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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[321KB] (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40727.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第1回 6/19)《厚生労働省》 |
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ID
10
感染症(PT)
トレポネーマ検
査陽性
11 ノカルジア症
出典
概要
Front Cell Infect
Microbiol. 13(2023)
1218049
トレポネーマはグラム陰性、らせん状にコイル化した偏性嫌気性又は微好気性
細菌で、非病原性種はヒトと動物の腸管、口腔、生殖管の正常細菌叢の一部と
なる場合があり、病原性種は疾患病因と複雑に関係するヒトと動物の多くの疾
患に関与する。ヒトではTreponema pallidum subsp. pallidum 、T. pallidum
subsp. pertenue 、T. pallidum subsp. pertenue 、T. carateum の4種/亜種が病原
体となる。T. phagedenis は経済・動物福祉に関して重要な、広範感染性足疾患
であるウシ趾皮膚炎の重要な因子として何度も報告されており、中枢神経系か
ら検出されたことはない。ここでは神経梅毒と臨床的に診断され、唯一の病原
体として脳脊髄液からT. phagedenis が検出された症例について報告する。患者
は62歳男性。2021年3月、原因不明の両下肢の無感覚と疼痛感覚を経験し、こ
の感覚は屈曲と長距離歩行の後に悪化した。8カ月後、長時間歩行後に両下肢
の脱力を感じた。12カ月後、歩行困難と両下肢の疼痛が徐々に増強したため、
当院に来院した。整形外科で腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアと診断
され、迅速血漿レアギン(RPR)試験(1:4)とT. pallidum 粒子凝集アッセイ
(TPPA)で梅毒陽性が示された。腰椎穿刺を勧めたが患者は退院し、さらなる
治療のために皮膚科に行くべきという助言に従わなかった。17カ月後に患者が
地元の病院で受けた治療は奏功せず、18カ月後に再度来院した。理学的検査
は下肢の疼痛感覚の低下を明らかにした。運動検査では、踵‐膝‐脛骨試験と
Romberg試験で陽性であった。RPR試験(1:2)とTPPA試験は梅毒陽性を示し
た。入院3日目に腰椎穿刺が行われ、メタゲノム次世代配列決定でT.
phagedenis が脳脊髄液中に唯一存在する微生物であることが確定した。14日
間ペニシリンGナトリウム400万単位q4h静注を投与され、症状は劇的に改善し
た。感染経路は不明である。利用可能なトレポネーマ属参照ゲノム配列決定
データに基づく系統樹構築では、全てのT. phagedenis 株が明確に異なる系統
を形成し、T. phagedenis ヒト分離株はウシ分離株から分かれた枝にクラスター
を構築するように見え、これは過去の報告と一致した。本症例では初めて患者
の脳脊髄液からT. phagedenis が検出され、これはメタゲノム次世代配列決定に
よる初めての検出でもあった。T. phagedenis 培養はできず病原性は確定させら
れなかった。より多くの梅毒症例における、培養と配列決定を含む病因学的検
査が推奨される。
Acta Vet Hung.
71(2023)65-70
Nocardia cyriacigeorgica はヒトノカルジア症のよく知られた病原体であり、患者
の気管支分泌物から初めて分離された。獣医学におけるN.cyriacigeorgica に関
するデータは少なく、これまでのところ、この細菌はブラジルと中国で、ウシ乳腺
炎の原因としてのみ報告されている。また、自然条件下でのウシ乳腺炎の病因
におけるN.cyriacigeorgica の臨床的意義はほとんど知られていない。本研究で
は、ボスニア・ヘルツェゴビナの酪農場において、従来の抗菌薬治療に反応し
なかったN.cyriacigeorgica に起因する重度のウシ乳腺炎の症例を報告する。
2022年5月初めに、ボスニア・ヘルツェゴビナ北東部の小規模酪農場で、6歳の
ウシに重度乳腺炎が発現した。このウシは泌乳初期(分娩後約90日)であり、乳
房感染歴はなかった。身体診察では、抑うつを伴った41.5℃の発熱、食欲不振
を認めた。触診では、乳房は非常に硬く、後部と乳頭が著しく腫大していたが、
皮膚の疼痛や発赤はなかった。乳量の減少を認めたが、分泌物の目視検査で
は肉眼的変化を認めなかった。乳サンプルを無菌状態下で患部から採取し、病
原体の分離後、種同定のためにPCRと多座配列分析(MLSA)を行った。部分的
gyrB、16S rRNA、secA1、hsp65配列を用いたMLSAによって検証した16S rRNA
配列分析の結果、100%の同一性と98.2%の完全性でN .cyriacigeorgica DSM
44484株が最も近縁していた。また、MLSAベースの系統樹解析の結果、分離さ
れた細菌がN. cyriacigeorgica であると確定した。また、分離株は、ヒト臨床サン
プル由来のN. cyriacigeorgica OAHPP13691株とクラスターを形成していた。
我々の知る限り、これは欧州の酪農場においてウシ乳腺炎の臨床症例からN.
