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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (14 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html
出典情報 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》
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現実的である。つまり、すべてのハザードを想定し、平時にも有事にもスムーズな利用ができる情報
基盤の整備が行われなければならない。さらに有事で利用するためには、堅牢でレジリエントな(回
復力のある)システムが必要である。また、有事の際にはデータにアクセスし易くせざるを得ないが、
その際のサイバー攻撃にも耐えなければならない。さらには、患者・市民が初めての医療施設を利
用する状況が発生するため、本人認証や病歴・薬歴情報の取得、同意取得等に課題が生じる。有
事の原因や状況によっては、健康・医療サービス提供側や情報取扱事業者側にも被害が発生する
可能性が高く、その程度・範囲の予測は困難を極めることを想定しておかねばならない。
これらの解決方法の一つとして、平時から患者・市民側に管理され利用される PHR を中心とした
EHR-PHR 基盤のさらなる整備が有効であろう。政府が 2030 年度までに EHR-PHR 連携を進めるこ
とを含めて構築するとした全国医療情報 PF 構想が、この基盤整備として期待される。複数の医療施
設や患者・市民本人の PHR によるデータの閲覧・活用を含むデータ流通の実現が期待され、まずは
1 次利用(個人の診療・健康保持を目的)であるが、2 次利用も見据えている 60。まさに、平時・有事
にも有効な健康・医療データ活用のインフラと成り得る。
しかしながら現状では、EHR-PHR 連携と言ってもほぼ EHR 側から PHR 側への一方通行に近く、
PHR 側から EHR 側へのライフログを中心とするデータ連携方法は未だにWeb閲覧が中心であり、
十分に考慮されていないこと、有事の際の具体的な標準利用が未検討であること、そもそもスマート
フォンでインターネットを利用する人が約 68.5%と充分ではない 61こと、などが課題として挙げられる。
また、データの 2 次利用の場合には、次世代医療基盤法を活用して PHR を含む全国医療情報 PF
と各種データベース群を連結することなどが期待されるが、認定事業者にデータ提出する参加医療
施設が広がらないこと、特に PHR 事業者の参加は全く進んでいないこと、などが課題として挙げられ
る。
以上より、平時・有事に関わらず機能するインフラとして、全国医療情報 PF 基盤上で機能する標
準的な PHR の迅速かつさらなる機能整備と普及の推進を提言する。
2) 電子カルテ機能の抜本的見直しと標準化
平時・有事に関わらず機能するインフラとして全国医療情報 PF が期待されるがその役割を果たす
には、さらに臨床研究や次世代医療基盤法を用いたデータ活用に有効で高品質なデータが提供さ
れなければならない。そのためには、以下が必要であろう。
複数の医療施設間でデータを正確に 1 次利用する地域医療連携においても、個人に正確な情報
を提供し PHR で活用する場合においても、さらにデータを 2 次利用する際にも、データの品質管理
と標準化は重要である。例えば、現在の電子カルテやレセプトの保険傷病名は精度に課題があり、1
次利用においては医療施設間で流通した際に病態が誤って伝わる等のリスクがあり、2 次利用にお
いては解析結果にも大きく影響する可能性がある。患者の真の病態の記録、つまり診断名の付与は
医師のみができる独占業務であり、真の病態を動的に記録する機能が電子カルテには必要である。
また、保険償還に用いる保険傷病名については ICD-10 を含む標準病名マスターの普及が進んだ
が、それを除いて、ほとんどの医療施設では検体検査結果や薬剤などの標準コードはマッピングさ
れていない。その原因として、標準化のメリットやインセンティブが医療施設にないことや正確なマッ
ピングの支援や認証等の仕組みなど環境が整備されていない点が挙げられる。MID-NET🄬🄬構築の
際にこの問題が露呈した以降も、この課題については解決の兆しが見られない。標準コード付与等
の運用については厚生労働省がさらに主導し、支援や認証のための第三者機関を定め体制が整備
された医療施設に対してインセンティブを付与する、等の対応を行うべきである。
また、全国医療情報 PF 構想の「6 情報」のうち、検査(救急・生活習慣)については、救急領域や
生活習慣病領域の臨床学会が中心となり、診療ガイドラインに用いるような標準的なデータ項目を検
60

健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループとりまとめ. 厚生労働省, 令和5年3月
29日: 5-8. [https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00005.html]
61
令和4年版 情報通信白書 データ集 第3章第8節. 総務省.
[https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf308000.html(cited 2023.10.27)]

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