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薬-2参考3○令和6年度薬価改定の主な課題と議論の進め方について (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212451_00064.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第202回 6/21)《厚生労働省》
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いないことが多く、大手製薬企業との協業(オープンイノベーション)によるエコシ
ステム 2 7 を構築することが必要と認識されている。


ベンチャー企業を取り巻くエコシステムの構築に向けて、これまで、専門家による総
合支 援を 行 う医 療系 ベ ンチ ャー ・ トー タル サ ポー ト事 業 ( MEDISO ) や、 開発 資 金の供
給不足を解消するための創薬ベンチャーエコシステム強化事業等が実施されてきてお
り、ベンチャー支援に資するプログラムは増加し、ベンチャー企業由来の品目は徐々
に増加しつつある。



世界の医薬品売上高シェアを見ると、大手製薬企業が 64%を占める(ベンチャー企
業は 14%)一方で、開発品目数ではベンチャー企業が 80%を占めているとされている
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。世界的に創薬開発の担い手はベンチャー企業となっているが、日本国内におけるベ

ンチャー企業の開発品目数の割合は2%に過ぎない。


このように、日本においても、ベンチャー企業の育成やベンチャー企業と大手製薬企
業との協業を図るための取組が進められているものの、その実績は海外と比較すると
非常に少ない現状にあり、ベンチャー企業の育成やエコシステムの構築が十分である
とは言えない状況にある。



この背景にある課題として、以下の4点が指摘されている。


まず、人材獲得の困難性についてである。ベンチャー企業の経営に当たっては、
高度な科学技術に加え、薬事規制や薬価制度の理解、財務や知財管理等、会社経営
に必要な専門知識が求められるが、ベンチャー企業では、大手製薬企業からのスピ
ンアウト人材を雇用しているものの、海外と比較し日本は依然として人材の流動性
が低いことから、必要な人材の確保が困難であることが指摘されている。



2点目として、アセットが少ないことについてである。アカデミア発の創薬基盤
技術を保有しているベンチャー企業においては、自社でアセットの創出から臨床開
発まで進めている企業はまだ多いと言えない状況にあることが指摘されている。



3点目として、資金調達の困難性についてである。医薬品の研究開発に当たって
は、多額の資金を要し、特に第2、第3相試験では莫大な金額が必要であるため、
投資家等による支援が不可欠である。欧米では、ライフサイエンス分野に投資する
ベ ン チャ ー キ ャ ピ タル ( VC )が 多 く 存 在 し、 フ ァ ンド 規 模 も 大 きい が 、 日本 で は 数 、
規模ともに小さく、ベンチャー企業が医薬品の研究開発に必要な資金調達が困難で
あることが指摘されている。



最後に、グローバル化の問題として、人材や資金調達に関して、国内でのリソー
ス確保が難しい状況にあるが、日本のベンチャー企業はグローバル化が遅れている
ため、海外の豊富なリソースを活用できていないという点も指摘されている。

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ベンチャー企業をサポートする多様な人材や組織が、一定程度揃い相互に関連しながら活動するこ
とで、ベンチャー 企業 が次 々と立ち上がり 、 その中か ら 大きく成長する ところが 出現する、という状
況が継続的に生じる仕組み。(平成 3 0 年度地方創生に向けたスタートアップ・エコシステム整備促進
に関する調査事業報告書 平成 3 1 年(2019 年)2月 経済産業省中国経済産業局)
政策研ニュース No.64 2021 年 1 1 月 p92

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