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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[476KB] (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44308.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第2回 10/24)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
13 テニア症
出典
PLoS One.
17(2022)e0275247
概要
豚条虫である有鉤条虫(T.solium )は、ブタとヒトの両方に影響を及ぼす、予防可能な人獣共通感染
症である嚢虫症の原因となっている。発展途上国の多くの農村地域では、T.solium の継続的な風土
感染がてんかんやその他の神経疾患の主な原因となっており、重大な経済的損失の原因となって
いる。WHOは、流行国でT.solium の制御戦略を実施する必要性を強調している。シミュレーションモ
デリングは、寄生虫の感染を制御したり排除したりするための戦略の設計と評価に重要な役割を果
たす。そのため、我々はペルーにおけるローカルスケールのT.solium 感染を表現したエージェント
ベーストモデル(ABM)であるCystiAgentを開発したが、WHOの目標を満たす信頼性の高いモデルを
実現するためには、課題が残されている。本文献では、ローカルスケールのT.solium 感染の新しい
ABMと、いくつかの流行地域で同時に観測されたヒトの条虫症とブタの嚢虫症の有病率にモデルの
出力を適合させるためのモデルキャリブレーションへの新しい、地域を限定しないアプローチを示
す。本モデルにより、ブタとヒトの感染プロセス、ヒトとブタの集団の空間分布、ヒトの消費用の豚肉
の生産及びペルー北西部の流行地域におけるブタと人の移動を含む、T.solium 感染に関連する全
ての側面が説明される。CystiAgentの新バージョンでは、ブタの感染とブタの汚染状態は個々の嚢
虫の蓄積に基づいている。ブタに感染している嚢虫の数によってT.solium 感染の重症度が決まり、こ
れらの嚢虫は屠殺されたブタから豚肉に移行するため、ブタの環境汚染レベルへの曝露と、豚肉を
食べたヒトが曝露する嚢虫の数との間に直接的な関連性がある。嚢虫数を導入することで、まだモ
デルに含まれていないT.soliu mの伝播の側面を直接表現できるようになり、ABMの柔軟性が高ま
る。T.solium に関連する疫学データの経験的測定には高いレベルの不確実性があるにも関わらず、
地域を限定せずに較正されたモデルのパラメータ化により、観測された有病率が許容可能な精度で
再現される。較正されたパラメータ化を含むモデルが、流行地域内でうまく移行できることを示してい
る。これにより、将来の研究では、限られた量の経験的データによって較正が妨げられる可能性の
ある村でのT.solium 制御介入策の設計と最適化について情報を得ることができ、これまでのモデル
と比較して、より広範な設定への応用の可能性が広がる。
T.solium taeniasisは、開発途上国の大部分の人々に影響を及ぼす顧みられない人畜共通感染症
14 テニア症
Zoonoses Public
Health. 68(2021)937946
である。本疾患はインドのパンジャブ州における風土病であり、それを制御することは公衆衛生上の
課題である。最近の研究では、州内で飼育されたブタにおけるT.solium taeniasisの真の有病率は
3.69%、州内の輸入されたブタでは8.77%と推定された。これと一致して、以前の研究でも、同州にお
ける推定有病率4.23%のブタの嚢虫症の風土病性が確認されている。ヒトの神経嚢虫症の症例も同
州から報告されており、2005年1月から2006年1月にかけて、パンジャブの三次医療病院で109症例
が記録された。そこで、今回の研究では、パンジャブで生産された豚肉からのT.solium 曝露のリスク
を、利用可能なパンジャブのデータを用いてパラメータ化した定量的リスク評価を用いて判定するこ
とを目的とした。食物連鎖に侵入する感染肉の量を減らすことは、本疾患を制御するために最も重
要であるが、T.solium taeniasisは、これまで十分な低温で数日間凍結処理されていなかった生又は
加熱が不十分な豚肉の摂取後にヒトに発生することが知られている。今回のモデルは、パンジャブ
州の豚肉消費者がT.solium の生存シストを摂取するリスクは低いことを示しているが、無視できる確
率ではない。インドの人々における神経嚢虫症の個体への影響だけでなく、集団への負担を考える
と、本研究は、ブタの嚢虫症対策がヒトの健康という観点からT.solium のライフサイクルにおいて重
要であることを示している。
1998年9月、マレーシアのIpohにおいて、ブタに接する農家の間で初めてニパウイルス(NiV)が検出
され、1999年2月初めまで発生し続けた。1998年12月末までにNegri Sembilanで2回目のアウトブレイ
Infectious disorders
クが発生し、Bukit Pelandokでは3回目のアウトブレイクも報告された。当初、これらのアウトブレイク
ニパウイルス感 drug targets.
