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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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Health Data Access Bodies(HDAB)等を参考とした世界で評価される日本の RWE 創出を積極的に
推進するための信頼できるデータ管理機関の設置を提言する。
・マイナンバーと一意に連携する医療分野 ID の創設
各種の公的データベースの連結促進による医学研究の発展が今後期待されるが、データ連結を
研究者自身が実施するにあたり、連結したデータソース自体の正確性への懸念やその連結の手間
が研究実施の障壁になる可能性もある。例えば NDB の利活用時は、利用者が NDB の複数の ID を
用い患者連結作業を実施する必要があり、その連結には専門知識や技術が必要となるうえ誤連結
や連結不足が懸念される 63。個人にユニークなキーコードをハッシュ値によりデータを一意に連結す
ることが望まれる。
一方、政府が 2023 年度より医療施設へのオンライン資格確認システムの導入を原則義務化した
ことにより、健康・医療データが流通する公的な基盤が構築され、マイナンバーカードが患者・市民
の本人認証や同意取得等で大きな役割を果たすこととなった。しかしながら、本人認証にはマイナン
バーカードの PIN コードを用い、データ統合にはマイナンバーではなく保険証番号を用いることとな
っている。これは、マイナンバー自体を健康・医療データと結び付けることのリスクを回避することや
国民の反発を抑えることなどが目的であり、意図は理解できる。一方で、健康保険(被用者保険)は
患者・市民が職業を変えた際に、国民健康保険であれば市町村単位で住所を変えた際に保険証番
号は変わる。そのため、現在は個人の保険証番号の履歴情報を基盤上で持ち、データを統合する
方法を用いている。この、個人において不定期な変更がありうる保険証番号を用い、統合ロジックを
この基盤が持つという運用の硬直や統合の不備によるリスクが危惧される。2 次利用の際は、場合に
より、時期の異なる匿名化された複数のデータベースの突合が生じた際に、一意の医療分野 ID が
あることが正確性と迅速性の観点から望ましい。以上より、マイナンバーと一意に連携する医療分野
ID の創設を提言する。
・適切な健康・医療データの取扱いに関する社会的コンセンサス醸成
(e-Consent、とりわけ Dynamic Consent の推進)
健康・医療データ取扱いに関する同意取得は、データの収集や活用、第三者提供等、様々なこと
に関し行う必要があるが、その説明・同意の機会を繰返し求めることは、事業者や研究者等の業務を
逼迫し患者・市民にも抵抗が生じる可能性がある。また、データ取扱いの目的や行為は時間とともに
変化するため、本来は都度同意を得る必要があるがおざなりになりがちである。「人を対象とする生
命科学・医学系研究に関する倫理指針」では 2021 年の改正により、要配慮個人情報である健康・医
療データにおいても電子的な同意取得(以下、e-Consent)が認められた 64。それにより、個人情報
保護法の範疇にあたる健康・医療データの商用利用の同意取得にも PC やスマートフォン等での eConsent が利用可能となった。例えば、1 次利用の医療におけるインフォームドコンセント(以下、IC)
においても定型的な内容であれば、スマートフォン上での e-Consent(以下、Dynamic Consent)を用
いて説明文書や説明動画を家庭でも繰返し閲覧でき、家族と充分に相談した後に同意表明や同意
撤回の機会を提供できる。また、以前の先行する IC から時間が経過した後の同意表明や同意撤回
の機会も提供でき、さらに経時的な同意継続の意思表明もできる。既に、患者・市民は日常の多分
野における商用サービス等で e-Consent を利用し方法論としての抵抗も少ないことが期待され、さら
には医学研究への患者・市民の参画の推進も期待できる。従来は、患者・市民にとっては健康・医療
データの 2 次利用を目的としたデータ提供は、ほぼ無償で提供した本人に経済的あるいは情報的
な見返り等がないものであった。しかしながら、商用サービスと同様、Dynamic Consent では患者・市
民に健康・医療分野の個別のインセンティブを提供しやすいためデータ利活用が活性化する可能
性が高い。その結果、個別の医学的知見が蓄積され、特に個別化医療研究が進展することが期待
できる。以上より、e-Consent とりわけ Dynamic Consent をより推進することを提言する。
63
64
安藤文彦, 高林克日己. NDB 特別抽出データ活用の準備と加工作業の落とし穴. 医療情報学 2023 ;43 :423-5.
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針. 厚生労働省, 令和 4 年 3 月 10 日一部改正.
