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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》 |
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もかかるだろうという予測をしている
。また、数理モデルの検討でも、通常の感染症と
38
同じような状態になるのに数年の時間を要するとされている 39。
SAGE の指摘する 3 つの要因のうち変異株の出現については、これまでアルファ株・デ
ルタ株・オミクロン株など変異株は相次いで出現してきており、オミクロン株の出現後は
さまざまなオミクロン株の亜系統が出現してきている。特にこれらの亜系統はワクチンや
自然感染による免疫を逃れる程度が高いことが示されている
。今後も新たな変異株や亜
40
系統が出現するリスクは十分に考えられ、それにより流行が拡大するリスクは存在してい
る。さらに、オミクロン株は病原性が一定程度低下したことが示されているが、今後出現
する変異株や亜系統が必ずしも病原性が低下するとは限らないことにも留意が必要である。
実際にデルタ株による感染ではそれ以前に流行していたアルファ株よりも重症度が高いこ
とが示されており
、今後出現するオミクロン株の亜系統がより重症度が高まる可能性を
41
示唆する実験データも存在する 42。感受性者の増大については COVID-19 に対する免疫を
持たない子どもでの流行は今後も継続すると考えられ、さらにワクチンによる免疫だけで
はなく自然感染の免疫も減弱することが示されている
。さらなる免疫逃避株の出現とと
43
もに、免疫の減弱により今後も流行が繰り返される可能性は高いと考えられる。また接触
パターンについては、国内においても対策は緩和されてきており夜間滞留人口なども増加
の傾向にある。今後さらに感染リスクの高い接触が増えていけば、それも流行のリスクと
なることが考えられる。
2) どのような状況になった場合に季節性インフルエンザと同等のものと判断できるか?
どのような状況になった場合に季節性インフルエンザと同等のものと判断できるかとい
う基準を設定することは難しい。COVID-19 が「エンデミック」に向かっているという議
論もなされているが、エンデミックの明確な定義や基準は存在しておらず、COVID-19 に
関連してエンデミックという用語がさまざまな意味で誤用されてきていることも指摘され
ている
。エンデミックは通常はその地域に常在する感染症の状態のことを指し、その被
44
害の程度を示す用語ではない。例えばマラリアはアフリカなどの多くの国でエンデミック
の状態にあるが、マラリアによって毎年多くの命が失われている。また、エンデミックに
対してエピデミックという用語があるが、エピデミックは流行のことを指す。季節性イン
フルエンザは毎年相当規模の流行を起こしており、エピデミックを起こす感染症と位置付
けることができる。実際、季節性インフルエンザには通常エンデミックという用語は使わ
れてこなかった。また季節性インフルエンザは必ずしも被害の少ない感染症とは言えず、
日本でも年によっては 1 万人を大きく超える人が死亡していることにも留意が必要である。
ここでは公衆衛生学的な観点から「季節性インフルエンザと同等のものと判断できる」
とする基準を、①毎年流行は起こるものの、感染者数と死亡者数は一定の数の範囲内にお
さまり、その数は予測できる範囲である、②流行の起こる期間は限定的で、その時期はあ
る程度の精度で予測できる、③死亡者の総数は超過死亡を含め季節性インフルエンザの死
10
。また、数理モデルの検討でも、通常の感染症と
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同じような状態になるのに数年の時間を要するとされている 39。
SAGE の指摘する 3 つの要因のうち変異株の出現については、これまでアルファ株・デ
ルタ株・オミクロン株など変異株は相次いで出現してきており、オミクロン株の出現後は
さまざまなオミクロン株の亜系統が出現してきている。特にこれらの亜系統はワクチンや
自然感染による免疫を逃れる程度が高いことが示されている
。今後も新たな変異株や亜
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系統が出現するリスクは十分に考えられ、それにより流行が拡大するリスクは存在してい
る。さらに、オミクロン株は病原性が一定程度低下したことが示されているが、今後出現
する変異株や亜系統が必ずしも病原性が低下するとは限らないことにも留意が必要である。
実際にデルタ株による感染ではそれ以前に流行していたアルファ株よりも重症度が高いこ
とが示されており
、今後出現するオミクロン株の亜系統がより重症度が高まる可能性を
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示唆する実験データも存在する 42。感受性者の増大については COVID-19 に対する免疫を
持たない子どもでの流行は今後も継続すると考えられ、さらにワクチンによる免疫だけで
はなく自然感染の免疫も減弱することが示されている
。さらなる免疫逃避株の出現とと
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もに、免疫の減弱により今後も流行が繰り返される可能性は高いと考えられる。また接触
パターンについては、国内においても対策は緩和されてきており夜間滞留人口なども増加
の傾向にある。今後さらに感染リスクの高い接触が増えていけば、それも流行のリスクと
なることが考えられる。
2) どのような状況になった場合に季節性インフルエンザと同等のものと判断できるか?
どのような状況になった場合に季節性インフルエンザと同等のものと判断できるかとい
う基準を設定することは難しい。COVID-19 が「エンデミック」に向かっているという議
論もなされているが、エンデミックの明確な定義や基準は存在しておらず、COVID-19 に
関連してエンデミックという用語がさまざまな意味で誤用されてきていることも指摘され
ている
。エンデミックは通常はその地域に常在する感染症の状態のことを指し、その被
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害の程度を示す用語ではない。例えばマラリアはアフリカなどの多くの国でエンデミック
の状態にあるが、マラリアによって毎年多くの命が失われている。また、エンデミックに
対してエピデミックという用語があるが、エピデミックは流行のことを指す。季節性イン
フルエンザは毎年相当規模の流行を起こしており、エピデミックを起こす感染症と位置付
けることができる。実際、季節性インフルエンザには通常エンデミックという用語は使わ
れてこなかった。また季節性インフルエンザは必ずしも被害の少ない感染症とは言えず、
日本でも年によっては 1 万人を大きく超える人が死亡していることにも留意が必要である。
ここでは公衆衛生学的な観点から「季節性インフルエンザと同等のものと判断できる」
とする基準を、①毎年流行は起こるものの、感染者数と死亡者数は一定の数の範囲内にお
さまり、その数は予測できる範囲である、②流行の起こる期間は限定的で、その時期はあ
る程度の精度で予測できる、③死亡者の総数は超過死亡を含め季節性インフルエンザの死
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