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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[476KB] (8 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44308.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第2回 10/24)《厚生労働省》 |
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感染症(PT)
出典
概要
オランダの養豚場にて、ブタ、ヒト(農家とその家族、従業員)の糞便サンプルを採取したところ、39カ
所中18カ所の養豚場のブタ、146人中17人のヒトにおいてExtended-spectrum beta-lactamase
(ESBL)産生Escherichia coli (E.coli )の感染が確認された。多様なサブタイプ及びE.coli の遺伝子型
にもかかわらず、7つの農場でのヒト由来及びブタ由来の株において、ESBL遺伝子、サブタイプ、及
び遺伝子型における遺伝子類似性が観察され、潜在的なクローン間感染を示唆された。また、4つ
の農場では同一のESBL遺伝子とサブタイプが観察され、水平感染の可能性を強調している。ヒトの
ESBL産生E.coli 感染は、ブタにおけるESBL産生E.coli 感染及び週に養豚場で働く時間と関連してお
り、一方で長期間のヒトでの感染は偶発的にしか観察されなかった。さらに、ESBL産生E.coli 感染ブ
タを飼育する養豚場の数は時間経過とともに減少したことに伴い、養豚場で生活し働くヒトの間で
ESBL産生E.coli 感染は減少傾向を示したが、これはブタを介しての曝露が減少したためと考えられ
る。
33 大腸菌感染
Microbiol Spectr.
11(2023)e0294722
34 旋毛虫症
旋毛虫症は生肉や調理が不完全な肉、特に豚肉の摂取によって感染する肉媒介性疾患で、
Trichinella 種線虫(旋毛虫)によって引き起こされる。旋毛虫症は食肉検査と食品安全対策の厳格な
遵守によって容易に予防できるが、インドでは旋毛虫症リスクが無視されており、限られた研究でし
か症例が報告されていない。北インドのUttaranchalで頻発するヒトの散発的アウトブレイクにおける
豚肉の役割、ブタ集団における旋毛虫のエビデンスの不足、Punjabにおける養豚需要の増大、豚肉
消費に関連する旋毛虫症の公衆衛生上の重要性、流行している旋毛虫種を特定する研究がないこ
と等を考慮し、本研究では北インドの屠殺されたブタにおける旋毛虫種の存在について調査した。
2017~2020年に北インドのPunjabとUttaranchalのさまざまな屠殺場/店舗から合計1,194点のブタの
舌試料を収集し、239のプールバッチ(1プールに試料5点)として二重分離漏斗法で旋毛虫スクリー
ニングを実施した。9バッチから旋毛虫幼虫が検出され、これらのバッチに使用した試料のうち計15
Transbound Emerg Dis. 点が旋毛虫幼虫陽性であった。陽性試料の舌筋を消化して幼虫を回収し、PCRと配列決定によって
2024(2024)7550006
分子的に種を同定した結果、T. britovi とT. nelsoni であることが確認された。T. spiralis はヒトにおけ
る人畜共通旋毛虫症の典型的な原因と考えられているが、最近T. nelsoni とT. britovi によるヒト旋毛
虫症のエビデンスが増加している。T. nelsoni とT. britovi はいずれも主に野生動物発症性で、主にア
フリカ諸国と温帯地域の野生生物で伝播されており、インドと中国からの報告はない。T. britovi への
ヒト感染は放し飼いのブタの消費に関連している。一方、T. nelsoni は家畜のブタからは検出されて
おらず、アカカワイノシシとイボイノシシで報告されている。これまでにインドの家畜と野生動物で循
環している旋毛虫種に関する情報は得られておらず、さらに、散発的なヒト旋毛虫症症例における診
断はTrichinella 属の同定に限定されている。本研究はインドにおいて種レベルまで旋毛虫を同定し、
インドのブタにおけるT. nelsoni とT. britovi の存在を実証した最初の研究である。インド国内ではこ
の寄生虫に対する食肉検査が義務付けられていないことから食品安全上の懸念もあり、旋毛虫の
疫学的分布と伝播に関する広範な研究が必要である。
35 梅毒
36 炭疽
Transfusion.
