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【参考資料2-6】高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (10 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40300.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第85回 5/27)《厚生労働省》 |
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国立感染症研究所.
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
HPAIV(H5N1)の 40 株全てのウイルスの HA タンパク質に S137A 及び T160A 変異が
認められ、そのうちの 17%は、哺乳類への適応に関与する PB2 の E627K、E627V、
D701N のいずれかのアミノ酸変異が認められた(Alkie TN. et al.. 2023)。
上述した鳥類や哺乳類から分離された Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)に認められる、
哺乳類適応やヒト型受容体への結合能に関与する可能性のあるアミノ酸変異によるヒト感染
への直接的な影響についてはよく分かっていない。現在までのところ、Clade 2.3.4.4b の
HPAIV(H5N1)の効率的なヒトーヒト感染は報告されておらず、これらのウイルスがヒトから
ヒトに持続的に感染する可能性は低いと考えられる。
カンボジアでは 2023 年に 6 例、2024 年に 5 例の HPAIV(H5N1)の感染が報告され
た(うち、死亡例は 5 例)。ウイルスの遺伝子解析結果が判明している起因ウイルスの HA 遺伝
子は、Clade 2.3.2.1c に属していた(WPRO. 2024)。Clade 2.3.2.1c の HPAIV
(H5N1)は、2020 年以降アジアの家きんで限局的に報告されている(GISAID. 2024)。
Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)についても持続的なヒトーヒト感染は報告されていな
い。
日本国内の対応
1.
国内における鳥インフルエンザウイルスのヒト感染事例の探知と対応について
鳥インフルエンザ(H5N1)は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
(感染症法)で定める二類感染症の「特定鳥インフルエンザ」の一つとして政令で指定されてお
り、医師は鳥インフルエンザ(H5N1)の患者、無症状病原体保有者、疑似症患者、感染症死亡
者の死体、感染症死亡疑い者の死体を診断したときは、感染症法第 12 条に基づき症例を届
け出ることとなっている。届出を受けた都道府県知事等は感染症法第 15 条に基づき積極的
疫学調査を実施することができる。調査については「鳥インフルエンザ(H5N1)に係る積極的
疫学調査の実施等について」(健感発第 1122001 号通知)に基づき対応する。
2.
国内における鳥インフルエンザウイルスの動物感染事例の探知と対応について
獣医師又は感染鳥類の所有者は、鳥インフルエンザ(H5N1)に感染、又は感染した疑いのあ
る鳥類を認めた場合は、感染症法第 13 条に基づき届け出ることとなっている。届出を受けた
都道府県知事等は、感染症法第 15 条に基づく調査及び法第 29 条に基づく措置等を行う。こ
の際の対応については「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等につ
いて」(健感発第 1227003 号通知)に基づき実施する(厚生労働省. 2006)。
2024 年 3 月 12 日現在、国内複数地域での鳥類における感染事例の発生を受け、環境省
ではレベル 3(国内複数個所や近隣諸国での発生時)の対応として、鳥類生息状況等調査によ
る監視強化、死亡野鳥等を対象にしたウイルス保有状況調査の強化等を継続している(環境
省. 2023、環境省. 2024)。
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
HPAIV(H5N1)の 40 株全てのウイルスの HA タンパク質に S137A 及び T160A 変異が
認められ、そのうちの 17%は、哺乳類への適応に関与する PB2 の E627K、E627V、
D701N のいずれかのアミノ酸変異が認められた(Alkie TN. et al.. 2023)。
上述した鳥類や哺乳類から分離された Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)に認められる、
哺乳類適応やヒト型受容体への結合能に関与する可能性のあるアミノ酸変異によるヒト感染
への直接的な影響についてはよく分かっていない。現在までのところ、Clade 2.3.4.4b の
HPAIV(H5N1)の効率的なヒトーヒト感染は報告されておらず、これらのウイルスがヒトから
ヒトに持続的に感染する可能性は低いと考えられる。
カンボジアでは 2023 年に 6 例、2024 年に 5 例の HPAIV(H5N1)の感染が報告され
た(うち、死亡例は 5 例)。ウイルスの遺伝子解析結果が判明している起因ウイルスの HA 遺伝
子は、Clade 2.3.2.1c に属していた(WPRO. 2024)。Clade 2.3.2.1c の HPAIV
(H5N1)は、2020 年以降アジアの家きんで限局的に報告されている(GISAID. 2024)。
Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)についても持続的なヒトーヒト感染は報告されていな
い。
日本国内の対応
1.
国内における鳥インフルエンザウイルスのヒト感染事例の探知と対応について
鳥インフルエンザ(H5N1)は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」
(感染症法)で定める二類感染症の「特定鳥インフルエンザ」の一つとして政令で指定されてお
り、医師は鳥インフルエンザ(H5N1)の患者、無症状病原体保有者、疑似症患者、感染症死亡
者の死体、感染症死亡疑い者の死体を診断したときは、感染症法第 12 条に基づき症例を届
け出ることとなっている。届出を受けた都道府県知事等は感染症法第 15 条に基づき積極的
疫学調査を実施することができる。調査については「鳥インフルエンザ(H5N1)に係る積極的
疫学調査の実施等について」(健感発第 1122001 号通知)に基づき対応する。
2.
国内における鳥インフルエンザウイルスの動物感染事例の探知と対応について
獣医師又は感染鳥類の所有者は、鳥インフルエンザ(H5N1)に感染、又は感染した疑いのあ
る鳥類を認めた場合は、感染症法第 13 条に基づき届け出ることとなっている。届出を受けた
都道府県知事等は、感染症法第 15 条に基づく調査及び法第 29 条に基づく措置等を行う。こ
の際の対応については「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等につ
いて」(健感発第 1227003 号通知)に基づき実施する(厚生労働省. 2006)。
2024 年 3 月 12 日現在、国内複数地域での鳥類における感染事例の発生を受け、環境省
ではレベル 3(国内複数個所や近隣諸国での発生時)の対応として、鳥類生息状況等調査によ
る監視強化、死亡野鳥等を対象にしたウイルス保有状況調査の強化等を継続している(環境
省. 2023、環境省. 2024)。
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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