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公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査 (9 ページ)

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出典情報 公的医療保険制度の持続可能性に関する国民調査(8/31)《日本総合研究所》
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“ない”と考えていることがわかった。⼀⽅で、⽣命に危険が及ぶような希少疾患に対して医師が処⽅する
薬に関しては 71%の⼈が、がんの薬に関しては 74%が、公的医療保険の対象と”すべき”と考えている。
そのため、公的医療保険制度の持続可能性維持のため、「⼤きなリスクは共助、⼩さなリスクは⾃助」
という考え⽅を基に、公的医療保険の対象となる薬の取捨選択が必要であると⽰された。
⑤ ドラッグラグ・ドラッグロス解消のための制度整備
海外の新しい希少疾患やがんなどに対する薬などが⽇本で承認されていない「ドラッグラグ」や、⽇本で
開発に着⼿されていない「ドラッグロス」の問題に対する懸念が⾼まっている。主要 14 カ国の中で⽇本の
医薬品市場のみがマイナス成⻑と予想されているという調査結果16も出ており、欧⽶企業が⽇本への新
薬投⼊をためらい始めているという17。ドラッグラグ・ドラッグロスとなっている薬の数は年々増えており、欧⽶
では承認されているが、⽇本では承認されていない薬の合計は、2016 年時点で 117 品⽬であったもの
の、2020 年時点では 176 品⽬18に急増している。
今回の調査から、58%の⼈が、国⺠医療費が⾼くなったとしても、海外で使われている最先端の薬を
公的医療保険の対象に⼊れるべきだと考えていることがわかった。そういったニーズを持つにも関わらず、ド
ラッグラグ・ドラッグロスの問題を、国⺠の 4 分の 3 が知らない現状が明らかになった。
ドラッグラグ・ドラッグロスの原因の1つとして、「⽇本の薬価制度は予⾒可能性が低く、イノベーションの
評価が不⼗分であること、薬価収載時の価格が欧⽶と⽐較して低いこと」が指摘されている19。製薬企
業における投資回収の予⾒可能性を⾼め、⽇本の医薬品市場の魅⼒を向上させるために、厚⽣労働
省の有識者検討会で提⾔されているような薬価基準制度の整備20を⾏うべきである。

16

IQVIA「Global Medicine Spending and Usage Trends - Outlook to 2025」(2021)

17

⽇本経済新聞「薬価引き下げが招く「ドラッグロス」 投⼊ためらう企業」(2023 年 5 ⽉ 31 ⽇)

18

医薬産業政策研究所「ドラッグ・ラグ︓国内未承認薬の状況とその特徴」(2021)

19

⾃由⺠主党政務調査会 社会保障制度調査会 創薬⼒の強化育成に関する PT「創薬⼒の強化育成に関するプロジェクトチーム

提⾔」(2023 年 5 ⽉ 30 ⽇)
20

厚⽣労働省 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総

合対策に関する有識者検討会 報告書」(2023 年 6 ⽉ 9 ⽇)の「2.2.3 薬価基準制度における対応」で記載されている制
度改定

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