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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[321KB] (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40727.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第1回 6/19)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
27 線虫症
28
鳥インフルエン
ザ
出典
Vet Res Commun.
48(2024)527-531
概要
Halicephalobus gingivalis はPanagrolaimidae科に属する線虫の一種である。こ
れはヒト及び動物、特に免疫不全症の者において重篤な感染に関連する日和
見病原体である。ヒトにおけるH. gingivalis 感染症は稀であるが、重症でしばし
ば致死的となることがある。感染の臨床症状には、皮膚病変、中枢神経系合併
症、全身性炎症がある。ウマはH. gingivalis 感染に特に感受性がある。ウマに
おけるH. gingivalis 感染症の初期症状は、発熱、うつ病、食欲不振がある。感染
が進行すると、運動失調、旋回、頭部圧迫、痙攣発作などの神経学的徴候が発
現する。中枢神経系に広範な損傷を引き起こし、麻痺や死に至ることもある。臨
床徴候は特異的ではなく、他の神経疾患と類似しているため、ウマにおけるH.
gingivalis 感染の診断は困難である。本研究では、イラン北部のウマにおける
Halicephalobus spp.、特にHalicephalobus gingivalis の保有率を調べた。無作為
に選択したウマからの141の糞便サンプルをGI蠕虫卵について分析した。糞便
中に存在するHalicephalobus spp.卵を分子法により同定した。PCRで18S DNA
の部分5′可変領域(~390bp)を増幅し、得られたPCR産物を配列決定した
後、GenBankから利用可能な配列を用いて系統解析を行った。141の糞便サン
プル中5つのサンプルが40-50×50-60μmの範囲の小さな楕円体線虫卵に感
染していることが明らかになった。本研究のPCRアンプリコンは、2.0%アガロー
スゲル上で~390bpのバンドを示し、18S DNAの部分配列(363bp)を得た。得ら
れた部分配列は、H. gingivalis 由来のGenBankに存在する関連配列と93.8599.48%の類似性を示した。本研究では、18S rDNAの可変領域を標的とする分
子法を用いて、イランのウマの糞便サンプル中のH. gingivalis DNAを初めて検
出した。本研究は、ウマにおけるH. gingivalis の改良された診断と疫学研究のた
めの分子ツールの可能性を強調する。
2022年10月以降、太平洋移動経路に沿ったいくつかの南米諸国で鳥インフル
エンザA/H5Nxウイルスによる野鳥の死亡が報告されているが、南米のウイル
スゲノムデータはまだ少なく、ブラジル領内では症例は報告されていなかった。
しかし2023年5月、ブラジルEspirito Santo州Marataizes市で発見された2例の
Cabot's tern(Thalasseus acuflavidus)で、ブラジルで初めての高病原性鳥イン
フルエンザウイルス(HPAI A/H5N1)による症例が確認された。この野鳥におけ
る最初のアウトブレイクの後、裏庭飼育家禽と他の野鳥の症例が検出された。
しかしこれまでのところ、ブラジル領内では商業用農場の家禽やヒトの症例は
報告されていない。本研究ではブラジルで初めてのHPAI A/H5N1症例において
死亡したCabot's ternから中枢神経系試料を採取し、次世代配列決定と系統解
Vet Anim Sci. 22(2023)
析を用いて分離株を分析した。分離株は、セグメント4-HAとセグメント6-NAの
100319
配列より2.3.4.4bクレードに属することが確認された。また、2022年と2023年にチ
リとペルーで検出されたA/H5N1ウイルスのすべての配列と単一のクラスターを
形成し、太平洋に面した南米諸国のこれらの配列に最も系統発生的に近いこと
が確認された。ブラジル株とチリ/ペルー株の類似性レベルは99%であった。太
平洋経路を横切るCabot's ternなどの野鳥の移動経路は、こういった渡り鳥の
地理的分散の後の系統樹地勢学を説明するだろう。ブラジルではこれまで、
HPAI A/H5Nxウイルスは裏庭飼育鳥類と野鳥でのみ検出されている。局所的
に循環する鳥インフルエンザウイルスによる再集合イベントの可能性を検出す
るために、A/H5Nxウイルスと非A/H5ウイルスのさらなる配列決定を継続すべ
きである。
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鳥インフルエン
ザ
出典
Vet Res Commun.
