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公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査 (8 ページ)
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出典情報 | 公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査(8/31)《日本総合研究所》 |
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しかし、かかりつけ医を持っている⼈は、半数程度にとどまっていることが本調査で明らかになった。さらに、
かかりつけ医を持っている⼈の中で、⾃⾝のかかりつけ医に関して、「家族の状況も相談できる」と思ってい
る⼈が 17%、「⾃分の他の医療機関の受診状況を把握しており、適切なアドバイスをしてくれる」が
29%と低い。
このように、国が提唱する役割を担うかかりつけ医を持つ国⺠は多くない。⼀⽅で、かかりつけ医の機能
のイメージが、現状では国⺠に⼗分浸透していないとも考えられる。そのため、かかりつけ医機能が発揮さ
れる制度整備や、多くの国⺠がかかりつけ医の機能を正しく理解できるような情報提供の⼯夫が求めら
れる。
③ 預貯⾦などの⾦融資産も考慮した⾼齢者負担の⾒直し
現在の公的医療保険では、現役世代の公的保険料が⾼齢者の医療にかかる費⽤を⽀えており12、
現役世代の公的保険料も増加傾向にある。実際に、健保組合に加⼊する従業員 1 ⼈当たりが⽀払う
年間保険料の平均は、2008 年では 19 万円であったが、2022 年には 25 万円13となっており、約 15
年間で 30%の負担増となっている。また、増加する医療費を抑制するため、2022 年 10 ⽉から、75
歳以上の⾼齢者のうち⼀定以上の所得のある⼈の⾃⼰負担率が 1 割から 2 割に変更となった。
今回の調査から、医療の効率化に取り組んでいるという前提において、公的保険料や⾃⼰負担額の
増額などさらなる国⺠の負担増が必要な場合、67%の⼈が「現役世代だけでなく、⾼齢者を含む国⺠
全体で負担すべき」と思っていることがわかった。 60 代は 63%、70 代以上は 68%であり、他の世代と
⼤きな差はないことが調査から⽰された。さらに、58%の⼈が、⾼齢者への負担増が必要な場合、所得
のみならず、預貯⾦などの⾦融資産なども考慮して⾃⼰負担額の割合を決めるべきと考えていることがわ
かった。
そのため、国⺠の負担増が必要であれば幅広い世代で負担し、⾼齢者の窓⼝負担に関しては、所得
だけではなく預貯⾦などの⾦融資産などの⽀払い能⼒に応じた負担の検討が求められる。
④ 公的医療保険の対象とすべき薬の取捨選択
湿布や塗り薬、解熱剤やせき⽌めの薬を市販品より安く⼊⼿するために、患者が医療機関を受診する
ケースは多く、過剰な受診を招く要因になっているとかねてから指摘されている14。さらに、希少疾患やが
んなどの治療で使われる⾼額な薬は、医療保険財政を圧迫する要因の1つとなっている15。
今回の調査では、医師が処⽅しなくてもドラッグストアなどで買える薬に関して、湿布や塗り薬などの外
⽤薬は 50%の⼈が、解熱剤やせき⽌めなどの内服薬は 44%の⼈が、公的医療保険の対象とすべきで
12
厚⽣労働省「医療保険に関する基礎資料 〜令和元年度の医療費等の状況〜 参考 5」(2022 年)
13
健康保険組合連合会「令和 4 年度(2022 年度)健保組合予算編成状況について ―令和 4 年度予算早期集計結果報告
― )」(2022 年)*会社が折半で負担する保険料は含まない
14
産経新聞「市販類似薬は保険対象外 病院処⽅の⾵邪薬など 医療費抑制へ政府調整」(2019 年 12 ⽉ 1 ⽇)
15
産経新聞「市販類似薬は保険対象外 病院処⽅の⾵邪薬など 医療費抑制へ政府調整」(2019 年 12 ⽉ 1 ⽇)
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かかりつけ医を持っている⼈の中で、⾃⾝のかかりつけ医に関して、「家族の状況も相談できる」と思ってい
る⼈が 17%、「⾃分の他の医療機関の受診状況を把握しており、適切なアドバイスをしてくれる」が
29%と低い。
このように、国が提唱する役割を担うかかりつけ医を持つ国⺠は多くない。⼀⽅で、かかりつけ医の機能
のイメージが、現状では国⺠に⼗分浸透していないとも考えられる。そのため、かかりつけ医機能が発揮さ
れる制度整備や、多くの国⺠がかかりつけ医の機能を正しく理解できるような情報提供の⼯夫が求めら
れる。
③ 預貯⾦などの⾦融資産も考慮した⾼齢者負担の⾒直し
現在の公的医療保険では、現役世代の公的保険料が⾼齢者の医療にかかる費⽤を⽀えており12、
現役世代の公的保険料も増加傾向にある。実際に、健保組合に加⼊する従業員 1 ⼈当たりが⽀払う
年間保険料の平均は、2008 年では 19 万円であったが、2022 年には 25 万円13となっており、約 15
年間で 30%の負担増となっている。また、増加する医療費を抑制するため、2022 年 10 ⽉から、75
歳以上の⾼齢者のうち⼀定以上の所得のある⼈の⾃⼰負担率が 1 割から 2 割に変更となった。
今回の調査から、医療の効率化に取り組んでいるという前提において、公的保険料や⾃⼰負担額の
増額などさらなる国⺠の負担増が必要な場合、67%の⼈が「現役世代だけでなく、⾼齢者を含む国⺠
全体で負担すべき」と思っていることがわかった。 60 代は 63%、70 代以上は 68%であり、他の世代と
⼤きな差はないことが調査から⽰された。さらに、58%の⼈が、⾼齢者への負担増が必要な場合、所得
のみならず、預貯⾦などの⾦融資産なども考慮して⾃⼰負担額の割合を決めるべきと考えていることがわ
かった。
そのため、国⺠の負担増が必要であれば幅広い世代で負担し、⾼齢者の窓⼝負担に関しては、所得
だけではなく預貯⾦などの⾦融資産などの⽀払い能⼒に応じた負担の検討が求められる。
④ 公的医療保険の対象とすべき薬の取捨選択
湿布や塗り薬、解熱剤やせき⽌めの薬を市販品より安く⼊⼿するために、患者が医療機関を受診する
ケースは多く、過剰な受診を招く要因になっているとかねてから指摘されている14。さらに、希少疾患やが
んなどの治療で使われる⾼額な薬は、医療保険財政を圧迫する要因の1つとなっている15。
今回の調査では、医師が処⽅しなくてもドラッグストアなどで買える薬に関して、湿布や塗り薬などの外
⽤薬は 50%の⼈が、解熱剤やせき⽌めなどの内服薬は 44%の⼈が、公的医療保険の対象とすべきで
12
厚⽣労働省「医療保険に関する基礎資料 〜令和元年度の医療費等の状況〜 参考 5」(2022 年)
13
健康保険組合連合会「令和 4 年度(2022 年度)健保組合予算編成状況について ―令和 4 年度予算早期集計結果報告
― )」(2022 年)*会社が折半で負担する保険料は含まない
14
産経新聞「市販類似薬は保険対象外 病院処⽅の⾵邪薬など 医療費抑制へ政府調整」(2019 年 12 ⽉ 1 ⽇)
15
産経新聞「市販類似薬は保険対象外 病院処⽅の⾵邪薬など 医療費抑制へ政府調整」(2019 年 12 ⽉ 1 ⽇)
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