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【参考資料2-6】高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応 (11 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40300.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第85回 5/27)《厚生労働省》 |
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国立感染症研究所.
高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
また、2022/2023 シーズンは鳥類における HPAIV(H5N1)感染事例が継続して発生し
ており、かつ例年以上の頻度で確認されたことから、専門家から「全国的に環境中のウイルス
濃度が非常に高まっている」と指摘された。これを受け、農林水産省では、2022 年 12 月に、
全国の養鶏に携わる関係者及び都道府県等の行政関係者に対して、最大限の緊急警戒を呼び
かけ、家きんでの高病原性鳥インフルエンザが発生した道県において、家きん農場の緊急消毒
が実施された。2023 年3月には、家きんでの本病の発生が確認されていない都府県におい
ても、家きん農場の緊急消毒が実施された。
2023/2024 シーズンにおいては、2023 年 12 月 20 日に実施された第 88 回家きん
疾病小委員会・令和5年シーズン第 1 回高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チーム検討会合同
会合において、「高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえた今後の発生予防対策に関する提
言」が取りまとめられており、この中では全都道府県に対し、飼育衛生管理の徹底、過去発生の
あった農場やその周辺地域の飼養者におけるリスク低減策、都道府県における飼養衛生管理
の状況の確認と指導、水場等の野鳥が多い地域などでの警戒、早期発見・早期通報の徹底、環
境省や農林水産省のウェブサイトなどでの定期的な情報収集を行うよう示している(農林水産
省. 2023)。また、農林水産省では平時からの家きん農場における監視体制の強化や、発生時
に関係省庁と連携し都道府県が実施する防疫措置(発生農場の患畜・疑似患畜の殺処分、焼埋
却、発生農場周辺での移動制限区域・搬出制限区域の設定、消毒ポイントの設置等)について
支援等を実施している。
各国・各機関におけるリスクアセスメント
2020 年以降の Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)によるヒト感染事例と鳥類及び哺
乳類の感染事例の報告が増加したことにより、 WHO、欧州疾病予防対策センター(ECDC)、
米国疾病管理予防センター(CDC)、英国健康管理庁(UKHSA)は以下の通りリスクアセスメ
ントを発出している(表 3)。一方、Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)は 2020 年以降に
ついてはアジアで限局的に循環しており、世界的な感染拡大はみられていない。
CDC は動物で循環している A 型インフルエンザに対するパンデミックポテンシャルのリスク
評価を行い、パンデミックに備えるべきウイルスの優先順位を決定するために Influenza
Risk Assessment Tool (IRAT)を提唱している。本ツールには、ヒトーヒト感染持続の可
能 性 (emergence) と ヒト ー ヒト 感 染 が 持 続 し た際 の 公 衆 衛 生 への イ ンパク ト (public
health impact)という 2 つの評価分野があり、それぞれについてリスク評価が行われる。
H5N1 ウ イ ル ス は 主 要 な Clade 、 株 ご と に 評 価 さ れ て お り 、 Clade 2.3.4.4b の
HPAIV(H5N1)は、中レベルのリスクに分類されている(CDC. 2023b)。
また、米国食品医薬品局(FDA)と UDSA は、2024 年の米国におけるヤギ、乳牛の
HPAIV 感染例の発生および未殺菌乳(生乳)からの HPAIV 検出を受けて、国内で流通して
いる牛乳の安全性には影響がないとの声明を発表している(USDA, 2024c)ほか、CDC も
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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高病原性鳥インフルエンザウイルス A(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応
また、2022/2023 シーズンは鳥類における HPAIV(H5N1)感染事例が継続して発生し
ており、かつ例年以上の頻度で確認されたことから、専門家から「全国的に環境中のウイルス
濃度が非常に高まっている」と指摘された。これを受け、農林水産省では、2022 年 12 月に、
全国の養鶏に携わる関係者及び都道府県等の行政関係者に対して、最大限の緊急警戒を呼び
かけ、家きんでの高病原性鳥インフルエンザが発生した道県において、家きん農場の緊急消毒
が実施された。2023 年3月には、家きんでの本病の発生が確認されていない都府県におい
ても、家きん農場の緊急消毒が実施された。
2023/2024 シーズンにおいては、2023 年 12 月 20 日に実施された第 88 回家きん
疾病小委員会・令和5年シーズン第 1 回高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チーム検討会合同
会合において、「高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえた今後の発生予防対策に関する提
言」が取りまとめられており、この中では全都道府県に対し、飼育衛生管理の徹底、過去発生の
あった農場やその周辺地域の飼養者におけるリスク低減策、都道府県における飼養衛生管理
の状況の確認と指導、水場等の野鳥が多い地域などでの警戒、早期発見・早期通報の徹底、環
境省や農林水産省のウェブサイトなどでの定期的な情報収集を行うよう示している(農林水産
省. 2023)。また、農林水産省では平時からの家きん農場における監視体制の強化や、発生時
に関係省庁と連携し都道府県が実施する防疫措置(発生農場の患畜・疑似患畜の殺処分、焼埋
却、発生農場周辺での移動制限区域・搬出制限区域の設定、消毒ポイントの設置等)について
支援等を実施している。
各国・各機関におけるリスクアセスメント
2020 年以降の Clade 2.3.4.4b の HPAIV(H5N1)によるヒト感染事例と鳥類及び哺
乳類の感染事例の報告が増加したことにより、 WHO、欧州疾病予防対策センター(ECDC)、
米国疾病管理予防センター(CDC)、英国健康管理庁(UKHSA)は以下の通りリスクアセスメ
ントを発出している(表 3)。一方、Clade 2.3.2.1c の HPAIV(H5N1)は 2020 年以降に
ついてはアジアで限局的に循環しており、世界的な感染拡大はみられていない。
CDC は動物で循環している A 型インフルエンザに対するパンデミックポテンシャルのリスク
評価を行い、パンデミックに備えるべきウイルスの優先順位を決定するために Influenza
Risk Assessment Tool (IRAT)を提唱している。本ツールには、ヒトーヒト感染持続の可
能 性 (emergence) と ヒト ー ヒト 感 染 が 持 続 し た際 の 公 衆 衛 生 への イ ンパク ト (public
health impact)という 2 つの評価分野があり、それぞれについてリスク評価が行われる。
H5N1 ウ イ ル ス は 主 要 な Clade 、 株 ご と に 評 価 さ れ て お り 、 Clade 2.3.4.4b の
HPAIV(H5N1)は、中レベルのリスクに分類されている(CDC. 2023b)。
また、米国食品医薬品局(FDA)と UDSA は、2024 年の米国におけるヤギ、乳牛の
HPAIV 感染例の発生および未殺菌乳(生乳)からの HPAIV 検出を受けて、国内で流通して
いる牛乳の安全性には影響がないとの声明を発表している(USDA, 2024c)ほか、CDC も
©National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan, 2023, 2024
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