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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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第 6 波・第 7 波(現在公開されているデータは 2021 年 8 月までのデータ)では COVID19 によると報告されている死亡者数を大きく超えるような顕著な超過死亡が観察されてい
る(図5)
。このような超過死亡が生じている理由は十分に解明されていないが、COVID19 の流行期には医療のひっ迫により通常医療の制限も起こることから他の疾患の死亡が増
えることや循環器系を含むさまざまな COVID-19 の合併症による死亡が増えることなどが
考えられている。COVID-19 による死亡インパクトを考えるにあたっては報告されている
死亡者数だけを考慮するのでは不十分であり、超過死亡を考慮する必要があるとされてい
る 35。国内においてもさらに超過死亡に関する解析をする必要があるが、報告されている
確定患者中の死亡者数の割合を計算するだけでは把握できていない COVID-19 による死亡
インパクトが生じている可能性が高い。
日本の超過死亡を含む死亡統計の解析結果を参考資料1に示した。死亡個票に基づく
COVID-19 の年間の死亡者数は過去の季節性インフルエンザの年間の死亡者数を超えてい
ることがわかる(参考資料 2 ページ上図、3 ページ目表)。また超過死亡の解析から、
2021 年以降のすべての死因を含む超過死亡数は、COVID-19 のピークとほぼ一致してい
ること(2 ページ目下図)、2021 年以降のすべての死因を含む超過死亡数は、COVID-19 流
行以前の超過死亡を上回ること(参考資料 3 ページ目表)、2021 年以降の超過死亡数は循
環器系疾患によるものが最も多いこと(参考資料 4 ページ目以降)などもデータとして示
されている。
上記を踏まえると、COVID-19 の重症度は病原性が一定程度低いとされるオミクロン株
が流行株の主体となり、さらに多くの人が自然感染あるいはワクチンによる免疫を獲得し
たことにより、発生初期と比較して低下しているものの、循環器疾患をはじめとする合併
症や罹患後症状のリスクがある点には留意が必要である。致死率の比較にはいくつかの課
題があり、季節性インフルエンザと COVID-19 の重症度は単純に比較することはできず、
COVID-19 の重症度が季節性インフルエンザと比較してどの程度かは正確に評価すること
は難しい。


インパクト

1)医療へのインパクト
国内では流行のたびごとに深刻な医療のひっ迫が生じてきている。それは COVID-19 の
診療だけではなく一般診療にも大きな影響を与えてきている。医療のひっ迫は日本だけで
起きているわけではなく、日本と同様に原則としてすべての国民が医療にアクセスできる
英国でも通常医療に非常に大きな負荷がかかっていることが報告されている。イングラン
ドでの診療を待つ待機患者の数は、パンデミックが始まってから増え続けており 2022 年
12 月時点で 721 万人が診察待ちとなっていると報告されている 36。さらに国内では救急搬
送困難事案の増加が大きな課題となっているが英国でもオミクロン株の流行期に同様のこ
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