よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (11 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html
出典情報 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

在しないが、e Health Exchange 42という全米の 75%の病院をカバーする 1 次利用主軸型の医療情
報ネットワークを構築し PHR も提供する。2 次利用については、保健福祉省傘下の Centers for
Medicare & Medicaid Services(CMS)がメディケアのレセプト情報を自動的に集積した CMSdata
(5,300 万人分)を整備し 43PHR にて患者よりデータ閲覧が可能な仕組みを構築している。さらに、疾
病予防管理センターや医療研究品質庁は顕名のサンプルデータを抽出し、1990 年代後半から全国
入院患者サンプル National Inpatient Sample(800 万件/年)や小児入院患者データベース Kids’
Inpatient Database(340 万件/年)などの公的データベースを構築している。さらに、民間においては、
2011 年以降にがん関連のデータベースを独自に構築する Flatiron(350 万人分)や民間保険会社
の Optum データベース(1 億人超分のデータ)等を整備し、民間企業向けにデータ提供し解析サー
ビス等も提供している。
・中国
中国(人口 14 億 1,100 万人、面積 960 万 km2、GDP1.3 万ドル/人) 44は都市部での医療機関の数
や質は先進国と同等水準だが農村部では不足し医療格差が生じている。この医療格差が中国の医
療の ICT 化、AI 化を推進する動機となった。特に、新型コロナウイルス感染拡大が本格的に広まっ
た 2020 年初旬に民間企業がクラウド型のオンライン診療ができるプラットフォームを構築し、受診が
必要となった場合は患者の近隣の病院と連携し受診を可能とした。さらに、オンライン診療特化型の
公立病院が運営され、オンライン診療への信頼度が向上した。また、薬局と連携し、患者がオンライ
ン診療した当日中に処方薬を届けることを実現した。中国では、比較的自由に個人情報を利用でき
る状態にあり、オンライン診療を手掛ける微医(WeDoctor)は無料の健康診断を提供することで健診
受診者を募り、健康データを集積している 45。人口に比してデータ量は圧倒的に多く、データを収集
しやすい環境であることも、中国の医療 AI 等の開発と導入を推進している。
・台湾
台湾(人口 2,326 万人、面積 3.6 万 km2、GDP3.3 万ドル/人) 46は、日本の国民皆保険制度と似た
全民健康保険 National Health Insurance(NHI)の加入が義務付けられている。病院(4,000 施設)や
クリニック(20,000 施設)、薬局(6,000 施設)が VPN 経由で NHI MediCloud System に患者の医療デ
ータ(CT・MRI も含む)を集約している。1 次利用では、診察時に IC カード専用端末に医師と患者の
IC カードを差込むと患者のデータにアクセスでき、検査や処方の重複を防止するなど診療や診断に
積極的に活用し、医療費削減にも寄与している。2 次利用については、匿名化したビッグデータを大
学等の研究や政策の立案のために活用する 47。医療関連情報は衛生福利部中央健康保険署にビ
ッグデータとして集積され、アカデミアや研究所、医療系企業等に有効利用されている 48。
以上、海外の状況と比較すると、日本の健康・医療データの利活用については全般的に目的意識
が低く、部分的・段階的にしか進んでいない状況と言える。
・今後、蓄積されるビッグデータ
2015 年にバラク・オバマ大統領が精密医療戦略(Precision Medicine Initiative)を発表し、医療に
おいて個人の遺伝情報、環境情報、生活習慣情報を考慮し個別性を高めた革新的なアプローチを
進めるべきとした 49。遺伝情報としては、日本では 2018 年度にがんゲノム医療の保険収載が始まり、

42

e Health Exchange. [https://ehealthexchange.org/(cited 2023.10.27)]
第 3 回 次世代医療基盤法検討ワーキンググループ 資料 4. 内閣府 健康・医療戦略推進本部, 令和 4.2.15.
[https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai3/siryou4.pdf(cited 2023.10.27)]
44
中国. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/(cited 2023.10.27)]
45
オンライン医療「微医(WeDoctor)」が提供する家庭用医療端末「微医通」. ソフトバンク, 2021.2.5.
[https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202102/wedoctor/(cited 2023.10.27)]
46
台湾. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/(cited 2023.10.27)]
47
医療データを一元管理する台湾、検査画像の収集も始まる. 日経クロステック, 2019.6.27.
[https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00834/00001/(cited 2023.10.27)]
48
藤重太. 台湾コロナ対策で判った台湾のデジタル健康保険制度の凄さ. 台湾 NOWvol5. 交流 2021.2 No.959:21-3.
[https://www.koryu.or.jp/Portals/0/images/publications/magazine/2021/2%E6%9C%88/2102_04fuji.pdf(cited 2023.10.27)]
49
THE PRECISION MEDICINE INITIATIVE. the WHITE HOUSE PRESIDENT BARACK OBAMA, 2015.
43

11 / 18