は日本脳炎ウイルス(JEV)と考えられ、JEVのワクチン接種や蚊への対策が行われたが、ウイルス
15
染
22(2022)e17012220029 が拡大し続け多くのブタが死亡したため、JEV感染は除外された。1999年3月には、科学者によりNiV
6
の存在が確認された。一方、マレーシアからの汚染されたブタの輸入により1999年2月末にNiV感染
がシンガポールに拡大し、マレーシアでは1999年5月まで、ブタの殺処分、ブタの輸送禁止、監視活
動など、アウトブレイク抑制のため、複数の措置が講じられた。
NiVにおける酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)やウイルス中和試験(VNT)などの血清学的アッセイ
の方法に関する報告。NiVは、マレーシアのヒト脳炎発生時に初めて発見され、コウモリが保菌者で
Methods in molecular あることが特定された。1990年代後半にマレーシアとシンガポールでNiVの発生が最初に報告された
ニパウイルス感
16
biology. 2610(2023)17- とき、ブタが中間宿主としてヒトに感染した。その後、コウモリからヒト、ヒトからヒトへの直接感染のみ
染
29
が報告されているが、この病気の疫学においては依然としてブタがウイルス蔓延の潜在的な感染源
であると考えられている。ブタにおけるNiVを適切に特定するため、ELISAやVNTなどの血清学的アッ
セイの方法・手順を示している。
17
バランチジウム
症
バランチジウム
18
症
Acta Tropica.
223(2021)106069
システマティックレビューとメタアナリシスに基づいてBalantioides coli(B.coli) の疫学的、臨床的及び
検査室的特徴を分析した。1910年から2020年までの合計103件の論文が対象となり、これらのうち、
75件は臨床症例報告、28件は疫学研究であった。997人がB.coli に感染している可能性を示してお
り、エチオピアでは高い感染者数(47.5%)が観察された。16%を超える感染者がブタ又はその排泄
物の近くにいたため、ブタへの近接性とB.coli 陽性との間に有意な関連性(p<0.05)が確認された。主
な症状は赤痢であり、大腸への選択性が示唆された。腸管外感染は27人であり、泌尿生殖管への
定着も考えられた。最も一般的な治療法は、テトラサイクリン系薬剤とニトロイミダゾール誘導体との
併用であった。分析に使用された疫学的な論文は不均一性を示していたが、このレビューによって、
B.coli の症例に関連すると思われる要因を説明することができた。
B.coli はヒトに寄生する繊毛虫であり、ブタが主な保有宿主である。主な疫学的因子には、ブタとの
Research in veterinary
接触、基本的な衛生設備(給水、排水処理)や保健衛生の欠如などがある。ニューギニアでの研究
science. 135(2021)424にて、ブタがヒトの居住地あるいはその付近に保護されている場合、ヒトにおいて高いB.coli 有病率
431
が認められたと報告されている。
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感染症(PT)
13 テニア症
出典
PLoS One.
17(2022)e0275247
概要
豚条虫である有鉤条虫(T.solium )は、ブタとヒトの両方に影響を及ぼす、予防可能な人獣共通感染
症である嚢虫症の原因となっている。発展途上国の多くの農村地域では、T.solium の継続的な風土
感染がてんかんやその他の神経疾患の主な原因となっており、重大な経済的損失の原因となって
いる。WHOは、流行国でT.solium の制御戦略を実施する必要性を強調している。シミュレーションモ
デリングは、寄生虫の感染を制御したり排除したりするための戦略の設計と評価に重要な役割を果
たす。そのため、我々はペルーにおけるローカルスケールのT.solium 感染を表現したエージェント
ベーストモデル(ABM)であるCystiAgentを開発したが、WHOの目標を満たす信頼性の高いモデルを
実現するためには、課題が残されている。本文献では、ローカルスケールのT.solium 感染の新しい
ABMと、いくつかの流行地域で同時に観測されたヒトの条虫症とブタの嚢虫症の有病率にモデルの
出力を適合させるためのモデルキャリブレーションへの新しい、地域を限定しないアプローチを示
す。本モデルにより、ブタとヒトの感染プロセス、ヒトとブタの集団の空間分布、ヒトの消費用の豚肉
の生産及びペルー北西部の流行地域におけるブタと人の移動を含む、T.solium 感染に関連する全
ての側面が説明される。CystiAgentの新バージョンでは、ブタの感染とブタの汚染状態は個々の嚢
虫の蓄積に基づいている。ブタに感染している嚢虫の数によってT.solium 感染の重症度が決まり、こ
れらの嚢虫は屠殺されたブタから豚肉に移行するため、ブタの環境汚染レベルへの曝露と、豚肉を
食べたヒトが曝露する嚢虫の数との間に直接的な関連性がある。嚢虫数を導入することで、まだモ
デルに含まれていないT.soliu mの伝播の側面を直接表現できるようになり、ABMの柔軟性が高ま
る。T.solium に関連する疫学データの経験的測定には高いレベルの不確実性があるにも関わらず、
地域を限定せずに較正されたモデルのパラメータ化により、観測された有病率が許容可能な精度で
再現される。較正されたパラメータ化を含むモデルが、流行地域内でうまく移行できることを示してい
る。これにより、将来の研究では、限られた量の経験的データによって較正が妨げられる可能性の
ある村でのT.solium 制御介入策の設計と最適化について情報を得ることができ、これまでのモデル
