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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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う問題もある。過去の記録に残るすべての新型インフルエンザは発生から 2 年程度で疾患
としての重症度が大きく低下し、それとともに流行規模も縮小しそれによって季節性イン
フルエンザに移行していった。しかし、COVID-19 のパンデミックは新型インフルエンザ
とは全く異なる経過をたどっている。また COVID-19 の病態にはまだ不明な点も多く、日
本でも COVID-19 の流行の拡大とともに報告される死亡者が増えているだけではなく、
2021 年以降顕著な超過死亡も認められている。この理由についてはいくつかの要因が考え
られるが、死亡者の絶対数は季節性インフルエンザを大幅に超えているということも
COVID-19 のリスクを評価する際には重要だと考えられる。
II. COVID-19 のリスク評価
ここからは WHO の PISA に記載された評価項目である、①伝播性、②疾患としての重
症度、③医療・社会へのインパクトの 3 つの項目に分けて評価していく。
①伝播性(Transmissibility)
1)COVID-19 の伝播性の評価
伝播性を示す指標として基本再生産数(Basic reproduction number: R0)がある。実効再
生産数(Effective reproduction number: Rt)が対策の実施や免疫の状況によって変わって
いくのに対し、R0 はまったく免疫を持たない人々の中で対策がおこなわれなかった場合に、
1 人の感染者が平均して何人の 2 次感染を生むかという指標で、R0 はそれぞれの感染症あ
るいは株に固有のものであることになる。季節性インフルエンザの R0 は 1.3 程度とされて
おり、スペインインフルエンザ(1918 年に発生し世界で非常に多くの死者を出したとされ
る新型インフルエンザ)の R0 でも 1.8 程度だったとされている 4。これに対して COVID19 の初期の株であった武漢株でも R0 は 3 程度であったとされており 5、その後デルタ株・
オミクロン株など新たな変異株が出現するたびに R0 は上昇し続けている 6。 つまり伝播性
という観点からは COVID-19 は季節性インフルエンザに近くなったのではなくむしろ大き
く遠ざかりつつあることになる。
このような伝播性の違いが、COVID-19 の流行動態が新型インフルエンザや季節性イン
フルエンザと異なる要因となっている。季節性インフルエンザは日本では毎年晩秋から春
にかけて流行が見られ、それ以外の時期には小規模な流行を起こすのみにとどまる。また、
新型インフルエンザは R0 が季節性インフルエンザよりも高いことから季節に関係なく流行
することが知られているが(2009 年の新型インフルエンザでも 10 月末から 11 月初めにピ
ークが形成されていた)
、2 年目以降には流行時期としてはおおむね通常の季節性インフル
エンザと同じパターンになる。これに対し、COVID-19 ではその発生から 3 年が経過しよ
うとしているが、未だに明確な季節性がなく、年間を通して流行を繰り返し、日本におい
ては流行ごとに感染者数・死亡者数が増加する傾向となっている。これは COVID-19 の R0
が新型インフルエンザと比べても高いことに起因していると考えられる。
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