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薬-2別添○関係業界からの意見聴取について (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212451_00065.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第203回 7/5)《厚生労働省》
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はじめに

2000 年代半ばに、日本国内におけるドラッグ・ラグの問題が顕在化し、問題解決のため、薬価
制度・薬事制度両方の側面から、対応策が取られた。具体的には、薬価制度において、特許期間中
の薬価下落を是正するために新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、「新薬創出等加算」と
いう)が導入され、薬事制度においては、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の体制強化のほか、
審査期間の短縮、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討を踏まえ、未承
認薬・適応外薬の開発要請または開発企業の募集を行う制度が新たに導入された。これら施策の
導入によって、ドラッグ・ラグは解消の方向に進み、国内の医薬品研究開発投資も増加傾向を示す
ようになった。
しかしながら、2018 年の薬価制度の抜本改革を境に、その状況は大きく変化している。2018
年には新薬創出等加算の対象品目が大幅に縮小された。さらには 2021 年からは中間年改定が
導入され、特許期間中の新薬の半数が、毎年実勢価改定の対象となり、循環的に薬価が下落し得
る状況となった。その時期を境に、国内の医薬品研究開発投資も、世界の趨勢とは対照的に減少
傾向を示すようになったほか、主要国の中で唯一日本だけが医薬品市場のマイナス成長が予測さ
れている。
このように、ここ数年の政策変更は、日本における医薬品の研究開発投資に悪影響を及ぼし、世
界的に販売される新薬が日本で上市される割合の低下を招いている。併せて、日本市場の魅力度
や予見性,投資優先度の低下に関する懸念が示されるようになってきている。
ドラッグ・ラグ/ロスの再燃を防ぎ、日本の患者さんが今後も最先端の新薬を他国に遅れること
なく保険診療で利用可能とするためには、日本市場の国際競争力を高め、国内外の企業の投資を
惹きつけるための総合的な対策が必要と考える。総合的な対策を構成する要素には、産官学によ
る創薬エコシステムの構築,ベンチャー企業支援,治験環境整備,国際的に調和のとれた薬事規制
等の各種政策があるが、なかでも、新薬創出サイクルを促進する薬価制度への改革は最も重要な
要素である。
新薬創出サイクルを促進するためには、海外先進国と同様に特許期間中の新薬の薬価が原則と
して維持されること、また、収載時の薬価算定において、新薬の価値が適切に薬価に反映されるこ
とが極めて重要である。その結果、日本市場が国際水準である一桁台の市場成長率が期待できる
市場へ回帰することで、日本における医薬品の研究開発は再度活性化され、最先端の新薬をより
迅速に日本の患者さんに届けることができる環境が整備されると考える。

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