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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (9 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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要件として定めた健康分野固有の欧州共通データベース EHDS が 2022 年に公表された 27。EHDS
は GDPR や 2018 年施行の NIS 指令や 2019 年制定の EU サイバーセキュリティ法、2022 年公布の
データガバナンス法案、データ法案等における医療分野での補完的な位置づけとされている。
EHDS は EU における医療 DX のための抜本的な制度で、EU 域内で規制を調和させ健康・医療
関連のデータ 1 次利用および 2 次利用についても飛躍的に促進させることを目的としている。1 次利
用のインフラ(MyHealth@EU)を利用し、EU 市民は自身のデータに簡単にアクセスでき、EU 域内の
医療従事者と多様な情報(基本情報、処方、画像及び画像レポート、検体検査結果、退院サマリ)を
共有し医療を受けることができる。利用できるサービスに差はあるものの 2023 年 2 月時点で 11 ヵ国
にて利用可能となっている。また、2 次利用のインフラ(HealthData@EU)は 2022 年 10 月よりパイロッ
トプロジェクトが実施されているが、データ利用の場合は EU 加盟各国で構成される独立したヘルス
ケアデータアクセス機関の許可が必要で、利用者と利用目的、管理方法、利用証跡を管理するなど、
トレーサビリティを管理するルールも定まっており、ルールに違反した場合は、故意でなくても利用停
止期間が設けられる等のペナルティがある。さらに、EU4Health プログラムにより EU 加盟国のデータ
インフラ(Findata、HDH 等)や欧州医薬品庁、欧州疾病予防管理センター等の組織でコンソーシア
ムを結成し、HealthData@EU を EU 全域に展開するための実現可能性を評価する予定である 28。
2022 年度の国連による電子政府調査第 1 位のデンマーク(人口 594 万人、面積 4.3 万 km2、
GDP6.7 万ドル/人) 29では医療費が無料で、出生時に国民 ID が付与されると同時にかかりつけ医
(以下、GP)が決定し、必要に応じて GP の紹介で総合病院(以下、HP)の受診ができる。GP と HP
で医療データを共有する共通システムを国が主体的に導入し、その操作が統一されているため医師
も不便を感じにくく、データの 2 次利用も容易である。新型コロナウイルス感染症の検査にも国民 ID
を活用し、検査結果をスマートフォンのアプリに送信し療養場所等をスムーズに通知する仕組みが
構築され、ロックダウン時の補償金も迅速に支払うことが可能であった。また、医学の発展に寄与した
いという国民も多く、研究に協力的であるためビッグデータを利用した研究も進みやすい。
フィンランド(人口 556 万人、面積 34 万 km2、GDP5 万ドル/人) 30では、電子カルテが 100%普及
し、円滑な病診連携が実現し遠隔医療も推進されている。患者は、受診のアドバイスやトリアージ機
能を持つ国営のコールセンターを利用でき、医療資源の適正利用につながっている。社会保険庁
が運営する Electric Health Record (以下、EHR)の KanTa では全国民以上の 570 万人分のデータ
を保有し 1 次利用及び 2 次利用がされている。データ提供は義務化され、2018 年に開始された
Personalized Health Finland プログラム 31では蓄積された EHR データやゲノム情報、バイオバンク情
報をプラットフォーム化し個別医療の提供等を促進している。
イギリス(人口 6,703 万人、面積 24 万 km2、GDP4.5 万ドル/人) 32は公立の医療施設が 8 割以上を
占め、GP を窓口としプライマリ・ケアの仕組みが構築され総合的なヘルスケアサービスが提供されて
いる。電子カルテは GP 及び HP とも 99%普及し、政府系機関である NHS Digital が運営する GP と
HP の 1 次利用の医療情報連携基盤 Spine には 95%以上の施設が接続している。代表的な 2 次利
用データベース Clinical Practice Research Datalink(CPRD)には GP が保有する 6000 万人分のデ
ータが匿名化し蓄積され 33、公衆衛生領域の研究や臨床研究等に活用され、バリデーション研究等
も実施されている 34。また、NHS Digital は Spine を基に、GP と HP の限定された範囲のデータを集
27
規制改革実施計画 関連資料集. 内閣府, 令和5年6月16日: 29.
[https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/230616/03_initiatives.pdf]
28
第1回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 資料2-4. 厚生労働省, 令和5年.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36184.html]
29
デンマーク. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/dk/(cited 2023.10.27)]
30
フィンランド. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/fi/(cited 2023.10.27)]
31
Personalized Health Finland.
[https://www.businessfinland.fi/en/for-finnish-customers/services/programs/ended-programs/personalized-health-finland]
32
イギリス. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/uk/basic_01.html(cited 2023.10.27)]
33
Clinical Practice Research Datalink. Medical & Healthcare products Regulatory Agency. [https://cprd.com/(cited 2023.10.27)]
34
令和3年度 医療情報データベース推進コンソーシアム 報告書. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, 令和3年.
