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資料3-11―① 押谷先生・鈴木先生・西浦先生・脇田先生提出資料 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第110回 12/14)《厚生労働省》
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主体とするオミクロン株の流行で多くの人が死亡したが、これは、この高齢者のワクチン
接種率が低かったことが大きな要因だったとされている。この事例は特に高齢者の免疫保
有率の少ない状況ではオミクロン株であっても多くの死亡につながる可能性を示唆してい
る。
3) COVID-19 の病態②循環器系の合併症
COVID-19 感染では肺などの呼吸器系だけではなく、特に心臓など循環器系の合併症に
よる死亡に関連することが流行当初より指摘されてきた

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。そのメカニズムとしては

SARS-CoV-2 のレセプターが ACE2 であり、ACE2 が心機能の制御に関連することや ACE2
が心臓組織にも分布していること、血管内皮の障害により血栓を形成しやすくなること、
免疫反応の関与などが考えられてきた

。このような循環器系の合併症は、急性期だけで

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はなく長期にわたって感染者に影響を及ぼすことも示されている

25,26

。最近発表された英

国のコホート研究では、感染後の心血管系の合併症が入院リスクだけではなく死亡リスク
にも関与していることが示されている 27。さらにイングランドでは 2020 年 3 月から 2022
年 8 月までの間に約 3 万人の心疾患による超過死亡が認められていると報告されている 28。
これは英国の医療ひっ迫により循環器系疾患の治療が遅れたことが原因ではないかとも指
摘されているが、COVID-19 が超過死亡に関与している可能性も否定できない。アメリカ
においても COVID-19 流行期に心筋梗塞の死亡が増えたことが示されており、これはオミ
クロン株の流行期にも、さらに若年層でも認められたとされている

。これまで COVID-

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19 の疾患としての重症度は主に急性期の呼吸器疾患の重症度を評価してきたが、これらの
データはこれだけでは疾患としての重症度の評価には不十分である可能性を示唆している。
また CFR の計算に使われる現在の死亡の定義が適切なのかということについての議論も必
要だと考えられる。
4) COVID-19 の病態③罹患後症状
また COVID-19 では Long COVID と呼ばれるさまざまな罹患後症状が報告されている
。オミクロン株では罹患後症状の頻度はデルタ株に比べて少ないとするデータも示され

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ているが 31。オミクロン株になって感染者数が顕著に増加しており、罹患後症状は長期に
わたることから社会的な影響も大きい。さらに COVID-19 罹患時の症状が軽症であっても
罹患後症状は起こることや 32、小児でも罹患後症状を発症することが示されており 33、罹
患後症状も COVID-19 のリスクを考える際には重要な課題である。
5) 超過死亡について
アメリカでは COVID-19 の流行初期より季節性インフルエンザを大きく超えるような超
過死亡が認められている 34。国内では 2020 年にはほとんど超過死亡を認めなかったが
2021 年 4 月以降、COVID-19 の流行時期に一致して超過死亡を認めるようになり、特に
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