よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第110回(令和4年12月14日)
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード
押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料

資料3-11-①

新型コロナウイルス感染症の特徴と中・長期的リスクの考え方
2022 年 12 月 14 日
押谷仁・鈴木基・西浦博・脇田隆字
【要約】


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をめぐっては季節性インフルエンザとの比
較などの議論がなされているが、疫学・病態など多くの点で COVID-19 と季節性イン
フルエンザには大きな違いが存在しており、そのリスクをデータや最新の知見に基づ
いて評価することが必要である。



WHO はパンデミックインフルエンザの評価には、①伝播性、②疾患としての重症度、
③医療や社会へのインパクトを評価するように求めている。国内では COVID-19 と季
節性インフルエンザの評価を致死率・重症化率でのみ比較されている場合が多いが、
これは疾患としての重症度の一側面のみを評価するものであり、リスクの評価として
は不十分である。



COVID-19 の伝播性は当初より、季節性インフルエンザより高かったが、変異株の出
現とともにさらに伝播性は増大してきており、伝播性の観点からはむしろ季節性イン
フルエンザとは大きく異なる感染症に変化してきている。COVID-19 の伝播性が高い
ことに加え、ワクチンや自然感染で獲得した免疫も減弱することと、変異株は免疫逃
避の程度も高いことから疫学的には季節性インフルエンザとは異なる特徴を持つ感染
症になっている。



COVID-19 の重症度は病原性が一定程度低いとされるオミクロン株が流行株の主
体となり、さらに多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したこと
により、発生初期と比較して低下している。一方で、循環器系の合併症で死亡を含
むインパクトが生じているとするデータが各国で得られてきている。国内でも 2021 年
以降超過死亡が増加しており、循環器系の合併症を含めた超過死亡の要因を解明する
必要がある。また罹患後症状の問題も COVID-19 のリスクの評価の際には考慮すべき
である。なお、COVID-19 と季節性インフルエンザの致死率や重症化率を比較するさ
まざまなデータが示されているが、ほとんどの場合異なる方法で集められたものであ
り、直接比較することは困難であり、現在示されているデータの解釈には留意が必要
である。



国内でも救急搬送困難事案の増加など COVID-19 による直接の医療負荷だけではな
く、一般医療への負荷も生じている。同様のことは英国などでも報告されている。 今

後さらに流行規模が大きくなれば、罹患や罹患後症状による欠勤者が増え、社会機
能維持に支障が生じるリスクも存在している。一方で、感染症法に基づく公衆衛生
対応(行動制限)を継続することによる社会や経済に対するインパクトも発生して
いる点には留意が必要である。
1