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参考資料1 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編) (39 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25107.html |
出典情報 | 高齢者医薬品適正使用検討会(第15回 4/13)《厚生労働省》 |
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高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)
[別紙 ] 薬物動態、腎機能低下時及び薬物相互作用について
1
加齢に伴う薬物動態および薬力学の変化
▶
▶ 薬物動態
薬 物 動 態 は、 吸 収(Absorption)、 分 布(Distribution)、 代 謝(Metabolism)、 排 泄
(Excretion)のADMEと略称されるステップにより規定される。それぞれ加齢により以下(表1)
のような影響を受けるが、特に代謝や排泄は加齢の影響を受けやすく、薬物の消失能力(薬物ク
リアランス)に関わるので重要である。
一般に、多くの薬物は体内曝露量と効果・薬物有害事象の関連性が高く、その体内曝露量を規
定する因子として濃度時間曲線下面積(Area Under the Curve;AUC)がある。薬物を投与し
た場合、AUC=投与量/全身(あるいは経口)クリアランスの関係があるため、高齢者で肝クリ
アランスや腎クリアランスの低下に伴う全身(あるいは経口)クリアランスの残存率に応じて減
量することにより、理論的には肝機能や腎機能が正常な場合と同じAUCを維持できる。これは、
後述する腎機能低下時の投与設計(Giusti-Hayton法)やCYPの阻害によるAUCの変化などの
考え方の基本となる。
▶
▶ 薬力学
薬物血中濃度が変動しなくても、加齢に伴い標的分子へ反応性が変化する薬物もある。β受容
体刺激薬に対する感受性低下、抗不安薬や睡眠薬、抗コリン薬に対する感受性亢進などが知られ
ている。
表1
加齢に伴う生理学的変化と薬物動態の変化
加齢に伴う生理学的変化
消化管運動機能低下
吸収
消化管血流量低下
胃内pH上昇
体脂肪率増大
分布
あるいは低下)
脂溶性薬物の分布容積増大
(血中半減期延長)
水溶性薬物の分布容積減少
血漿中アルブミン濃度低下
酸性薬物の蛋白結合率低下
肝血流量低下
薬物代謝酵素活性低下
腎血流量低下
排泄
最高血中濃度到達時間延長
(薬剤によっては血中濃度上昇
体内水分量減少
肝重量減少
代謝
一般的な薬物動態の変化
糸球体濾過量低下
尿細管分泌低下
肝クリアランス低下
※相互作用の影響も重要
腎クリアランス低下
※高齢者で特に影響が大きい
35
[別紙 ] 薬物動態、腎機能低下時及び薬物相互作用について
1
加齢に伴う薬物動態および薬力学の変化
▶
▶ 薬物動態
薬 物 動 態 は、 吸 収(Absorption)、 分 布(Distribution)、 代 謝(Metabolism)、 排 泄
(Excretion)のADMEと略称されるステップにより規定される。それぞれ加齢により以下(表1)
のような影響を受けるが、特に代謝や排泄は加齢の影響を受けやすく、薬物の消失能力(薬物ク
リアランス)に関わるので重要である。
一般に、多くの薬物は体内曝露量と効果・薬物有害事象の関連性が高く、その体内曝露量を規
定する因子として濃度時間曲線下面積(Area Under the Curve;AUC)がある。薬物を投与し
た場合、AUC=投与量/全身(あるいは経口)クリアランスの関係があるため、高齢者で肝クリ
アランスや腎クリアランスの低下に伴う全身(あるいは経口)クリアランスの残存率に応じて減
量することにより、理論的には肝機能や腎機能が正常な場合と同じAUCを維持できる。これは、
後述する腎機能低下時の投与設計(Giusti-Hayton法)やCYPの阻害によるAUCの変化などの
考え方の基本となる。
▶
▶ 薬力学
薬物血中濃度が変動しなくても、加齢に伴い標的分子へ反応性が変化する薬物もある。β受容
体刺激薬に対する感受性低下、抗不安薬や睡眠薬、抗コリン薬に対する感受性亢進などが知られ
ている。
表1
加齢に伴う生理学的変化と薬物動態の変化
加齢に伴う生理学的変化
消化管運動機能低下
吸収
消化管血流量低下
胃内pH上昇
体脂肪率増大
分布
あるいは低下)
脂溶性薬物の分布容積増大
(血中半減期延長)
水溶性薬物の分布容積減少
血漿中アルブミン濃度低下
酸性薬物の蛋白結合率低下
肝血流量低下
薬物代謝酵素活性低下
腎血流量低下
排泄
最高血中濃度到達時間延長
(薬剤によっては血中濃度上昇
体内水分量減少
肝重量減少
代謝
一般的な薬物動態の変化
糸球体濾過量低下
尿細管分泌低下
肝クリアランス低下
※相互作用の影響も重要
腎クリアランス低下
※高齢者で特に影響が大きい
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