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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[321KB] (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40727.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第1回 6/19)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
8 ウシ結核
9
サシチョウバエ
熱
出典
概要
Microbiol Spectr.
12:2(2024)e02692-23
ウシ結核は世界のウシの7%が罹患していると推測される慢性疾患で、流行国
では大きな経済的損失に直面している。ウシ結核の最も頻度の高い病原体とし
て報告されているMycobacterium bovis は、Mycobacterium tuberculosis 複合体
(MTBC)と呼ばれる結核を引き起こす抗酸菌群に含まれている。あまり知られ
ていないMTBCであるM. orygis もウシ結核を引き起こし、M. orygis は南アジア
のウシとヒト、南アジアからの移民、バングラデシュのウシとサルで報告されて
いる。パキスタンにおけるウシ結核の研究では、人獣共通感染性結核・ウシ結
核の原因としてM. bovis だけが報告されている。本研究ではパキスタンの屠殺
場でウシとスイギュウの結核様病変を収集し、MTBC亜種を同定するための分
子アッセイを実施した。2021年11月~2022年3月に、パンジャブ州Lahore市で最
大の公的屠殺場で屠殺された3,581頭(ウシ441頭、スイギュウ3,140頭)のうち
400頭が、組織上のあらゆるタイプの病変(肉芽腫、壊死、膿瘍、線維化、嚢胞)
の存在に基づき選択された。これら400の枝肉を臨床的に結核を示唆する病変
についてスクリーニングし、結核様病変試料34例(ウシ4例、スイギュウ30例)が
得られた。すべてのPCRアッセイとSanger配列決定により、この34例から合計20
株のMTBCサンプルが得られた(M. orygis が10株、M. tuberculosis sensu
stricto が8株、MTBCに分類される株が2株)。過去にパキスタンの研究で使用さ
れてきたJB21、JB22プライマーによるPCRではM. bovis の存在を示す誤った結
果が得られたことから、これまでの研究ではJBプライマーが使用され陽性試料
がM. bovis として報告されたため、M. orygis はこれまでパキスタンで同定されて
いなかったことが示唆された。本研究はパキスタンの動物由来のM. orygis を報
告する最初の研究であり、パキスタンのウシ結核症例由来の全ゲノム配列が得
られた最初の研究である。本研究の結果はLahoreのウシに結核が存在し、M.
orygis とM. tuberculosis sensu stricto によって引き起こされたことを示す。今後
の研究では、MTBCのメンバーを確実に鑑別できる分子的方法を用いるべきで
ある。
One Health. 17(2023)
100601
サシチョウバエが生息する地域の家畜とヒトでいくつかのフレボウイルスの高い
血清陽性率が報告されている。シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス(SFSV)と
トスカーナウイルス(TOSV)は、Phlebotomus sandflyによってよく感染するフレ
ボウイルスの2つである。SFSVは急速に回復する軽度熱性疾患を引き起こす
が、TOSVは中枢神経系に関与し無菌性髄膜炎から髄膜脳炎までの疾患を引
き起こす可能性がある。これまでサウジアラビアではサシチョウバエ関連フレボ
ウイルスについて調査されておらず、同国における分布率を考えるとサシチョウ
バエは感染の原因となる可能性がある。本研究ではサウジアラビア西部地域に
おいて献血者、家畜、動物取扱業者から収集した試料でSFSVとTOSVの血清
陽性率を調査した。2012~2016年に血液ドナーから収集した合計705の保存ヒ
ト血清試料、家畜動物と直接接触した動物取扱業者(肉屋と羊飼い)から2019
年に収集した313の血清試料、2019年に家畜動物から収集した合計228の保存
血清試料(ウシ45頭、ヤギ44頭、ラクダ88頭、ヒツジ51頭)を、SFSVとTOSVにつ
いてスクリーニングした。SFSVとTOSVの全体的な血清陽性率はヒトではそれ
ぞれ9.4%と0.8%であった。血清陽性率はサウジ人よりも非サウジ人の方が有
意に高く、SFSVでは年齢と共に陽性率が有意に上昇した。最も高い血清陽性
率は動物取扱業者から収集した試料で認められた。血液ドナーの陽性率は
SFSVとTOSVがそれぞれ6.4%と0.7%、動物取扱業者はそれぞれ16%と1%と
いう高い血清陽性率を示し、家畜動物との接触がリスク因子である可能性が示
唆された。家畜の血清陽性率はSFSVとTOSVがそれぞれウシで53.3%と4.4%、
ヒツジで27.5%と7.8%、ヤギで2.2%と0.0%、ラクダで10.0%と2.3%であった。こ
れはサウジアラビアにおけるSFSVとTOSVの陽性率を測定した初の大規模集
団ベース血清疫学分析である。本研究の結果は、サウジアラビア西部地域のヒ
トと家畜においてSFSVとTOSVの両方が異なる割合で循環しており、年齢と家
畜への接触がこれらのウイルス感染のリスク因子であることを示唆する。
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サシチョウバエ
熱
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概要
Microbiol Spectr.
