よむ、つかう、まなぶ。
資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
本
文
1. 本提言の背景
「ビッグデータ」は、実社会に蓄積された多彩なデータ種やデータ項目からなるデータ群をあらわ
し、Real World Data 1とも称される。このような、人が発し人に関連する様々な情報には、医学をはじ
め多くの学術分野の発展のみならず、国民の生活の改善や社会課題の解決、政策の決定、企業等
の利用など、様々な領域への貢献が期待される。新型コロナウイルスのパンデミックを経て、その活
用の機運はさらに高まっている 2。
日本医学会連合は健康・医学領域の全般を網羅する 142 の分科会を擁する。デジタルトランスフ
ォーメーション(以下、DX)時代において、学術的な視点から健康・医療分野におけるビッグデータを
俯瞰し、利活用に存在する価値や危険性について検討し、その利活用を促すことは、日本医学会
連合の使命の一つと考える。元来、健康・医療分野における情報の利活用は、国民の生命と健康を
確保する公益を目的に運用され、営利企業等による活用とは異なる運用やレギュレーションが求め
られる。現行の運用や個人情報保護の法体系は健康・医療分野に適応しておらず、そのことがパン
デミックのような非常時に留まらず、平時においても日本の健康・医療分野における情報の利活用の
障壁となっている。
なお、医療 DX とは、データ活用にとどまらず社会における医療の仕組みや考え方、医療のあり方
そのものが大きく変わることである。健康・医療分野におけるビッグデータ 3は、従来は 1 次利用(本
来のデータ取得の目的のための利用)と 2 次利用(データ取得の目的外利用)に区別し議論される
ことが多かった。これは、健康・医療分野の情報システムが記録重視のシステムとして 1 次利用され、
2 次利用としては蓄積したデータを匿名化したのちに解析し、知識ベースで社会に貢献する時代が
長く続いたからである。しかしながら、既に診療支援や画像診断支援、ロボット手術支援等に人工知
能(以下、AI)が用いられ始めている。パンデミックの影響でオンライン診療など電子化のメリットを享
受しやすくなり、患者の入力データに基づく解析結果が即時にその患者や医療現場へ知識として利
用される時代となり、1 次利用と 2 次利用は表裏一体、不可分となりつつある。データが収集・蓄積す
る 1 次利用を議論から積み残し、2 次利用のみを切り取って論じることは、その意味や意義を矮小
化・歪曲化しかねないため、本提言では1次利用と 2 次利用を過度に区別せず、また健康・医療分
野のデータを生み出す社会の仕組みについても同時に論じ、提言に含めることとした。
国は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下、NDB) 4や DPC 対象病院等のデータ
ベース(以下、DPC) 5、MID-NET🄬🄬 6等の公的なデータベース事業を整備してきた。また、2017 年に
データヘルス改革推進本部を設置し 2022 年に医療 DX 推進本部を創設するなど改革体制を強化
し、健康・医療情報分野の社会基盤の構築を進めている 7。一方、「個人情報保護法」 8、「人を対象と
1
様々なデータソースから日常的に収集される、患者の状態や医療の提供に関連するデータ。RWD のデータソースとは、部門システムを
含めた HIS(病院情報システム)、レセプトデータ(DPC 含む)、特定健診や健診データ、PHR などがある。
2
情報通信白書. 総務省, 平成24年: 153-60. [https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h24.html]
3
大規模健康・医療データ(Large healthcare data)を示す。医療データのみならず保健・介護領域のデータも含む、健康・医療サービス
の現場で日常的に記録・蓄積されている電子的なデータの集合体を指す。
4
社会保障審議会 医療保険部会「2.NDBデータの利活用の更なる促進について」. 第165回. 厚生労働省, 令和5年6月29日.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33914.html]
5
診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)令和3年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について. 中央社
会保険医療協議会, 令和5年3月22日. [https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128164.html]
6
MID-NET(Medical Information Database Network). 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, 2018.
[https://www.pmda.go.jp/safety/mid-net/0001.html (cited 2023.10.24)].
7
医療DX推進本部 副長官補室(厚生労働担当). 内閣官房, 令和4年10月11日.
[https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/index.html(cited 2023.10.24)]
8
個人情報保護に関する法律(平成15年法律第57号, 令和5年6月7日改正).
