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薬-2参考3○令和6年度薬価改定の主な課題と議論の進め方について (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212451_00064.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会(第202回 6/21)《厚生労働省》
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1.2.2


ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念

海外で使用されている医薬品が、日本で上市又は開発されておらず使用できないとい
う、いわゆるドラッグ・ラグ問題については、かつては国内での承認審査に長期間を
要し て いた こ と等 に よ り生 じ てい た が、 独 立 行政 法 人医 薬 品医 療 機 器総 合 機構 ( PMDA)
による承認審査の迅速化や国際共同治験の推進等により、その解消が図られてきたと
ころである。



しかしながら、近年において、欧米では承認されているが国内では未承認の医薬品が
拡大する兆候が見られている。令和5年(2023 年)3月時点の日本製薬工業協会から
の情報によると、欧米で承認されているにもかかわらず、国内では未承認の医薬品が
143 品目あり、このうち、国内で開発未着手となっている医薬品は 86 品目(未承認薬
のうち 60.1%)あるとの報告が行われている。国内開発が未着手の 86 品目について、
その内訳を見ると、ベンチャー企業発の医薬品や、希少疾病用医薬品、小児用医薬品
の割合が比較的多くなっている。



このような状況は、過去に見られたように、欧米と比べて日本での承認時期が遅れる
というドラッグ・ラグのみならず、そもそも海外企業による日本での開発が行われな
いというドラッグ・ロスの懸念も生じていることを示している。



この背景には、企業経営に影響を与える薬価引き下げや薬価制度の予見可能性、日本
市場への成長期待の低さが、外資系企業の日本市場への医薬品上市の敬遠につながっ
ていることが指摘されている。



特に、国内での開発の未着手の割合が高い希少疾病や小児、難病等を対象とした医薬
品については、相対的に市場規模が小さいこともあり、日本市場では安定的な売上げ
が見込めないと捉えられているおそれがある ことが指摘されている。



また、こうした薬価制度に起因する課題に加え、患者数の少ない疾患であっても、薬
事承認申請において、日本人を組み入れた臨床試験で有効性、安全性を検証すること
が求められることによる負担増といった薬事の課題も指摘されている。

(臨床試験、薬事制度)


医薬品の開発において、最もコストを要するのは臨床試験の実施であるが、日本にお
ける臨床試験の実施コストは、国際的にも比較的高い方であると言われている。その
理由としては、医療機関における臨床試験費用の算出根拠が国際標準とは異なること
や、医療機関の規模が小さく、被験者の人数に比して医療機関の数が多くなることか
ら、契約等の手続に要する手間が多いこと等が挙げられる 2 9 。



海外のベンチャー企業が医薬品開発を行う場合、日本での開発は行われないことが多
い。製薬企業が医薬品開発を行う地域の優先順位は、一般に、最も市場規模の大きな
米国が最優先であり、次に、人種が共通であり米国での承認申請に用いたデータをそ
のまま活用しやすい欧州が優先される。その次にアジア地域が検討されるが、米国と

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疾患領域や薬剤によっては、低コストで臨床試験を実施できる場合もあるが、平均的には高コスト
であると認識されている。

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