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(参考資料1)医療保護入院の論点整理(桐原構成員提出資料) (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24461.html
出典情報 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会(第7回 3/16)《厚生労働省》
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まで一般科の手続きに則して通常の医事法理に基づき運用されるべきである。
⑧非同意入院における留意点のソフト・ロー化
・従来の枠組みでは、精神疾患の影響で判断能力が低下すると病識欠如などで必要な治療
を同意できなくなることがあるのだと考えられてきた。しかし、同意における正常/異常
は、必ずしも精神疾患に限ったものではなく、社会的な差別・偏見によるものも含めて総
合的に考えていく必要がある。
・患者の意思に反した侵襲を代諾等で違法性阻却するためには、次に掲げる状況を満たす
必要がある。
◎切迫性: 切迫性とは、生命や身体が危機的な状態のことである。精神疾患において
は、自傷行為が顕著な場合などが想定される。なお、他害行為については、切迫性の
範囲に含むべきではない。
◎緊急性: 緊急性とは、すぐに対応する必要がある状態のことである。緊急性は、入
院時だけではなく、継続中の入院に対しても非同意を継続する蓋然性を判断してい
く基準として、短いスパンでモニタリングする必要がある。また、精神科病院管理者
は、中長期的な将来の可能性を理由とした予防のための入院をさせるべきではない。
◎補充性: 補充性とは、入院以外の方法が他にない状態のことである。真に入院医療
でなければ達成されない治療であるのかどうかが明らかにされずして代諾による非
同意の入院を開始すべきではない。
◎法益権衡性: 法益権衡性とは、保護法益と被侵害法益を比較し、前者が後者を越え
ない状態のことである。法益権衡は、精神医療の介入による法益の蓋然性が問題とな
る。しかし、精神医療は、治療反応の個人差が著しいため、一般的な意味での蓋然性
を担保し得ない。そのため、従来は医療の不確実性を極端に抽象化して、精神医療特
有の蓋然性に基づき治療の必要性が判断されてきた。しかし、このような運用は、精
神障害者本人に対して結果の相当性がわかりにくく、医療不信を招く例も散見され
るため望ましくない。とくに治療反応のない長期入院者を入院医療にとどめおくべ
きではない。
これらを満たし得ないのであれば、患者から同意を取るための努力をする他ない。
・これらは、診療録に記載するとともに、定期病状報告書にまとめて入院時から月 2 回程
度の頻度で精神医療審査会の審査を受けるべきものである。精神医療審査会は、次に掲げ
る状況を審査する必要がある。なお、ここでは、精神医療審査会運営マニュアルに規定す
べき内容についても併せて提案する。
◎切迫性: 精神医療審査会は、代諾による非同意の入院者が生命や身体が危機的な状
態であると判断した具体的な疾病の存在の有無を確認するべきである。
◎緊急性: 精神医療審査会は、精神科病院管理者が入院させたときの緊急性の見立て
と実際、モニタリングの状況を勘案して異変がないかを確認すべきである。
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