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資料4-1 感染症定期報告感染症別文献一覧表[476KB] (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44308.html |
出典情報 | 薬事審議会 医薬品等安全対策部会(令和6年度第2回 10/24)《厚生労働省》 |
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ID
感染症(PT)
出典
概要
Trichophyton mentagrophytes 複合体によって引き起こされる皮膚糸状菌症(白癬)は、ブタではほと
37 皮膚糸状菌症
38 細菌感染
Acta veterinaria
Scandinavica.
65(2023)32
Microbiol Spectr.
12:2(2024)e05141-22
んど診断されないが、ヒトではますます一般的な感染症として認識されるようになってきた。さらに、
抗真菌薬に対する耐性がアジア及び欧州で報告されている。北欧諸国において、屋外生産を行う有
機肥育農場で飼育されたブタに円形の皮膚病変が発生し、検査室での分析の結果、T.
mentagrophytes 複合体による皮膚糸状菌症と診断された。感染は衛生状態の悪さ、高湿度、適度
な外気温に加え、ブタの飼育密度が高いことと関連していた。罹患したブタと密接に接触した農場労
働者が円形の皮膚病変を発症していたことから、皮膚糸状菌症の人獣共通感染症の側面が浮き彫
りになった。皮膚糸状菌は、同様の病変がブタに発生した供給群から発生した可能性がある。さら
に、同じ供給群から受け入れた別の有機肥育群のブタも皮膚糸状菌症を発症した。病変は、飼育条
件が改善されるにつれて、治療せずに治癒した。罹患したブタを隔離することで、他のブタへの感染
を防ぐことができた。また、スタッフはブタを扱うときは手袋を着用し、ブタの飼育施設で働いた後は
手を洗うことを勧められた。T. mentagrophytes 複合体はブタに白癬を引き起こす可能性がある。こ
の真菌はおそらく毛皮内に存在し、環境条件が菌糸の成長を促進した場合、明白な疾患を引き起こ
す可能性がある。
メタン生成菌はヒトの腸内細菌叢に常在している。メタン生成菌Methanosphaera stadtmanae はヒト
腸内細菌叢から検出されている唯一のMethanosphaera 種で、消化器疾患・呼吸器疾患と関連して
いるが、ヒトに関連するMethanosphaera 種の実際の多様性は不明である。本研究はフランス、マル
セイユで2021年8~9月に実施した。メタン生成菌に関するRT-PCRスクリーニングをヒト糞便試料で
実施し、RT-PCR陽性試料を水素と二酸化炭素を含有しないGG培地で培養することで、Candidatus
Methanosphaera massiliense(Ca . M. massiliense)sp. nov.と命名した新規Methanosphaera 種メタン
生成菌が分離された。形態、抗生物質感受性、pH感受性等が分析され、全ゲノム配列決定、系統解
析が行われた。pH6~7.3という狭い範囲の中性でしか生存しなかったことから、胃酸が少ないヒトや
大量のCa . M. massiliense 移植片に曝露したヒトは腸へのCa . M. massiliense定着に好ましい可能
性が示唆された。またCa . M. massilienseは、ヒトで唯一分離されていたM. stadtmanae よりも、ヒト以
外の哺乳類を宿主とするMethanosphaera 種の方が近縁であった。さらに、フランスの4つの県で収
集されたヒト150例、動物313例(イヌ52例、ヒツジ20例、ウマ75例、ウシ52例、アカカンガルー50例、
ブタ64例)の糞便試料でメタン生成菌に関するRT-PCRスクリーニングを実施した結果、ヒト1例、ブタ
14例、アカカンガルー6例が陽性であった。屠殺場に送られるブタのCa . M. massiliense保有が観察
されたことから人獣共通感染源の可能性が示唆され、Ca . M. massilienseが宿主特異的系統を示さ
なかったことから食物摂取や動物との接触がヒト腸内細菌叢への伝播経路となる可能性が示唆され
た。本研究では、ヒトでは2番目となるMethanosphaera 種の分離に成功した。本研究で得られた知見
は、人獣共通感染源の可能性、ヒトの健康に及ぼし得る結果についての疑問を提起する。
Sarcocystis はアピコンプレクサ属原虫であり、捕食者を終宿主、被食者を中間宿主とする二次性の
生活環を有する。家畜及び野生のブタはSarcocystis の中間宿主であり、筋肉内に肉包嚢を形成す
る。一方、ヒトと非ヒト霊長類は最終宿主となる。Sarcocystis に感染した豚肉を生や加熱調理不十分
39 肉胞子虫感染
40
41
鳥インフルエン
ザ
鳥インフルエン
ザ
Parasitol Res.