cyriacigeorgica が分離された初めての報告であり、動物から分離された
Nocardia種を識別した最初のMLSA法アプローチである。
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感染症(PT)
トレポネーマ検
査陽性
11 ノカルジア症
出典
概要
Front Cell Infect
Microbiol. 13(2023)
1218049
トレポネーマはグラム陰性、らせん状にコイル化した偏性嫌気性又は微好気性
細菌で、非病原性種はヒトと動物の腸管、口腔、生殖管の正常細菌叢の一部と
なる場合があり、病原性種は疾患病因と複雑に関係するヒトと動物の多くの疾
患に関与する。ヒトではTreponema pallidum subsp. pallidum 、T. pallidum
subsp. pertenue 、T. pallidum subsp. pertenue 、T. carateum の4種/亜種が病原
体となる。T. phagedenis は経済・動物福祉に関して重要な、広範感染性足疾患
であるウシ趾皮膚炎の重要な因子として何度も報告されており、中枢神経系か
ら検出されたことはない。ここでは神経梅毒と臨床的に診断され、唯一の病原
体として脳脊髄液からT. phagedenis が検出された症例について報告する。患者
は62歳男性。2021年3月、原因不明の両下肢の無感覚と疼痛感覚を経験し、こ
の感覚は屈曲と長距離歩行の後に悪化した。8カ月後、長時間歩行後に両下肢
の脱力を感じた。12カ月後、歩行困難と両下肢の疼痛が徐々に増強したため、
当院に来院した。整形外科で腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアと診断
され、迅速血漿レアギン(RPR)試験(1:4)とT. pallidum 粒子凝集アッセイ
(TPPA)で梅毒陽性が示された。腰椎穿刺を勧めたが患者は退院し、さらなる
治療のために皮膚科に行くべきという助言に従わなかった。17カ月後に患者が
地元の病院で受けた治療は奏功せず、18カ月後に再度来院した。理学的検査
は下肢の疼痛感覚の低下を明らかにした。運動検査では、踵‐膝‐脛骨試験と
Romberg試験で陽性であった。RPR試験(1:2)とTPPA試験は梅毒陽性を示し
た。入院3日目に腰椎穿刺が行われ、メタゲノム次世代配列決定でT.
phagedenis が脳脊髄液中に唯一存在する微生物であることが確定した。14日
間ペニシリンGナトリウム400万単位q4h静注を投与され、症状は劇的に改善し
た。感染経路は不明である。利用可能なトレポネーマ属参照ゲノム配列決定
データに基づく系統樹構築では、全てのT. phagedenis 株が明確に異なる系統
を形成し、T. phagedenis ヒト分離株はウシ分離株から分かれた枝にクラスター
を構築するように見え、これは過去の報告と一致した。本症例では初めて患者
の脳脊髄液からT. phagedenis が検出され、これはメタゲノム次世代配列決定に
よる初めての検出でもあった。T. phagedenis 培養はできず病原性は確定させら
れなかった。より多くの梅毒症例における、培養と配列決定を含む病因学的検
査が推奨される。
Acta Vet Hung.
71(2023)65-70
Nocardia cyriacigeorgica はヒトノカルジア症のよく知られた病原体であり、患者
の気管支分泌物から初めて分離された。獣医学におけるN.cyriacigeorgica に関
するデータは少なく、これまでのところ、この細菌はブラジルと中国で、ウシ乳腺
炎の原因としてのみ報告されている。また、自然条件下でのウシ乳腺炎の病因
におけるN.cyriacigeorgica の臨床的意義はほとんど知られていない。本研究で
は、ボスニア・ヘルツェゴビナの酪農場において、従来の抗菌薬治療に反応し
なかったN.cyriacigeorgica に起因する重度のウシ乳腺炎の症例を報告する。
2022年5月初めに、ボスニア・ヘルツェゴビナ北東部の小規模酪農場で、6歳の
ウシに重度乳腺炎が発現した。このウシは泌乳初期(分娩後約90日)であり、乳
房感染歴はなかった。身体診察では、抑うつを伴った41.5℃の発熱、食欲不振
を認めた。触診では、乳房は非常に硬く、後部と乳頭が著しく腫大していたが、
皮膚の疼痛や発赤はなかった。乳量の減少を認めたが、分泌物の目視検査で
は肉眼的変化を認めなかった。乳サンプルを無菌状態下で患部から採取し、病
原体の分離後、種同定のためにPCRと多座配列分析(MLSA)を行った。部分的
gyrB、16S rRNA、secA1、hsp65配列を用いたMLSAによって検証した16S rRNA
配列分析の結果、100%の同一性と98.2%の完全性でN .cyriacigeorgica DSM
44484株が最も近縁していた。また、MLSAベースの系統樹解析の結果、分離さ
れた細菌がN. cyriacigeorgica であると確定した。また、分離株は、ヒト臨床サン
プル由来のN. cyriacigeorgica OAHPP13691株とクラスターを形成していた。
我々の知る限り、これは欧州の酪農場においてウシ乳腺炎の臨床症例からN.
cyriacigeorgica が分離された初めての報告であり、動物から分離された
Nocardia種を識別した最初のMLSA法アプローチである。
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