[https://www.pmda.go.jp/files/000246182.pdf(cited 2023.10.27)]
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は GDPR や 2018 年施行の NIS 指令や 2019 年制定の EU サイバーセキュリティ法、2022 年公布の
データガバナンス法案、データ法案等における医療分野での補完的な位置づけとされている。
EHDS は EU における医療 DX のための抜本的な制度で、EU 域内で規制を調和させ健康・医療
関連のデータ 1 次利用および 2 次利用についても飛躍的に促進させることを目的としている。1 次利
用のインフラ(MyHealth@EU)を利用し、EU 市民は自身のデータに簡単にアクセスでき、EU 域内の
医療従事者と多様な情報(基本情報、処方、画像及び画像レポート、検体検査結果、退院サマリ)を
共有し医療を受けることができる。利用できるサービスに差はあるものの 2023 年 2 月時点で 11 ヵ国
にて利用可能となっている。また、2 次利用のインフラ(HealthData@EU)は 2022 年 10 月よりパイロッ
トプロジェクトが実施されているが、データ利用の場合は EU 加盟各国で構成される独立したヘルス
ケアデータアクセス機関の許可が必要で、利用者と利用目的、管理方法、利用証跡を管理するなど、
トレーサビリティを管理するルールも定まっており、ルールに違反した場合は、故意でなくても利用停
止期間が設けられる等のペナルティがある。さらに、EU4Health プログラムにより EU 加盟国のデータ
インフラ(Findata、HDH 等)や欧州医薬品庁、欧州疾病予防管理センター等の組織でコンソーシア
ムを結成し、HealthData@EU を EU 全域に展開するための実現可能性を評価する予定である 28。
2022 年度の国連による電子政府調査第 1 位のデンマーク(人口 594 万人、面積 4.3 万 km2、
GDP6.7 万ドル/人) 29では医療費が無料で、出生時に国民 ID が付与されると同時にかかりつけ医
(以下、GP)が決定し、必要に応じて GP の紹介で総合病院(以下、HP)の受診ができる。GP と HP
で医療データを共有する共通システムを国が主体的に導入し、その操作が統一されているため医師
も不便を感じにくく、データの 2 次利用も容易である。新型コロナウイルス感染症の検査にも国民 ID
を活用し、検査結果をスマートフォンのアプリに送信し療養場所等をスムーズに通知する仕組みが
構築され、ロックダウン時の補償金も迅速に支払うことが可能であった。また、医学の発展に寄与した
いという国民も多く、研究に協力的であるためビッグデータを利用した研究も進みやすい。
フィンランド(人口 556 万人、面積 34 万 km2、GDP5 万ドル/人) 30では、電子カルテが 100%普及
し、円滑な病診連携が実現し遠隔医療も推進されている。患者は、受診のアドバイスやトリアージ機
能を持つ国営のコールセンターを利用でき、医療資源の適正利用につながっている。社会保険庁
が運営する Electric Health Record (以下、EHR)の KanTa では全国民以上の 570 万人分のデータ
を保有し 1 次利用及び 2 次利用がされている。データ提供は義務化され、2018 年に開始された
Personalized Health Finland プログラム 31では蓄積された EHR データやゲノム情報、バイオバンク情
報をプラットフォーム化し個別医療の提供等を促進している。
イギリス(人口 6,703 万人、面積 24 万 km2、GDP4.5 万ドル/人) 32は公立の医療施設が 8 割以上を
占め、GP を窓口としプライマリ・ケアの仕組みが構築され総合的なヘルスケアサービスが提供されて
いる。電子カルテは GP 及び HP とも 99%普及し、政府系機関である NHS Digital が運営する GP と
HP の 1 次利用の医療情報連携基盤 Spine には 95%以上の施設が接続している。代表的な 2 次利
用データベース Clinical Practice Research Datalink(CPRD)には GP が保有する 6000 万人分のデ
ータが匿名化し蓄積され 33、公衆衛生領域の研究や臨床研究等に活用され、バリデーション研究等
も実施されている 34。また、NHS Digital は Spine を基に、GP と HP の限定された範囲のデータを集
27
規制改革実施計画 関連資料集. 内閣府, 令和5年6月16日: 29.
[https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/230616/03_initiatives.pdf]
28
第1回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 資料2-4. 厚生労働省, 令和5年.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36184.html]
29
デンマーク. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/dk/(cited 2023.10.27)]
30
フィンランド. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/fi/(cited 2023.10.27)]
31
Personalized Health Finland.
[https://www.businessfinland.fi/en/for-finnish-customers/services/programs/ended-programs/personalized-health-finland]
32
イギリス. 日本貿易振興機構(JETRO). [https://www.jetro.go.jp/world/europe/uk/basic_01.html(cited 2023.10.27)]
33
Clinical Practice Research Datalink. Medical & Healthcare products Regulatory Agency. [https://cprd.com/(cited 2023.10.27)]
34
令和3年度 医療情報データベース推進コンソーシアム 報告書. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, 令和3年.
[https://www.pmda.go.jp/files/000246182.pdf(cited 2023.10.27)]
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