123(2024)142
な状態で摂取すると、ヒトでは食欲不振、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸炎の症状が現れることがあ
る。本研究ではナイジェリアのブタにおける肉眼で見える嚢胞の発生と、病原体に関する分子学的
分析について報告する。ナイジェリアのBenue州Makurdiの屠殺場で食肉用に屠殺された家畜のブタ
(Sus scrofa domesticus)の骨格筋から、白色、楕円形、直径約3~8mmの肉眼で見える肉包嚢を発
見した。採取した肉包嚢をホモジネートしたものからゲノムDNAを抽出した。肉包嚢DNAを鋳型とす
るほぼ全長の18S rRNA遺伝子と、チトクロームcオキシダーゼサブユニット1(cox-1)遺伝子をPCR
で増幅した。アンプリコンの配列を決定し、利用可能なSarcystis 種の配列を用いて系統樹を構築し
た。18S rRNA配列によるBLASTn検索ではイタリアのイノシシ由来S. suihominis 分離株の配列で最
も同一性が高く、Cox-1によるBLASTn検索では中国の家畜のブタ由来S. suihominis 分離株で最も
同一性が高かった。いずれの場合もS. suihominis が強く支持され、この肉眼的肉包嚢形成寄生虫の
種の同一性が確認された。これはナイジェリア及びアフリカ大陸における初めてのS. suihominis 分
子的同定である。Makurdiに非ヒト霊長類がいないことから、この寄生虫がブタとヒト宿主の間でのみ
循環していることが示唆された。ナイジェリアの養豚場ではブタとヒトの距離が近く、衛生状態が悪い
ことから、この人獣共通寄生虫が蔓延しやすく、公衆衛生上の脅威となっている。
BMJ. 385(2024) q797
米国テキサス州にて、鳥インフルエンザ(H5N1ウイルス)の乳牛を介した初めてのヒト感染例が報告
され、H5N1ウイルスの変異による新たな感染拡大が懸念されている。テキサス州保健局によると、
患者の症状は鳥インフルエンザでよくみられる結膜炎のみであり、抗ウイルス薬のオセルタミビル(タ
ミフル)による治療を受けている。また、USDAによると、一般市民への感染リスクは低いとされてい
る。感染したウシの牛乳はすべて処分するよう指示されており、低温殺菌法によってウイルスを死滅
させることで食品チェーンへの侵入を防止できるとされている。著者は、ウイルスのウシ間での伝播
を懸念し、モニタリング及びワクチン等の予防策の重要性を強調している。
CDC FluView.
2024/03/30
2023年~2024年インフルエンザシーズン第13週(2024年3月30日まで)のトピックとして新型インフル
エンザAウイルスについて報告された。
ヒトのHPAI A(H5N1)ウイルス感染1例が、Texas Department of State Health Servicesから報告さ
れ、2024年3月30日にCDCにより確認された。テキサス州では最近、乳牛、家禽、野鳥においてHPAI
A(H5N1)ウイルスが検出されている。この症例は、米国で2例目のHPAI A(H5N1)検査陽性者であ
る。
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感染症(PT)
出典
概要
Trichophyton mentagrophytes 複合体によって引き起こされる皮膚糸状菌症(白癬)は、ブタではほと
37 皮膚糸状菌症
38 細菌感染
Acta veterinaria
Scandinavica.
65(2023)32
Microbiol Spectr.
12:2(2024)e05141-22
んど診断されないが、ヒトではますます一般的な感染症として認識されるようになってきた。さらに、
抗真菌薬に対する耐性がアジア及び欧州で報告されている。北欧諸国において、屋外生産を行う有
機肥育農場で飼育されたブタに円形の皮膚病変が発生し、検査室での分析の結果、T.
mentagrophytes 複合体による皮膚糸状菌症と診断された。感染は衛生状態の悪さ、高湿度、適度
な外気温に加え、ブタの飼育密度が高いことと関連していた。罹患したブタと密接に接触した農場労
働者が円形の皮膚病変を発症していたことから、皮膚糸状菌症の人獣共通感染症の側面が浮き彫
りになった。皮膚糸状菌は、同様の病変がブタに発生した供給群から発生した可能性がある。さら
に、同じ供給群から受け入れた別の有機肥育群のブタも皮膚糸状菌症を発症した。病変は、飼育条
件が改善されるにつれて、治療せずに治癒した。罹患したブタを隔離することで、他のブタへの感染
を防ぐことができた。また、スタッフはブタを扱うときは手袋を着用し、ブタの飼育施設で働いた後は
手を洗うことを勧められた。T. mentagrophytes 複合体はブタに白癬を引き起こす可能性がある。こ
の真菌はおそらく毛皮内に存在し、環境条件が菌糸の成長を促進した場合、明白な疾患を引き起こ
す可能性がある。
メタン生成菌はヒトの腸内細菌叢に常在している。メタン生成菌Methanosphaera stadtmanae はヒト
腸内細菌叢から検出されている唯一のMethanosphaera 種で、消化器疾患・呼吸器疾患と関連して
いるが、ヒトに関連するMethanosphaera 種の実際の多様性は不明である。本研究はフランス、マル
セイユで2021年8~9月に実施した。メタン生成菌に関するRT-PCRスクリーニングをヒト糞便試料で
