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ポリファーマシー対策の進め方(Ver 2.1) (3 ページ)

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出典情報 ポリファーマシー対策の進め方(Ver2.1)(4/15)《日本病院薬剤師会》
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はじめに
生理機能の低下、併存疾患を治療するための多剤服用等により、特に高齢者等においては薬物関連問題
が生じやすい状態にある。薬剤師には有効性・安全性等の様々な視点で患者の薬物療法を適切に支援す
ることが求められている。また、平成 28 年度診療報酬改定では、医療機関において、多種類の服薬を行って
いる患者の処方薬剤を総合的に調整する取り組みを行い、処方薬剤数が減少した場合についての評価とし
て、「薬剤総合評価調整加算」(入院)、「薬剤総合評価調整管理料」および「連携管理加算」(外
来)が新設された。その後、「多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集」(日本病院薬剤師会
(以下、日病薬))や「高齢者の医薬品適正使用の指針」(厚生労働省)等も示され、薬物療法の適
正化とポリファーマシー対策の重要性が高まっている。
薬剤総合評価調整加算の算定要件では、6 種類以上の内服薬が処方されている入院患者に対して総合
的な評価と処方見直しを促しており、必ずしも減薬が必須要件ではない。すなわち、「ポリファーマシー対策=
減薬」を意味するのではなく、薬剤の追加や変更の際、薬剤師が主体となって、有効性・安全性等の様々な
視点で薬物療法の適正化を支援し、変更に伴う情報を多職種と共有していくことが重要である。さらに令和
6 年度診療報酬改定では、この多職種連携によるポリファーマシー対策をさらに推進する観点から算定要件
の見直しが行われ、日常的な情報共有ができる機会を活用することを求めている。
そこで日病薬ではガイドラインや指針を整理し、「ポリファーマシー対策の進め方」をまとめ、入院前から入院
中、そして退院後に至るまで、病院薬剤師が多角的な視点から関与できるポイントを示した。しかしながら、こ
れら全ての内容を実施することを求めているわけではなく、各施設の状況や人員に応じて、先ずは実施可能な
ポイントから開始することでポリファーマシー対策への意識・認識・知識を向上していただくとともに、多くの薬剤
師が薬物療法の適正化とポリファーマシー対策に関与して頂くことを願う。
なお、Ver2.1 の進め方の主な改正内容は、①令和 6 年度診療報酬改定の告示・通知に基づき文言の
統一と整理、②薬剤管理サマリーの更新、③薬剤管理サマリー(精神科版)の掲載を行なっている。

1.ポリファーマシー対策の目的
ポリファーマシー対策の目的は、薬物療法のみならず、薬物療法に関わる環境を含めた適正化である。ポリ
ファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物関連問題のリスク増加、服用
過誤、服薬アドヒアランス低下、さらに過少処方(本来は治療のために必要な薬剤が処方されない)といっ
た問題につながる状態を指す。すなわち、ポリファーマシーは薬剤のあらゆる不適切な問題を指し、多剤併用
の中でも害が利益を上回った状態である。そのため、ポリファーマシーに関連した問題は多岐にわたり、特に高
齢者では生活習慣病や老年症候群等が重積し、それに伴う処方が増加してくるため 75 歳以上の約 25%
が7種類以上、約 40%が5種類以上の薬剤が処方されている。
また、併存疾患の増加とともに、複数の診療科・医療機関の受診、ならびに複数の薬局で薬をもらうことに
より、処方薬の全体が把握されないなどの問題も発生しやすい。さらに、処方が適正な状態であっても「飲め
ない」「飲まない」状態であれば適切な薬物療法が実施されないため、処方だけでなく服薬環境の調整なども
同時に行う必要がある。
ポリファーマシーを解消するには、薬剤師間および医療関係者間の連携だけではなく、患者や介護者が正
しく薬を理解する必要があり、薬剤師からの適切な情報提供が求められる。
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