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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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また、新型インフルエンザでも COVID-19 のパンデミックにおいてもパンデミックの最
大の問題は、ほとんどの人が免疫を持たないようなウイルスが出現することで、感染者数
が膨大な数になることである。この感染者の総数を決定する最大の要因も伝播性である。
季節性インフルエンザでは罹患率(Clinical attack rate:人口の中で感染して発症する人の
割合)はおおむね 10%未満とされているのに対し 7、新型インフルエンザでは 30%に達す
るとされている 8。国内の季節性インフルエンザの罹患者数は年間 1000 万人から 1500 万
人と推計されているが、2022 年に国内で報告された COVID-19 の感染者数は 2022 年 10
月末時点で 2200 万人を超えている。また新型インフルエンザの無症候感染例を含めた感染
率はおおむね 60%程度に達すると集団免疫が形成され、流行は収束していくと考えられて
いた 8。これに対して COVID-19 では再感染が繰り返されることと、ウイルスの進化にと
もなって免疫逃避が起こることもあり累積感染率のようなコンセプトがあてはまらない。
再感染とウイルス進化の中で COVID-19 の流行が継続しているのも、COVID-19 の伝播性
が非常に高いことが大きな要因であると考えられる。
2)免疫の減弱と免疫逃避株の出現
しかし、COVID-19 の流行動態は R0 によって表される伝播性によってのみ規定されてい
るわけではない。当然、対策によっても流行動態は大きく左右されるが、それに加え
COVID-19 の場合はワクチンおよび自然感染により獲得された免疫が減弱していくこと、
さらに変異株やその亜系統は免疫逃避能(Immune Escape)を獲得する方向に変異が進ん
でいることも流行動態に大きく影響している。
季節性インフルエンザでもワクチンによる免疫の減弱は起こることが示されているが、
COVID-19 の特にオミクロン株に対する免疫の減弱の程度に比べると、その程度は低いこ
とが示されている

。また季節性インフルエンザウイルスも変異により抗原性が徐々に変

9,10

化していく抗原の連続性変異(Antigenic drift)と呼ばれる変化により、毎年流行を繰り返
していくことが知られている。しかしその変異のスピードは COVID-19 の原因ウイルスの
SARS-CoV-2 に比べるとはるかに緩徐である。例えば 2009 年にパンデミックを起こした
インフルエンザウイルス A(H1N1)pdm09 はその出現から数年間ほとんど変化しなかった
ことが示されている 11。これに対して COVID-19 の原因ウイルスである SARS-CoV-2 はこ
れまで S タンパクを中心に多くのアミノ酸変異を持つ変異株とその亜系統が数多く出現し
てきている。これらの変異株は自然感染やワクチンによって獲得した免疫を逃避すること
が示されている

。特にオミクロン株は S タンパクに多くのアミノ酸変異を持ち、より

12,13

免疫逃避の程度が高いことが示されている

。COVID-19 の感染性の高さとともに、変異

14

株が相次いで出現してきていることも、多くの人が免疫を獲得してもなお流行が繰り返し
起こることにつながっている

4