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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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ーアップ期の死亡が推測されるという NDB を活用した推論に基づいている。本来は
COVID-19 と季節性インフルエンザの CFR は同じ方法で得られたもの、もしくはそれぞ
れの方法論で得られたデータの問題点を補正したものを比較する必要がある。
CFR は死亡をどう定義するかによっても大きく変わってくる。これまでは死亡診断書を
記載する医師の判断を通じて COVID-19 による死亡が集計されてきた。これは肺炎などの
呼吸器合併症が主な死亡原因となるような病態が主であるときには個別事例の死因として
集計がしやすいが、後述するように COVID-19 では循環器系の合併症により死亡している
例があることがわかっている。これらの循環器系の合併症による死亡例はかならずしも急
性期に死亡するとは限らず、また COVID-19 との因果関係が個々の症例で見逃される可能
性もあり、循環器系の合併症の死亡は現在の日本の死亡者数に集計されていない者が相当
数ある可能性がある。超過死亡のリスクが感染に起因するか否かを理解するには、個々の
症例情報を集積した臨床推論を丁寧に実施することに加えて、疫学的な超過リスクの推定
をもって定量化しなければ因果推論が困難であり、個別症例の死亡に関する報告だけを基
に判断することはできない。死亡届で COVID-19 を死因とする者と医師が判断するものだ
けに頼って盲目的に計算を行うと CFR を過小評価してしまうリスクが高い。特に、2022
年までに 2 回以上の予防接種を多くの成人が終え、また抗ウイルス薬の治療も普及するな
ど呼吸器系の合併症で死亡する感染者が相対的に減少していると思われる状況下において
は、これまでのような「報告された死亡者数/報告された患者数」による CFR 計算は極め
て不適切な可能性がある。
また、致死率は感染者あるいは罹患者の中でどのくらいの人が死亡するかという指標で
あるが、伝播性のところで述べたようにパンデミックの本質は分母である感染者数が膨大
な数になるということである。致死率が低くても感染者数が増えれば死亡者はそれに伴い
増えていくことになる。実際に国内でもオミクロン株の流行により感染者数が急増するに
したがい、死亡者数も顕著に増加している(図3・4)

2) COVID-19 の病態①肺炎
COVID-19 では当初感染者の多くがウイルス性肺炎を起こし、そのことが重症化や死亡
の主な原因とされていた。病原性が一定程度低いとされるオミクロン株が流行株の主体と
なり、さらに多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得したことにより、
COVID-19 発生初期と比較して、ウイルス性肺炎を合併する症例の割合は減っている。し
かし、オミクロン株の流行でも一定の割合でウイルス性肺炎を呈する症例はあるとされて
いる

。一方で、季節性インフルエンザでは肺炎の多くは 2 次性の細菌性肺炎とされて

19,20

おりウイルス性肺炎は非常にまれだとされている

。また、オミクロン株になり重症度が

21

大きく低下されたと一般に考えられているが、見かけの重症度(Realized severity)が低下
したのは免疫の獲得によるところも大きく、オミクロン株固有の重症度(Intrinsic severity)
はそこまで低下していないとする議論もある 22。実際に香港では 2022 年 1-3 月に BA.2 を
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