[https://www.mhlw.go.jp/content/000909926.pdf]
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推進するための信頼できるデータ管理機関の設置を提言する。
・マイナンバーと一意に連携する医療分野 ID の創設
各種の公的データベースの連結促進による医学研究の発展が今後期待されるが、データ連結を
研究者自身が実施するにあたり、連結したデータソース自体の正確性への懸念やその連結の手間
が研究実施の障壁になる可能性もある。例えば NDB の利活用時は、利用者が NDB の複数の ID を
用い患者連結作業を実施する必要があり、その連結には専門知識や技術が必要となるうえ誤連結
や連結不足が懸念される 63。個人にユニークなキーコードをハッシュ値によりデータを一意に連結す
ることが望まれる。
一方、政府が 2023 年度より医療施設へのオンライン資格確認システムの導入を原則義務化した
ことにより、健康・医療データが流通する公的な基盤が構築され、マイナンバーカードが患者・市民
の本人認証や同意取得等で大きな役割を果たすこととなった。しかしながら、本人認証にはマイナン
バーカードの PIN コードを用い、データ統合にはマイナンバーではなく保険証番号を用いることとな
っている。これは、マイナンバー自体を健康・医療データと結び付けることのリスクを回避することや
国民の反発を抑えることなどが目的であり、意図は理解できる。一方で、健康保険(被用者保険)は
患者・市民が職業を変えた際に、国民健康保険であれば市町村単位で住所を変えた際に保険証番
号は変わる。そのため、現在は個人の保険証番号の履歴情報を基盤上で持ち、データを統合する
方法を用いている。この、個人において不定期な変更がありうる保険証番号を用い、統合ロジックを
この基盤が持つという運用の硬直や統合の不備によるリスクが危惧される。2 次利用の際は、場合に
より、時期の異なる匿名化された複数のデータベースの突合が生じた際に、一意の医療分野 ID が
あることが正確性と迅速性の観点から望ましい。以上より、マイナンバーと一意に連携する医療分野
ID の創設を提言する。
・適切な健康・医療データの取扱いに関する社会的コンセンサス醸成
(e-Consent、とりわけ Dynamic Consent の推進)
健康・医療データ取扱いに関する同意取得は、データの収集や活用、第三者提供等、様々なこと
に関し行う必要があるが、その説明・同意の機会を繰返し求めることは、事業者や研究者等の業務を
逼迫し患者・市民にも抵抗が生じる可能性がある。また、データ取扱いの目的や行為は時間とともに
変化するため、本来は都度同意を得る必要があるがおざなりになりがちである。「人を対象とする生
命科学・医学系研究に関する倫理指針」では 2021 年の改正により、要配慮個人情報である健康・医
療データにおいても電子的な同意取得(以下、e-Consent)が認められた 64。それにより、個人情報
保護法の範疇にあたる健康・医療データの商用利用の同意取得にも PC やスマートフォン等での eConsent が利用可能となった。例えば、1 次利用の医療におけるインフォームドコンセント(以下、IC)
においても定型的な内容であれば、スマートフォン上での e-Consent(以下、Dynamic Consent)を用
いて説明文書や説明動画を家庭でも繰返し閲覧でき、家族と充分に相談した後に同意表明や同意
撤回の機会を提供できる。また、以前の先行する IC から時間が経過した後の同意表明や同意撤回
の機会も提供でき、さらに経時的な同意継続の意思表明もできる。既に、患者・市民は日常の多分
野における商用サービス等で e-Consent を利用し方法論としての抵抗も少ないことが期待され、さら
には医学研究への患者・市民の参画の推進も期待できる。従来は、患者・市民にとっては健康・医療
データの 2 次利用を目的としたデータ提供は、ほぼ無償で提供した本人に経済的あるいは情報的
な見返り等がないものであった。しかしながら、商用サービスと同様、Dynamic Consent では患者・市
民に健康・医療分野の個別のインセンティブを提供しやすいためデータ利活用が活性化する可能
性が高い。その結果、個別の医学的知見が蓄積され、特に個別化医療研究が進展することが期待
できる。以上より、e-Consent とりわけ Dynamic Consent をより推進することを提言する。
63
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安藤文彦, 高林克日己. NDB 特別抽出データ活用の準備と加工作業の落とし穴. 医療情報学 2023 ;43 :423-5.
人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針. 厚生労働省, 令和 4 年 3 月 10 日一部改正.
[https://www.mhlw.go.jp/content/000909926.pdf]
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