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公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査 (7 ページ)

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出典情報 公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査(8/31)《日本総合研究所》
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調査から得られた⽰唆
本章では、医療提供体制、給付と負担、ドラッグラグ・ドラッグロスの 3 つの観点で、今回得られた調査

結果を考察し、政府で⾏うべき議論の⽅向性を⽰す。
医療提供体制の観点では「①医療情報連携の推進」、「②かかりつけ医機能が発揮される制度整
備・情報発信」、給付と負担では「③預貯⾦などの⾦融資産も考慮した⾼齢者負担の⾒直し」、「④公
的医療保険の対象とすべき薬の取捨選択」、ドラッグラグ・ドラッグロスでは「⑤ドラッグラグ・ドラッグロス解
消のための制度整備」を進めるべきである。
留意する点として、①と②のような効率的な医療提供体制を構築し医療費の削減を進めたうえ、③と
④のような給付と負担の⾒直しが議論されるべきである。なぜならば、調査結果として、国⺠の負担増を
議論するのであれば優先的に政府が進めるべき施策としてより⽀持されたのは「医療情報の連携」「安価
な治療⽅法の推進」「重症化予防の推進」であって、「保険適⽤範囲の⾒直し」は最も⽀持されなかっ
た。保険適⽤の⾒直しの議論は重要であるものの、他の施策により医療費を削減していくことが国⺠の
意思に沿っていると考えられる。
① 医療情報連携の推進
現在、患者の診断や治療に関する医療データは、原則としてそれぞれの医療機関が管理している。そ
のため、例えば、過去に他の医療機関で受けた治療の結果や撮影した CT 画像を、他の医療機関が参
照することはほとんど⾏われていない。
今回の調査から、政府が進めるべき施策として「医療情報の連携」が最も⽀持された。さらに、4 割以
上の⼈が、⾃⾝の診療情報や処⽅情報が受診するすべての医療機関に共有されることに同意できる、
と回答した。
このような国⺠の声は、政府が進めている医療 DX の1つである「全国医療情報プラットフォーム」構築
の議論と、⽅向性が⼀致していると⾔える。2020 年の調査では 400 床以上の病院の電⼦カルテの導
⼊率は 91%であるものの、200 床未満の医療機関の導⼊率は半分に満たない9。医療機関への電⼦
カルテの導⼊や標準化を推進し、「全国医療情報プラットフォーム」を早期かつ確実に実現する必要があ
る。
② かかりつけ医機能が発揮される制度整備・情報発信
新型コロナウイルスの流⾏により、「かかりつけ医機能などの地域医療の機能が⼗分作動せず総合病
院に⼤きな負荷がかかるなどの課題」10があった。対して、政府は、Web ページ11やポスターなどを活⽤し
て、国⺠に対してかかりつけ医の機能やかかりつけ医を持つメリットを⽰して、かかりつけ医を持つことを積
極的に推奨している。
9

厚⽣労働省「電⼦カルテシステム等の普及状況の推移」(2020 年)

10

内閣官房 全世代型社会保障構築会議「議論の中間整理」(2022 年)

11

厚⽣労働省 公式ウェブサイト「上⼿な医療のかかり⽅.jp」 厚⽣労働省|「かかりつけ医」ってなに︖ (mhlw.go.jp)

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