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出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html |
出典情報 | 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.0版」の周知について(2/28付 事務連絡)《厚生労働省》 |
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.0 版 ●2 臨床像
4. 合併症
COVID-19 では呼吸器以外の器官・臓器にも多彩な病態をきたすことが報告されており,さまざ
まな臓器で病理組織学的な変化が見られることが報告されている.このような呼吸器以外の臓器の
病変部においても SARS-CoV-2 を検出したという研究結果が複数報告されている.一方で相反す
る報告も複数あり,SARS-CoV-2 が呼吸器以外の臓器に感染するか否かは現時点で確定的ではない.
呼吸器以外での病態が SARS-CoV-2 感染による直接的な組織傷害より生じたものであるのか,あ
るいは感染に対する宿主応答による変化であるのかという点については,今後更なる研究が必要と
考えられる.
呼吸不全:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は重症患者の主な合併症であり,呼吸困難の発症直後に
現れることがある.
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが報告
されている.若年者の男性を中心に,特に 2 回目の mRNA ワクチン接種後にも心筋炎・心膜炎の報
告を稀に認める(2021 年 10 月 24 日までの国内報告は 255 例).長期的な予後は調査中だが,自
然感染と比較して,頻度は低く予後も良好であることから,各国において予防接種による有益性は
リスクを上回ると評価されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告され,高い致死率との関連が指摘さ
れている.日本国内の調査では,COVID-19 入院患者 6,202 名(2020 年 8 月までに入院)のうち,
108 名(1.86%)に血栓塞栓症(脳梗塞 24 名,心筋梗塞 7 名,深部静脈血栓症 41 名,肺血栓塞
栓症 30 名,その他 22 名)を認めた.COVID-19 の重症度が高いほど血栓塞栓症の合併率が高い
と考えられる.多くは COVID-19 の増悪期に合併するが,回復期に発生することもある.
炎症性合併症:重症患者では,サイトカイン放出症候群に類似した,持続的な発熱,炎症マーカー
の上昇などを伴う病態を呈することがある.また,炎症性合併症としてギラン・バレー症候群(発
症後 5 ~ 10 日)や,川崎病に類似した臨床的特徴を持つ多系統炎症性症候群(
「2 臨床像:5 小
児例の特徴」を参照)も欧米を中心に小児で報告されている.
図 2-6
70 代男性(COVID-19 肺炎:重症)
基礎疾患として肥満(BMI 28.5).急性呼吸不全のため挿管・人工呼吸管理となった.転院時の血液検査で
CRP 20.56 mg/dL,D ダイマー 140.4 µg/mL と著明高値を認めたため,造影 CT を実施したところ,複数
の右肺動脈に血栓(矢頭)があり,右肺動脈血栓塞栓症と診断した.
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4. 合併症
COVID-19 では呼吸器以外の器官・臓器にも多彩な病態をきたすことが報告されており,さまざ
まな臓器で病理組織学的な変化が見られることが報告されている.このような呼吸器以外の臓器の
病変部においても SARS-CoV-2 を検出したという研究結果が複数報告されている.一方で相反す
る報告も複数あり,SARS-CoV-2 が呼吸器以外の臓器に感染するか否かは現時点で確定的ではない.
呼吸器以外での病態が SARS-CoV-2 感染による直接的な組織傷害より生じたものであるのか,あ
るいは感染に対する宿主応答による変化であるのかという点については,今後更なる研究が必要と
考えられる.
呼吸不全:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は重症患者の主な合併症であり,呼吸困難の発症直後に
現れることがある.
心血管系: 急性期の不整脈,急性心障害,ショック,心停止の他,症状回復後の心筋炎などが報告
されている.若年者の男性を中心に,特に 2 回目の mRNA ワクチン接種後にも心筋炎・心膜炎の報
告を稀に認める(2021 年 10 月 24 日までの国内報告は 255 例).長期的な予後は調査中だが,自
然感染と比較して,頻度は低く予後も良好であることから,各国において予防接種による有益性は
リスクを上回ると評価されている.
血栓塞栓症:肺塞栓症や急性期脳卒中などの血栓塞栓症が報告され,高い致死率との関連が指摘さ
れている.日本国内の調査では,COVID-19 入院患者 6,202 名(2020 年 8 月までに入院)のうち,
108 名(1.86%)に血栓塞栓症(脳梗塞 24 名,心筋梗塞 7 名,深部静脈血栓症 41 名,肺血栓塞
栓症 30 名,その他 22 名)を認めた.COVID-19 の重症度が高いほど血栓塞栓症の合併率が高い
と考えられる.多くは COVID-19 の増悪期に合併するが,回復期に発生することもある.
炎症性合併症:重症患者では,サイトカイン放出症候群に類似した,持続的な発熱,炎症マーカー
の上昇などを伴う病態を呈することがある.また,炎症性合併症としてギラン・バレー症候群(発
症後 5 ~ 10 日)や,川崎病に類似した臨床的特徴を持つ多系統炎症性症候群(
「2 臨床像:5 小
児例の特徴」を参照)も欧米を中心に小児で報告されている.
図 2-6
70 代男性(COVID-19 肺炎:重症)
基礎疾患として肥満(BMI 28.5).急性呼吸不全のため挿管・人工呼吸管理となった.転院時の血液検査で
CRP 20.56 mg/dL,D ダイマー 140.4 µg/mL と著明高値を認めたため,造影 CT を実施したところ,複数
の右肺動脈に血栓(矢頭)があり,右肺動脈血栓塞栓症と診断した.
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