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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、発生当初から比べると、オミクロン株が
流行の主体となり、観察される重症度は低下しているが、現在も年に数回の流行を繰り返
しそのたびに多くの死亡者を生むなど、季節性インフルエンザとは大きく異なる特徴を持
った感染症である。多くの人がワクチン接種や自然感染によって免疫を獲得していくこと
によりいずれは、流行のパターンや被害の程度が季節性インフルエンザに近い特徴を持っ
た感染症になることが予想されるが、その過程にはかなりの時間を要すると考えられる。
その理由として、COVID-19 の疫学的特徴や病態が季節性インフルエンザとは異なること
がある。さらに、ワクチン接種や自然感染による免疫も減弱することが示されており、免
疫を逃避するようなスパイクタンパク質を中心として多くの変異を持った新たな変異株
(およびその亜系統が)が出現してきていることも、季節性インフルエンザと同等の感染
症となるには時間がかかることにつながると考えられる。我々は 2022 年 10 月 20 日の新
型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに「新型コロナウイルス感染症第 8 波
へ向けてのリスク評価の考え方」という資料を提出した。今回の資料はその内容と重複す
る部分もあるが、COVID-19 の病態や疫学の特徴について、季節性インフルエンザとの違
いを含め中・長期的リスクの考え方をまとめる。
I.

リスク評価の基本的考え方
2003 年 の 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 ( SARS ) の 流 行 後 、 2005 年 に 国 際 保 健 規 則

(International Health Regulations(IHR))が改訂され IHR(2005)となった 1 。IHR
(2005)ではリスクアセスメントに基づくリスクマネジメントを公衆衛生危機の対応の基
本理念としている。それに伴い、2013 年に大幅に改訂された WHO のパンデミックインフ
ルエンザに関する指針

2

でもそれまでの方針を大きく転換し、各国におけるリスクアセス

メントに基づくリスクマネジメントを基本的な考え方とし、各国にパンデミック対応にリ
スクマネジメントの考えを導入するように求めている。パンデミックが発生した際のリス
クアセスメントの方法論は十分には確立していないが、2017 年に WHO が発表した
Pandemic Influenza Severity Assessment(PISA)3 という文書の中ではパンデミックの深刻
度(Severity)を評価するためには、疾患としての重症度(Seriousness of disease)だけで
はなく伝播性(Transmissibility)や医療やさらに社会全体への影響(Impact)も考慮すべ
きとされている(図 1)

国内では新型インフルエンザ対策等特別措置法の要件として季節性インフルエンザに罹
患した場合よりも重症であることが記載されていることから、季節性インフルエンザと比
較した致死率・重症化率の議論がなされているが、これはパンデミックの深刻度の評価に
求められる項目のうち疾患の重症度の一側面のみを考慮したものであり、WHO が求めて
いるパンデミックのリスク評価としては不十分である。さらにこの特別措置法の要件は新
型インフルエンザ(インフルエンザパンデミック)には適切だった可能性が高いが、新型
インフルエンザとは大きく特徴の異なる COVID-19 のパンデミックには適切ではないとい
2