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参考資料1 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編) (6 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25107.html
出典情報 高齢者医薬品適正使用検討会(第15回 4/13)《厚生労働省》
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はじめに
高齢者、特に75歳以上の高齢者の増加に伴い、高齢者に対する薬物療法の需要はますます高
まっている。一方、加齢に伴う生理的な変化によって薬物動態や薬物反応性が一般成人とは異な
ることや複数の併存疾患をそれぞれ治療するために投与された薬剤同士で薬物相互作用が起こり
やすく、薬物有害事象※が問題となりやすい。同時に、生活機能や生活環境の変化により薬剤服
用にも問題を生じやすい状況がある。本指針は、高齢者の薬物療法の適正化(薬物有害事象の回
避、服薬アドヒアランスの改善、過少医療の回避)を目指し、高齢者の特徴に配慮したより良い
薬物療法を実践するための基本的留意事項をまとめたガイダンスとして、診療や処方の際の参考
情報を提供することを意図して作成された。本指針は、上記の目的から65歳以上の患者を対象
としながら、平均的な服用薬剤の種類が増加する75歳以上の高齢者に特に重点をおいている。
本指針の主たる利用対象は医師、歯科医師、薬剤師とする。患者の服薬状況や症状の把握と服
薬支援の点で看護師や他職種が参考にすることも期待される。一方、患者、家族などは利用対象
としておらず、気になる点があれば医療関係者に御相談願いたい。
※本指針では、薬剤の使用後に発現する有害な症状又は徴候であり、薬剤との因果関係の有無を
問わない概念として「薬物有害事象」を使用している。なお、「副作用」は、薬剤との因果関係
が疑われる又は関連が否定できないものとして使用される。

1. ポリファーマシーの概念
高齢者の薬物有害事象増加には、多くの疾患上、機能上、そして社会的な要因が関わるが、薬
物動態/薬力学の加齢変化と多剤服用が二大要因である。多剤服用の中でも害をなすものを特に
ポリファーマシーと呼び、本指針でも両者を使い分けた。ポリファーマシーは、単に服用する薬
剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒア
ランス低下等の問題につながる状態である。
何剤からポリファーマシーとするかについて厳密な定義はなく、患者の病態、生活、環境によ
り適正処方も変化する。薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加し、6種類以上が特に薬物有
害事象の発生増加に関連したというデータもある(図1)。一方、治療に6種類以上の薬剤が必
要な場合もあれば、3種類で問題が起きる場合もあり、本質的にはその中身が重要である。した
がって、ポリファーマシーの是正に際しても、一律の剤数/種類数のみに着目するのではなく、
安全性の確保等からみた処方内容の適正化が求められる。

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