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【参考資料2-6】高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (5 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40300.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第85回 5/27)《厚生労働省》 |
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国立感染症研究所.
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
2024)。
飼い猫(ポーランド、韓国、米国)、飼い犬(イタリア)における感染事例も報告された(CDC,
2023)。中でも、2023 年 6 月から 7 月にかけて、ポーランド国内複数地域から 25 匹の飼
い猫のH5N1 感染が確認された事例では、感染鳥類との屋外での接触だけでなく、エサとな
っていた鶏肉も感染源の一つとして推察された(Domańska-Blicharz K. et al.. 2023)。
哺乳類における感染事例の多くは、単数もしくは少数個体の事例であるが、2022/2023
シーズンには、哺乳類で数十頭から数百頭規模の大規模感染事例が報告され、哺乳類間での
伝播が起きている可能性が示唆された(ECDC. 2024、Puryear W. et al.. 2023)。また、
南米のペルー、チリでは感染したアシカやゾウアザラシの大量死が報告されており、一部の地
域で、その致命率の高さも懸念されている(OFFLU. 2023)。
哺乳類における感染拡大の背景に H5N1 ウイルスの遺伝的変異が関与している可能性が
示唆されているが、現時点で、ヒトへの感染力が高まったとする報告はない(CDC. 2023)。
2024 年 3 月 20 日には、米国から Clade2.3.4.4b に属する HPAIV(H5N1)のヤギ
での感染事例が報告され(Minesota Board of Animal Health, 2024)、3 月 25 日に
は乳牛の感染事例および未殺菌乳(生乳)からの同 Clade の HPAIV(H5N1)検出が報告さ
れた(USDA, 2024a、CDC, 2024a)。4 月 5 日時点で6州(テキサス州、カンザス州、ミシ
ガン州、ニューメキシコ州、アイダホ州、オハイオ州)において乳牛からの HPAIV 検出の報告が
あり、テキサス州の事例では農場の調査中に農場内で斃死したネコや野鳥からも HPAIV が確
認されている(USDA, 2024b、Cornell University, 2024)。
国外のヒトにおける発生状況
WHO に報告されたヒトにおける HPAIV(H5N1)感染事例は、2003 年から 2024 年 4 月
9 日時点で合計 889 例あり、少なくとも 463 例(52%)が死亡している。このうち、2017
年までの報告が 860 例(うち死亡 454 例(53%))と多くを占め、2018 年以降の報告数は
大きく減少しているものの、HPAIV(H5N1)はヒト症例が報告されている鳥インフルエンザ
の中でも報告された症例数が多く、また致命率が高いウイルスである(表 1)(WHO, 2024a、
ECDC. 2024)。
2020 年 1 月から 2024 年 4 月 9 日までに、ヒト感染例は、10 ヵ国から 28 例が報告さ
れた(表 2)。ほぼすべての症例に、病気または死亡した家きんとの接触があった。このうち、ベ
トナムとカンボジア以外の 6 ヵ国から報告された 13 例において、検出された HPAIV(H5N1)
の Clade はすべて 2.3.4.4b であった。
カンボジアからは、2023 年 2 月以降、11 例が報告されており、情報のない最終報告例を
除き、検出された HPAIV(H5N1)の Clade はすべて 2.3.2.1c であった。カンボジアでは
2014 年から長期間、鳥類からの Clade 2.3.2.1c の検出が続いているが、2015 年から
2022 年まではヒト感染例は確認されていなかった(WHO. 2024b、WPRO. 2024)。
2024 年 4 月時点で H5N1 以外の HPAIV(H5)のヒト感染例は H5N6 で 90 例、H5N8
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
2024)。
飼い猫(ポーランド、韓国、米国)、飼い犬(イタリア)における感染事例も報告された(CDC,
2023)。中でも、2023 年 6 月から 7 月にかけて、ポーランド国内複数地域から 25 匹の飼
い猫のH5N1 感染が確認された事例では、感染鳥類との屋外での接触だけでなく、エサとな
っていた鶏肉も感染源の一つとして推察された(Domańska-Blicharz K. et al.. 2023)。
哺乳類における感染事例の多くは、単数もしくは少数個体の事例であるが、2022/2023
シーズンには、哺乳類で数十頭から数百頭規模の大規模感染事例が報告され、哺乳類間での
伝播が起きている可能性が示唆された(ECDC. 2024、Puryear W. et al.. 2023)。また、
南米のペルー、チリでは感染したアシカやゾウアザラシの大量死が報告されており、一部の地
域で、その致命率の高さも懸念されている(OFFLU. 2023)。
哺乳類における感染拡大の背景に H5N1 ウイルスの遺伝的変異が関与している可能性が
示唆されているが、現時点で、ヒトへの感染力が高まったとする報告はない(CDC. 2023)。
2024 年 3 月 20 日には、米国から Clade2.3.4.4b に属する HPAIV(H5N1)のヤギ
での感染事例が報告され(Minesota Board of Animal Health, 2024)、3 月 25 日に
は乳牛の感染事例および未殺菌乳(生乳)からの同 Clade の HPAIV(H5N1)検出が報告さ
れた(USDA, 2024a、CDC, 2024a)。4 月 5 日時点で6州(テキサス州、カンザス州、ミシ
ガン州、ニューメキシコ州、アイダホ州、オハイオ州)において乳牛からの HPAIV 検出の報告が
あり、テキサス州の事例では農場の調査中に農場内で斃死したネコや野鳥からも HPAIV が確
認されている(USDA, 2024b、Cornell University, 2024)。
国外のヒトにおける発生状況
WHO に報告されたヒトにおける HPAIV(H5N1)感染事例は、2003 年から 2024 年 4 月
9 日時点で合計 889 例あり、少なくとも 463 例(52%)が死亡している。このうち、2017
年までの報告が 860 例(うち死亡 454 例(53%))と多くを占め、2018 年以降の報告数は
大きく減少しているものの、HPAIV(H5N1)はヒト症例が報告されている鳥インフルエンザ
の中でも報告された症例数が多く、また致命率が高いウイルスである(表 1)(WHO, 2024a、
ECDC. 2024)。
2020 年 1 月から 2024 年 4 月 9 日までに、ヒト感染例は、10 ヵ国から 28 例が報告さ
れた(表 2)。ほぼすべての症例に、病気または死亡した家きんとの接触があった。このうち、ベ
トナムとカンボジア以外の 6 ヵ国から報告された 13 例において、検出された HPAIV(H5N1)
の Clade はすべて 2.3.4.4b であった。
カンボジアからは、2023 年 2 月以降、11 例が報告されており、情報のない最終報告例を
除き、検出された HPAIV(H5N1)の Clade はすべて 2.3.2.1c であった。カンボジアでは
2014 年から長期間、鳥類からの Clade 2.3.2.1c の検出が続いているが、2015 年から
2022 年まではヒト感染例は確認されていなかった(WHO. 2024b、WPRO. 2024)。
2024 年 4 月時点で H5N1 以外の HPAIV(H5)のヒト感染例は H5N6 で 90 例、H5N8
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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