と比較して、より広範な設定への応用の可能性が広がる。
T.solium taeniasisは、開発途上国の大部分の人々に影響を及ぼす顧みられない人畜共通感染症
14 テニア症
Zoonoses Public
Health. 68(2021)937946
である。本疾患はインドのパンジャブ州における風土病であり、それを制御することは公衆衛生上の
課題である。最近の研究では、州内で飼育されたブタにおけるT.solium taeniasisの真の有病率は
3.69%、州内の輸入されたブタでは8.77%と推定された。これと一致して、以前の研究でも、同州にお
ける推定有病率4.23%のブタの嚢虫症の風土病性が確認されている。ヒトの神経嚢虫症の症例も同
州から報告されており、2005年1月から2006年1月にかけて、パンジャブの三次医療病院で109症例
が記録された。そこで、今回の研究では、パンジャブで生産された豚肉からのT.solium 曝露のリスク
を、利用可能なパンジャブのデータを用いてパラメータ化した定量的リスク評価を用いて判定するこ
とを目的とした。食物連鎖に侵入する感染肉の量を減らすことは、本疾患を制御するために最も重
要であるが、T.solium taeniasisは、これまで十分な低温で数日間凍結処理されていなかった生又は
加熱が不十分な豚肉の摂取後にヒトに発生することが知られている。今回のモデルは、パンジャブ
州の豚肉消費者がT.solium の生存シストを摂取するリスクは低いことを示しているが、無視できる確
率ではない。インドの人々における神経嚢虫症の個体への影響だけでなく、集団への負担を考える
と、本研究は、ブタの嚢虫症対策がヒトの健康という観点からT.solium のライフサイクルにおいて重
要であることを示している。
1998年9月、マレーシアのIpohにおいて、ブタに接する農家の間で初めてニパウイルス(NiV)が検出
され、1999年2月初めまで発生し続けた。1998年12月末までにNegri Sembilanで2回目のアウトブレイ
Infectious disorders
クが発生し、Bukit Pelandokでは3回目のアウトブレイクも報告された。当初、これらのアウトブレイク
ニパウイルス感 drug targets.
は日本脳炎ウイルス(JEV)と考えられ、JEVのワクチン接種や蚊への対策が行われたが、ウイルス
15
染
22(2022)e17012220029 が拡大し続け多くのブタが死亡したため、JEV感染は除外された。1999年3月には、科学者によりNiV
6
の存在が確認された。一方、マレーシアからの汚染されたブタの輸入により1999年2月末にNiV感染
がシンガポールに拡大し、マレーシアでは1999年5月まで、ブタの殺処分、ブタの輸送禁止、監視活
動など、アウトブレイク抑制のため、複数の措置が講じられた。
NiVにおける酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)やウイルス中和試験(VNT)などの血清学的アッセイ
の方法に関する報告。NiVは、マレーシアのヒト脳炎発生時に初めて発見され、コウモリが保菌者で
Methods in molecular あることが特定された。1990年代後半にマレーシアとシンガポールでNiVの発生が最初に報告された
ニパウイルス感
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biology. 2610(2023)17- とき、ブタが中間宿主としてヒトに感染した。その後、コウモリからヒト、ヒトからヒトへの直接感染のみ
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が報告されているが、この病気の疫学においては依然としてブタがウイルス蔓延の潜在的な感染源
であると考えられている。ブタにおけるNiVを適切に特定するため、ELISAやVNTなどの血清学的アッ
セイの方法・手順を示している。
17
バランチジウム
症
バランチジウム
18
症
Acta Tropica.
223(2021)106069
システマティックレビューとメタアナリシスに基づいてBalantioides coli(B.coli) の疫学的、臨床的及び
検査室的特徴を分析した。1910年から2020年までの合計103件の論文が対象となり、これらのうち、
75件は臨床症例報告、28件は疫学研究であった。997人がB.coli に感染している可能性を示してお
り、エチオピアでは高い感染者数(47.5%)が観察された。16%を超える感染者がブタ又はその排泄
物の近くにいたため、ブタへの近接性とB.coli 陽性との間に有意な関連性(p<0.05)が確認された。主
な症状は赤痢であり、大腸への選択性が示唆された。腸管外感染は27人であり、泌尿生殖管への
定着も考えられた。最も一般的な治療法は、テトラサイクリン系薬剤とニトロイミダゾール誘導体との
併用であった。分析に使用された疫学的な論文は不均一性を示していたが、このレビューによって、
B.coli の症例に関連すると思われる要因を説明することができた。
B.coli はヒトに寄生する繊毛虫であり、ブタが主な保有宿主である。主な疫学的因子には、ブタとの
Research in veterinary
接触、基本的な衛生設備(給水、排水処理)や保健衛生の欠如などがある。ニューギニアでの研究
science. 135(2021)424にて、ブタがヒトの居住地あるいはその付近に保護されている場合、ヒトにおいて高いB.coli 有病率
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が認められたと報告されている。
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