48(2024)527-531
概要
Halicephalobus gingivalis はPanagrolaimidae科に属する線虫の一種である。こ
れはヒト及び動物、特に免疫不全症の者において重篤な感染に関連する日和
見病原体である。ヒトにおけるH. gingivalis 感染症は稀であるが、重症でしばし
ば致死的となることがある。感染の臨床症状には、皮膚病変、中枢神経系合併
症、全身性炎症がある。ウマはH. gingivalis 感染に特に感受性がある。ウマに
おけるH. gingivalis 感染症の初期症状は、発熱、うつ病、食欲不振がある。感染
が進行すると、運動失調、旋回、頭部圧迫、痙攣発作などの神経学的徴候が発
現する。中枢神経系に広範な損傷を引き起こし、麻痺や死に至ることもある。臨
床徴候は特異的ではなく、他の神経疾患と類似しているため、ウマにおけるH.
gingivalis 感染の診断は困難である。本研究では、イラン北部のウマにおける
Halicephalobus spp.、特にHalicephalobus gingivalis の保有率を調べた。無作為
に選択したウマからの141の糞便サンプルをGI蠕虫卵について分析した。糞便
中に存在するHalicephalobus spp.卵を分子法により同定した。PCRで18S DNA
の部分5′可変領域(~390bp)を増幅し、得られたPCR産物を配列決定した
後、GenBankから利用可能な配列を用いて系統解析を行った。141の糞便サン
プル中5つのサンプルが40-50×50-60μmの範囲の小さな楕円体線虫卵に感
染していることが明らかになった。本研究のPCRアンプリコンは、2.0%アガロー
スゲル上で~390bpのバンドを示し、18S DNAの部分配列(363bp)を得た。得ら
れた部分配列は、H. gingivalis 由来のGenBankに存在する関連配列と93.8599.48%の類似性を示した。本研究では、18S rDNAの可変領域を標的とする分
子法を用いて、イランのウマの糞便サンプル中のH. gingivalis DNAを初めて検
出した。本研究は、ウマにおけるH. gingivalis の改良された診断と疫学研究のた
めの分子ツールの可能性を強調する。
2022年10月以降、太平洋移動経路に沿ったいくつかの南米諸国で鳥インフル
エンザA/H5Nxウイルスによる野鳥の死亡が報告されているが、南米のウイル
スゲノムデータはまだ少なく、ブラジル領内では症例は報告されていなかった。
しかし2023年5月、ブラジルEspirito Santo州Marataizes市で発見された2例の
Cabot's tern(Thalasseus acuflavidus)で、ブラジルで初めての高病原性鳥イン
フルエンザウイルス(HPAI A/H5N1)による症例が確認された。この野鳥におけ
る最初のアウトブレイクの後、裏庭飼育家禽と他の野鳥の症例が検出された。
しかしこれまでのところ、ブラジル領内では商業用農場の家禽やヒトの症例は
報告されていない。本研究ではブラジルで初めてのHPAI A/H5N1症例において
死亡したCabot's ternから中枢神経系試料を採取し、次世代配列決定と系統解
Vet Anim Sci. 22(2023)
析を用いて分離株を分析した。分離株は、セグメント4-HAとセグメント6-NAの
100319
配列より2.3.4.4bクレードに属することが確認された。また、2022年と2023年にチ
リとペルーで検出されたA/H5N1ウイルスのすべての配列と単一のクラスターを
形成し、太平洋に面した南米諸国のこれらの配列に最も系統発生的に近いこと
が確認された。ブラジル株とチリ/ペルー株の類似性レベルは99%であった。太
平洋経路を横切るCabot's ternなどの野鳥の移動経路は、こういった渡り鳥の
地理的分散の後の系統樹地勢学を説明するだろう。ブラジルではこれまで、
HPAI A/H5Nxウイルスは裏庭飼育鳥類と野鳥でのみ検出されている。局所的
に循環する鳥インフルエンザウイルスによる再集合イベントの可能性を検出す
るために、A/H5Nxウイルスと非A/H5ウイルスのさらなる配列決定を継続すべ
きである。
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