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公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00332.html
出典情報 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第7.0版」の周知について(2/28付 事務連絡)《厚生労働省》
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●新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き・第 7.0 版 ●2 臨床像

5. 小児例の特徴
COVID-19 の小児例は,これまで成人例に比較して症例数が少なかったが,検査陽性者
に占める小児例の割合が増加傾向にある(2022 年 1 月 4 日現在:10 歳未満 5.5%,10 代
10.1%,20 歳未満の死亡 3 例).
一方,小児例においては,無症状者/軽症者が多いことが特徴である.しかし,無症状者/
軽症者であっても PCR 法などで検出されるウイルスゲノム量は有症状者と同様に多く,呼吸
器由来検体のみならず,便中への排泄も長期間認められることが報告されている.
国内小児例の臨床的特徴,小児の重症度,小児における家庭内感染率,COVID-19 流行下に
おける小児の予防接種,小児多系統炎症性症候群(MIS-C)について概説する.
【国内小児例の臨床的特徴】
2020 年 1 月~ 2021 年 2 月までに入院した 18 歳未満小児入院例 1,038 例
(年齢中央値 9 歳)
を対象とした後方視的調査では,308 例 (29.7%) が入院時無症状であったと報告されている.
年齢群別に見ると,24 カ月未満と 13 歳以上において,無症状者の割合が低かった(入院時無
症状の割合:20.1%[24 カ月未満],41.4 %[2 歳以上 13 歳未満]
,18.0 %[13 歳以上])

最もよく見られた症状は,咳嗽 (37.1 %) であり,38 ℃以上の発熱を認めたのは 10.3 % であっ
た.嗅覚障害・味覚障害は年長児
(13 ~ 17 歳)
で 6 歳以上 13 歳未満児より多かった (13 ~ 17 歳:
23.7 %・24.7 %,6 歳以上 13 歳未満:6.0 %・9.8 %).酸素投与が行われた症例は 2.1 %
であり,人工呼吸器あるいは ECMO を必要とした症例はなかった.予後は良好であり,2021
年 2 月 28 日時点では,死亡例は 0 であった.入院期間は症状の有無にかかわらず中央値 8 日
間と比較的長期の入院を要しており,調査対象期間における小児例の入院は主に感染拡大予防
を目的としていたものであったことを示唆している.
【小児の重症度 】
イタリアにおける COVID-19 患者(2020 年 2 月 20 日~ 5 月 8 日)の臨床像を年齢層間
で比較すると,小児の COVID-19 患者は成人や高齢者よりも軽症であり,入院率,重症/最
重症例は加齢とともに増加し,無症状/極軽症例は加齢とともに減少していた.小児 3,836 例
(1.8%)の年齢(中央値)は 11 歳,症状は無症状(39.0 %)の割合が高く,
極軽症(24.4 %)

軽症(32.4 %)を含めると 95 %以上を占め,入院率は 13.3 % であった(表 2-7)
.小児に
おいては,2 歳未満(0 ~ 1 歳)と基礎疾患の有無が重症化の危険因子であった.小児の臨床
像を年齢層間で比較すると,2 歳未満(0 ~ 1 歳)の入院率(36.6 %)は高く,無症状(20.2
%)の割合は低かった.小児の死亡 4 例はすべて 6 歳以下で,心血管系異常や悪性腫瘍の基礎
疾患を有し,COVID-19 が原死因と想定されていなかった(表 2-8)

COVIREGI-JP において,2020 年 10 月~ 2021 年 5 月(デルタ株以前)と比較し,2021
年 8 月~ 10 月(デルタ株流行期)に登録された小児入院症例では,ICU に入院した症例が多かっ
た(デルタ株以前:0.1%, デルタ株流行期:1.4%)
.ICU 入院例(6 例)のうち半数に基礎疾
患を認めたが,人工呼吸管理や死亡を認めなかった.
2022 年 1 月 12 日の時点で 4,114 例の外来軽症患者を含む国内症例が登録されている日本
小児科学会によるレジストリ調査には,18 例の ICU 管理を要した小児例が報告されており,
19 例にレムデシビル,54 例にステロイドの全身投与が実施されている.今後は小児例の絶対
数増加に伴う小児重症例の増加を注視する必要がある.

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