64(2024)325-333
2020年から2022年までの米国献血者における梅毒血清有病率と発症率
【背景】HIV、HBV、HCV感染は、米国の血液供給の約60%を占めており、Transfusion Transmissible
Infections Monitoring Systemによってモニタリングされており、2020年には梅毒が追加された。
【研究デザインと方法】データは2020年10月から2022年9月まで集計された。梅毒有病率は、コンセ
ンサス・ポジティブ(CP)であった同種ドナー及び指向性ドナー、及び活動性感染(AI)が確認されたド
ナーのサブセットについて推定した。有病率と発症率は、2020年10月1日からの2年間を1年間ずつ
及び両年の合計について、人口統計学的に層別化した。発症率はリピートドナーについて推定した。
梅毒陽性と他の感染症との関連を評価した。
【結果】1,475万件の検体において、梅毒有病率は28.4/10万件であり、1年目と比較して2年目は有意
に高かった。2年間の梅毒有病率は全体で10.8/10万人年であった。CP感染の調整オッズは、1年目
と比較して2年目に1.18倍(95%CI:1.11~1.26)高く、AIでは2年目に1.22倍(95%CI:1.10~1.35)高
かった。男性、初回、黒人、若年(18~39歳)、米国南部国勢調査地域のドナーで高率であった。梅
毒CPドナーはHIV CPである可能性が64倍(95%CI:46~89)、AIドナーはHIV CPである可能性が77
倍(95%CI:52~114)であった(交絡因子をコントロールした場合)。
【結論】梅毒の有病率は、CDCが報告した全米の傾向を反映して調査期間中に増加し、HIV CPと有
意に関連していた。
PLoS One.
16(2021)e0260299
炭疽は世界的な人獣共通感染症である。炭疽はモンゴルにおいて長年にわたり公衆衛生及び社会
経済問題となっている。現時点では、モンゴルにおける将来の炭疽発生の潜在的危険性及び炭疽
発生に関連する可能性のある危険因子としての死骸埋葬場所に関する空間情報は存在しない。今
回我々は、モンゴル国内で最も炭疽発生率が高かったフブスグル県における家畜炭疽の歴史的時
空間パターンを記述するために、家畜の死骸の処分場に関する遡及データ(1986年から2015年)を
分析した。空間平均及び標準偏差楕円の結果から、家畜における炭疽の空間分布は研究期間を通
じて変化せず、局所的な曝露源を示していることがわかった。multi-distance spatial cluster analysis
により、調査地域に分布する死骸の場所がクラスター化されていることがわかった。死骸の場所につ
いてカーネル密度推定を行い、南部地域と北部地域周囲の低平地に炭疽のホットスポットが2つある
ことを特定した。この研究は30年間の研究期間のうちの最後の10年間に出現した北部の新しいホッ
トスポットを明らかにした。最も高い症例の割合がウシで記録されており、その地域当たりの有病率
が6つの地区(Murun、Chandmani-Undur、Khatgal、Ikh-Uul、Tosontsengel、Tsagaan-Uul)で最も高
かったことから、ワクチン接種はこれらの地区のウシを優先すべきであることが示唆された。さらに、
発生規模はフブスグル県の夏の平均気温の影響を受けており、これはおそらく永久凍土の凍結融
解活動に影響を及ぼしていると考えられる。
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感染症(PT)
出典
概要
オランダの養豚場にて、ブタ、ヒト(農家とその家族、従業員)の糞便サンプルを採取したところ、39カ
所中18カ所の養豚場のブタ、146人中17人のヒトにおいてExtended-spectrum beta-lactamase
(ESBL)産生Escherichia coli (E.coli )の感染が確認された。多様なサブタイプ及びE.coli の遺伝子型
にもかかわらず、7つの農場でのヒト由来及びブタ由来の株において、ESBL遺伝子、サブタイプ、及
び遺伝子型における遺伝子類似性が観察され、潜在的なクローン間感染を示唆された。また、4つ
の農場では同一のESBL遺伝子とサブタイプが観察され、水平感染の可能性を強調している。ヒトの
ESBL産生E.coli 感染は、ブタにおけるESBL産生E.coli 感染及び週に養豚場で働く時間と関連してお
り、一方で長期間のヒトでの感染は偶発的にしか観察されなかった。さらに、ESBL産生E.coli 感染ブ
タを飼育する養豚場の数は時間経過とともに減少したことに伴い、養豚場で生活し働くヒトの間で
ESBL産生E.coli 感染は減少傾向を示したが、これはブタを介しての曝露が減少したためと考えられ
る。
33 大腸菌感染
Microbiol Spectr.