[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057]
5 / 18
文
1. 本提言の背景
「ビッグデータ」は、実社会に蓄積された多彩なデータ種やデータ項目からなるデータ群をあらわ
し、Real World Data 1とも称される。このような、人が発し人に関連する様々な情報には、医学をはじ
め多くの学術分野の発展のみならず、国民の生活の改善や社会課題の解決、政策の決定、企業等
の利用など、様々な領域への貢献が期待される。新型コロナウイルスのパンデミックを経て、その活
用の機運はさらに高まっている 2。
日本医学会連合は健康・医学領域の全般を網羅する 142 の分科会を擁する。デジタルトランスフ
ォーメーション(以下、DX)時代において、学術的な視点から健康・医療分野におけるビッグデータを
俯瞰し、利活用に存在する価値や危険性について検討し、その利活用を促すことは、日本医学会
連合の使命の一つと考える。元来、健康・医療分野における情報の利活用は、国民の生命と健康を
確保する公益を目的に運用され、営利企業等による活用とは異なる運用やレギュレーションが求め
られる。現行の運用や個人情報保護の法体系は健康・医療分野に適応しておらず、そのことがパン
デミックのような非常時に留まらず、平時においても日本の健康・医療分野における情報の利活用の
障壁となっている。
なお、医療 DX とは、データ活用にとどまらず社会における医療の仕組みや考え方、医療のあり方
そのものが大きく変わることである。健康・医療分野におけるビッグデータ 3は、従来は 1 次利用(本
来のデータ取得の目的のための利用)と 2 次利用(データ取得の目的外利用)に区別し議論される
ことが多かった。これは、健康・医療分野の情報システムが記録重視のシステムとして 1 次利用され、
2 次利用としては蓄積したデータを匿名化したのちに解析し、知識ベースで社会に貢献する時代が
長く続いたからである。しかしながら、既に診療支援や画像診断支援、ロボット手術支援等に人工知
能(以下、AI)が用いられ始めている。パンデミックの影響でオンライン診療など電子化のメリットを享
受しやすくなり、患者の入力データに基づく解析結果が即時にその患者や医療現場へ知識として利
用される時代となり、1 次利用と 2 次利用は表裏一体、不可分となりつつある。データが収集・蓄積す
る 1 次利用を議論から積み残し、2 次利用のみを切り取って論じることは、その意味や意義を矮小
化・歪曲化しかねないため、本提言では1次利用と 2 次利用を過度に区別せず、また健康・医療分
野のデータを生み出す社会の仕組みについても同時に論じ、提言に含めることとした。
国は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下、NDB) 4や DPC 対象病院等のデータ
ベース(以下、DPC) 5、MID-NET🄬🄬 6等の公的なデータベース事業を整備してきた。また、2017 年に
データヘルス改革推進本部を設置し 2022 年に医療 DX 推進本部を創設するなど改革体制を強化
し、健康・医療情報分野の社会基盤の構築を進めている 7。一方、「個人情報保護法」 8、「人を対象と
1
様々なデータソースから日常的に収集される、患者の状態や医療の提供に関連するデータ。RWD のデータソースとは、部門システムを
含めた HIS(病院情報システム)、レセプトデータ(DPC 含む)、特定健診や健診データ、PHR などがある。
2
情報通信白書. 総務省, 平成24年: 153-60. [https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h24.html]
3
大規模健康・医療データ(Large healthcare data)を示す。医療データのみならず保健・介護領域のデータも含む、健康・医療サービス
の現場で日常的に記録・蓄積されている電子的なデータの集合体を指す。
4
社会保障審議会 医療保険部会「2.NDBデータの利活用の更なる促進について」. 第165回. 厚生労働省, 令和5年6月29日.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33914.html]
5
診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)令和3年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について. 中央社
会保険医療協議会, 令和5年3月22日. [https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128164.html]
6
MID-NET(Medical Information Database Network). 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, 2018.
[https://www.pmda.go.jp/safety/mid-net/0001.html (cited 2023.10.24)].
7
医療DX推進本部 副長官補室(厚生労働担当). 内閣官房, 令和4年10月11日.
[https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/index.html(cited 2023.10.24)]
8
個人情報保護に関する法律(平成15年法律第57号, 令和5年6月7日改正).
[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057]
5 / 18