12:2(2024)e02692-23
ウシ結核は世界のウシの7%が罹患していると推測される慢性疾患で、流行国
では大きな経済的損失に直面している。ウシ結核の最も頻度の高い病原体とし
て報告されているMycobacterium bovis は、Mycobacterium tuberculosis 複合体
(MTBC)と呼ばれる結核を引き起こす抗酸菌群に含まれている。あまり知られ
ていないMTBCであるM. orygis もウシ結核を引き起こし、M. orygis は南アジア
のウシとヒト、南アジアからの移民、バングラデシュのウシとサルで報告されて
いる。パキスタンにおけるウシ結核の研究では、人獣共通感染性結核・ウシ結
核の原因としてM. bovis だけが報告されている。本研究ではパキスタンの屠殺
場でウシとスイギュウの結核様病変を収集し、MTBC亜種を同定するための分
子アッセイを実施した。2021年11月~2022年3月に、パンジャブ州Lahore市で最
大の公的屠殺場で屠殺された3,581頭(ウシ441頭、スイギュウ3,140頭)のうち
400頭が、組織上のあらゆるタイプの病変(肉芽腫、壊死、膿瘍、線維化、嚢胞)
の存在に基づき選択された。これら400の枝肉を臨床的に結核を示唆する病変
についてスクリーニングし、結核様病変試料34例(ウシ4例、スイギュウ30例)が
得られた。すべてのPCRアッセイとSanger配列決定により、この34例から合計20
株のMTBCサンプルが得られた(M. orygis が10株、M. tuberculosis sensu
stricto が8株、MTBCに分類される株が2株)。過去にパキスタンの研究で使用さ
れてきたJB21、JB22プライマーによるPCRではM. bovis の存在を示す誤った結
果が得られたことから、これまでの研究ではJBプライマーが使用され陽性試料
がM. bovis として報告されたため、M. orygis はこれまでパキスタンで同定されて
いなかったことが示唆された。本研究はパキスタンの動物由来のM. orygis を報
告する最初の研究であり、パキスタンのウシ結核症例由来の全ゲノム配列が得
られた最初の研究である。本研究の結果はLahoreのウシに結核が存在し、M.
orygis とM. tuberculosis sensu stricto によって引き起こされたことを示す。今後
の研究では、MTBCのメンバーを確実に鑑別できる分子的方法を用いるべきで
ある。
One Health. 17(2023)
100601
サシチョウバエが生息する地域の家畜とヒトでいくつかのフレボウイルスの高い
血清陽性率が報告されている。シチリア型サシチョウバエ熱ウイルス(SFSV)と
トスカーナウイルス(TOSV)は、Phlebotomus sandflyによってよく感染するフレ
ボウイルスの2つである。SFSVは急速に回復する軽度熱性疾患を引き起こす
が、TOSVは中枢神経系に関与し無菌性髄膜炎から髄膜脳炎までの疾患を引
き起こす可能性がある。これまでサウジアラビアではサシチョウバエ関連フレボ
ウイルスについて調査されておらず、同国における分布率を考えるとサシチョウ
バエは感染の原因となる可能性がある。本研究ではサウジアラビア西部地域に
おいて献血者、家畜、動物取扱業者から収集した試料でSFSVとTOSVの血清
陽性率を調査した。2012~2016年に血液ドナーから収集した合計705の保存ヒ
ト血清試料、家畜動物と直接接触した動物取扱業者(肉屋と羊飼い)から2019
年に収集した313の血清試料、2019年に家畜動物から収集した合計228の保存
血清試料(ウシ45頭、ヤギ44頭、ラクダ88頭、ヒツジ51頭)を、SFSVとTOSVにつ
いてスクリーニングした。SFSVとTOSVの全体的な血清陽性率はヒトではそれ
ぞれ9.4%と0.8%であった。血清陽性率はサウジ人よりも非サウジ人の方が有
意に高く、SFSVでは年齢と共に陽性率が有意に上昇した。最も高い血清陽性
率は動物取扱業者から収集した試料で認められた。血液ドナーの陽性率は
SFSVとTOSVがそれぞれ6.4%と0.7%、動物取扱業者はそれぞれ16%と1%と
いう高い血清陽性率を示し、家畜動物との接触がリスク因子である可能性が示
唆された。家畜の血清陽性率はSFSVとTOSVがそれぞれウシで53.3%と4.4%、
ヒツジで27.5%と7.8%、ヤギで2.2%と0.0%、ラクダで10.0%と2.3%であった。こ
れはサウジアラビアにおけるSFSVとTOSVの陽性率を測定した初の大規模集
団ベース血清疫学分析である。本研究の結果は、サウジアラビア西部地域のヒ
トと家畜においてSFSVとTOSVの両方が異なる割合で循環しており、年齢と家
畜への接触がこれらのウイルス感染のリスク因子であることを示唆する。
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