実施し、RT-PCR陽性試料を水素と二酸化炭素を含有しないGG培地で培養することで、Candidatus
Methanosphaera massiliense(Ca . M. massiliense)sp. nov.と命名した新規Methanosphaera 種メタン
生成菌が分離された。形態、抗生物質感受性、pH感受性等が分析され、全ゲノム配列決定、系統解
析が行われた。pH6~7.3という狭い範囲の中性でしか生存しなかったことから、胃酸が少ないヒトや
大量のCa . M. massiliense 移植片に曝露したヒトは腸へのCa . M. massiliense定着に好ましい可能
性が示唆された。またCa . M. massilienseは、ヒトで唯一分離されていたM. stadtmanae よりも、ヒト以
外の哺乳類を宿主とするMethanosphaera 種の方が近縁であった。さらに、フランスの4つの県で収
集されたヒト150例、動物313例(イヌ52例、ヒツジ20例、ウマ75例、ウシ52例、アカカンガルー50例、
ブタ64例)の糞便試料でメタン生成菌に関するRT-PCRスクリーニングを実施した結果、ヒト1例、ブタ
14例、アカカンガルー6例が陽性であった。屠殺場に送られるブタのCa . M. massiliense保有が観察
されたことから人獣共通感染源の可能性が示唆され、Ca . M. massilienseが宿主特異的系統を示さ
なかったことから食物摂取や動物との接触がヒト腸内細菌叢への伝播経路となる可能性が示唆され
た。本研究では、ヒトでは2番目となるMethanosphaera 種の分離に成功した。本研究で得られた知見
は、人獣共通感染源の可能性、ヒトの健康に及ぼし得る結果についての疑問を提起する。
Sarcocystis はアピコンプレクサ属原虫であり、捕食者を終宿主、被食者を中間宿主とする二次性の
生活環を有する。家畜及び野生のブタはSarcocystis の中間宿主であり、筋肉内に肉包嚢を形成す
る。一方、ヒトと非ヒト霊長類は最終宿主となる。Sarcocystis に感染した豚肉を生や加熱調理不十分
39 肉胞子虫感染
40
41
鳥インフルエン
ザ
鳥インフルエン
ザ
Parasitol Res.
123(2024)142
な状態で摂取すると、ヒトでは食欲不振、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸炎の症状が現れることがあ
る。本研究ではナイジェリアのブタにおける肉眼で見える嚢胞の発生と、病原体に関する分子学的
分析について報告する。ナイジェリアのBenue州Makurdiの屠殺場で食肉用に屠殺された家畜のブタ
(Sus scrofa domesticus)の骨格筋から、白色、楕円形、直径約3~8mmの肉眼で見える肉包嚢を発
見した。採取した肉包嚢をホモジネートしたものからゲノムDNAを抽出した。肉包嚢DNAを鋳型とす
るほぼ全長の18S rRNA遺伝子と、チトクロームcオキシダーゼサブユニット1(cox-1)遺伝子をPCR
で増幅した。アンプリコンの配列を決定し、利用可能なSarcystis 種の配列を用いて系統樹を構築し
た。18S rRNA配列によるBLASTn検索ではイタリアのイノシシ由来S. suihominis 分離株の配列で最
も同一性が高く、Cox-1によるBLASTn検索では中国の家畜のブタ由来S. suihominis 分離株で最も
同一性が高かった。いずれの場合もS. suihominis が強く支持され、この肉眼的肉包嚢形成寄生虫の
種の同一性が確認された。これはナイジェリア及びアフリカ大陸における初めてのS. suihominis 分
子的同定である。Makurdiに非ヒト霊長類がいないことから、この寄生虫がブタとヒト宿主の間でのみ
循環していることが示唆された。ナイジェリアの養豚場ではブタとヒトの距離が近く、衛生状態が悪い
ことから、この人獣共通寄生虫が蔓延しやすく、公衆衛生上の脅威となっている。
BMJ. 385(2024) q797
米国テキサス州にて、鳥インフルエンザ(H5N1ウイルス)の乳牛を介した初めてのヒト感染例が報告
され、H5N1ウイルスの変異による新たな感染拡大が懸念されている。テキサス州保健局によると、
患者の症状は鳥インフルエンザでよくみられる結膜炎のみであり、抗ウイルス薬のオセルタミビル(タ
ミフル)による治療を受けている。また、USDAによると、一般市民への感染リスクは低いとされてい
る。感染したウシの牛乳はすべて処分するよう指示されており、低温殺菌法によってウイルスを死滅
させることで食品チェーンへの侵入を防止できるとされている。著者は、ウイルスのウシ間での伝播
を懸念し、モニタリング及びワクチン等の予防策の重要性を強調している。
CDC FluView.
2024/03/30
2023年~2024年インフルエンザシーズン第13週(2024年3月30日まで)のトピックとして新型インフル
エンザAウイルスについて報告された。
ヒトのHPAI A(H5N1)ウイルス感染1例が、Texas Department of State Health Servicesから報告さ
れ、2024年3月30日にCDCにより確認された。テキサス州では最近、乳牛、家禽、野鳥においてHPAI
A(H5N1)ウイルスが検出されている。この症例は、米国で2例目のHPAI A(H5N1)検査陽性者であ
る。
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