くは物理的環境と社会的環境の両方の要素を含んでいる
3)
。例えば、
世界保健機関 (W or ld Hea lt h O rg an iz at io n :WHO)が 推進する Age -f ri en dl y C it ie s
4)
で は 、 高 齢 者 に や さ し い 都 市 の 特 徴 と し て 、「 屋 外 ス ペ ー ス と 建 物 」「 交 通 機 関 」「 住 宅 」
「 社 会 参 加 」「 尊 敬 と 社 会 的 包 摂 」「 市 民 参 加 と 雇 用 」「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と 情 報 」「 地 域 社
会の支援と保健サービス」の8つのトピックを設定しており、物理的環境の要素が強いもの
( 例 : 屋 外 ス ペ ー ス )、 社 会 的 環 境 の 要 素 が 強 い も の ( 例 : 市 民 参 加 )、 両 方 の 要 素 を 含 む も
の(例:情報 )など多 様な領域をカ バーして いる。
Ag e- fr ie nd ly Ci ti es は、 高齢化の 進展と 都市に住む住 民の増加 という世界的 な問題を 踏
まえて「都市」に着目したものだが、暮らしの課題は地域によって異なると考えられ、大都
市だけでなく規模の小さな市や町村に住む高齢者の研究も必要である
3)
。そこで本稿では、
日常生活の様々な領域における高齢者の実態や意識について、生活機能の自立者と非自立者
の比較、および自立者、非自立者それぞれについて都市規模別の比較を行う。検討した領域
は、①心理的ウェルビーイング、②親族・近隣関係と社会参加、③近隣の物理的環境、④情
報である。①は生活満足度や生きがい感、②は家庭や地域の中に役割や活動の場があるか、
近隣の人々と支援的な関係を築いているかといった社会的環境に関して、自立者と非自立者
あるいは都市規模による違いの実態を明らかにする。③④については、外出時の物理的環境、
生活情報の入 手に関す る不便さや不 満につい て 生活機能・ 都市規模 別に 検討する 。
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