11(2023)e0294722
34 旋毛虫症
旋毛虫症は生肉や調理が不完全な肉、特に豚肉の摂取によって感染する肉媒介性疾患で、
Trichinella 種線虫(旋毛虫)によって引き起こされる。旋毛虫症は食肉検査と食品安全対策の厳格な
遵守によって容易に予防できるが、インドでは旋毛虫症リスクが無視されており、限られた研究でし
か症例が報告されていない。北インドのUttaranchalで頻発するヒトの散発的アウトブレイクにおける
豚肉の役割、ブタ集団における旋毛虫のエビデンスの不足、Punjabにおける養豚需要の増大、豚肉
消費に関連する旋毛虫症の公衆衛生上の重要性、流行している旋毛虫種を特定する研究がないこ
と等を考慮し、本研究では北インドの屠殺されたブタにおける旋毛虫種の存在について調査した。
2017~2020年に北インドのPunjabとUttaranchalのさまざまな屠殺場/店舗から合計1,194点のブタの
舌試料を収集し、239のプールバッチ(1プールに試料5点)として二重分離漏斗法で旋毛虫スクリー
ニングを実施した。9バッチから旋毛虫幼虫が検出され、これらのバッチに使用した試料のうち計15
Transbound Emerg Dis. 点が旋毛虫幼虫陽性であった。陽性試料の舌筋を消化して幼虫を回収し、PCRと配列決定によって
2024(2024)7550006
分子的に種を同定した結果、T. britovi とT. nelsoni であることが確認された。T. spiralis はヒトにおけ
る人畜共通旋毛虫症の典型的な原因と考えられているが、最近T. nelsoni とT. britovi によるヒト旋毛
虫症のエビデンスが増加している。T. nelsoni とT. britovi はいずれも主に野生動物発症性で、主にア
フリカ諸国と温帯地域の野生生物で伝播されており、インドと中国からの報告はない。T. britovi への
ヒト感染は放し飼いのブタの消費に関連している。一方、T. nelsoni は家畜のブタからは検出されて
おらず、アカカワイノシシとイボイノシシで報告されている。これまでにインドの家畜と野生動物で循
環している旋毛虫種に関する情報は得られておらず、さらに、散発的なヒト旋毛虫症症例における診
断はTrichinella 属の同定に限定されている。本研究はインドにおいて種レベルまで旋毛虫を同定し、
インドのブタにおけるT. nelsoni とT. britovi の存在を実証した最初の研究である。インド国内ではこ
の寄生虫に対する食肉検査が義務付けられていないことから食品安全上の懸念もあり、旋毛虫の
疫学的分布と伝播に関する広範な研究が必要である。
35 梅毒
36 炭疽
Transfusion.
64(2024)325-333
2020年から2022年までの米国献血者における梅毒血清有病率と発症率
【背景】HIV、HBV、HCV感染は、米国の血液供給の約60%を占めており、Transfusion Transmissible
Infections Monitoring Systemによってモニタリングされており、2020年には梅毒が追加された。
【研究デザインと方法】データは2020年10月から2022年9月まで集計された。梅毒有病率は、コンセ
ンサス・ポジティブ(CP)であった同種ドナー及び指向性ドナー、及び活動性感染(AI)が確認されたド
ナーのサブセットについて推定した。有病率と発症率は、2020年10月1日からの2年間を1年間ずつ
及び両年の合計について、人口統計学的に層別化した。発症率はリピートドナーについて推定した。
梅毒陽性と他の感染症との関連を評価した。
【結果】1,475万件の検体において、梅毒有病率は28.4/10万件であり、1年目と比較して2年目は有意
に高かった。2年間の梅毒有病率は全体で10.8/10万人年であった。CP感染の調整オッズは、1年目
と比較して2年目に1.18倍(95%CI:1.11~1.26)高く、AIでは2年目に1.22倍(95%CI:1.10~1.35)高
かった。男性、初回、黒人、若年(18~39歳)、米国南部国勢調査地域のドナーで高率であった。梅
毒CPドナーはHIV CPである可能性が64倍(95%CI:46~89)、AIドナーはHIV CPである可能性が77
倍(95%CI:52~114)であった(交絡因子をコントロールした場合)。
【結論】梅毒の有病率は、CDCが報告した全米の傾向を反映して調査期間中に増加し、HIV CPと有
意に関連していた。
PLoS One.
16(2021)e0260299
炭疽は世界的な人獣共通感染症である。炭疽はモンゴルにおいて長年にわたり公衆衛生及び社会
経済問題となっている。現時点では、モンゴルにおける将来の炭疽発生の潜在的危険性及び炭疽
発生に関連する可能性のある危険因子としての死骸埋葬場所に関する空間情報は存在しない。今
回我々は、モンゴル国内で最も炭疽発生率が高かったフブスグル県における家畜炭疽の歴史的時
空間パターンを記述するために、家畜の死骸の処分場に関する遡及データ(1986年から2015年)を
分析した。空間平均及び標準偏差楕円の結果から、家畜における炭疽の空間分布は研究期間を通
じて変化せず、局所的な曝露源を示していることがわかった。multi-distance spatial cluster analysis
により、調査地域に分布する死骸の場所がクラスター化されていることがわかった。死骸の場所につ
いてカーネル密度推定を行い、南部地域と北部地域周囲の低平地に炭疽のホットスポットが2つある
ことを特定した。この研究は30年間の研究期間のうちの最後の10年間に出現した北部の新しいホッ
トスポットを明らかにした。最も高い症例の割合がウシで記録されており、その地域当たりの有病率
が6つの地区(Murun、Chandmani-Undur、Khatgal、Ikh-Uul、Tosontsengel、Tsagaan-Uul)で最も高
かったことから、ワクチン接種はこれらの地区のウシを優先すべきであることが示唆された。さらに、
発生規模はフブスグル県の夏の平均気温の影響を受けており、これはおそらく永久凍土の凍結融
解活動に影響を及ぼしていると考えられる。
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