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資料2-9-2 一般社団法人日本医学会連合 健康医療分野におけるビッグデータに関する委員会 御提出資料 (6 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html
出典情報 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》
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する生命科学・医学系研究に関する倫理指針」 9並びに「次世代医療基盤法」 10などの施行や改正を
重ね、倫理的課題への対応も進めてきた。また、臨床学会は Clinical Innovation Network(以下、CIN)
11
をはじめ、積極的に臨床研究体制を構築し、医薬品・医療機器等の開発を促進している。既に、健
康・医療領域の多くの研究者や企業が独自のビッグデータ活用の取組みを始めている。しかしなが
らこれらの活動において、健康・医療分野のビッグデータを利用した研究は、治験等の前向き研究
に比べてデータの品質や研究自由度の低さ、バイアスの管理や同意取得の困難さなどの課題が示
されてきた。その多くに対して様々に対応が試みられてきたが、抜本的な改善には至っておらず、現
状では健康・医療分野のビッグデータを活用した国際的な DX 競争において、その利用目的に応じ
たデータの質の確保や効率性を追い求める上で、盤石と言うにはほど遠い。
以上より、本提言では、健康・医療分野におけるビッグデータの生成や活用のあるべき姿に力点
をおき、その抜本的な改善を促し、日本の健康・医療分野におけるビッグデータの利活用環境を健
全なものとすることを目的とする。それらにより、人口減少に向かう超少子高齢社会時代に質の高い
医療を効率良く提供し、また健康・医療 DX 時代における国際競争に日本が勝ち抜くための基盤が
構築されることを期待する。

2. 健康・医療分野のビッグデータの現状
医療現場が生み出す主要なビッグデータ
医療現場で発生するデータは、レセプト電算システムや電子カルテシステム(以下、電子カルテ)
等の病院情報システムに集積される。電子カルテの導入率(2020 年度)は全体で 50%を超える程度
(大規模病院 91%、一般病院(20 床以上)57%、クリニック 50%未満)で、中小規模施設・クリニック
での普及が進んでいない 12。なお、電子カルテ未導入施設は紙カルテを用いている。一方、レセプト
電算化率(2022 年度)は医科 97%、歯科 92%、調剤 98%であり、電子カルテの導入率に比べ進ん
でいる 13。医療施設の処方情報は約 79%が院外薬局へ提供され 14、また、他の医療施設等へ患者
を紹介する際には診療情報提供書として医療情報の一部が提供されるが、現在は多くが紙媒体に
よる提供である。このように、現在の日本の医療現場は「まだらデジタル化」の状況といえる。これらの
医療施設が生み出す情報をデータベース化する公的な取組みとして、NDB や DPC、MID-NET🄬🄬等
に代表される匿名化された公的データベースがある。
市民や患者が生み出すビッグデータ
近年、スマートフォンなどを用いて、市民や患者が日々の生活の中の運動量や心拍、血圧、体重、
体温、血糖等のライフログにより自らが健康を管理する目的で記録するアプリケーションソフトウェア
(以下、アプリ)が増えてきた。初期は数値を手入力していたが、現在はデバイスからデータを自動的
に直接収集する仕組み「モノのインターネット、Internet of things(以下、IoT)」が普及し、ゲーム要素
も取り入れられ、利用者が増加している。このように、ライフログや医療・健診の情報を保存し、健康
管理に活用する仕組みを Personal Health Record(以下、PHR) 15と呼ぶ。既に、多くの民間事業者に
より普及しつつあり、一般的な健康管理アプリの他に、月経・妊娠管理アプリ、母子健康手帳アプリ、
お薬手帳アプリ、糖尿病管理アプリ等多くの種類のアプリが使用されている。一方で、異なる事業者
9

人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号, 令和5年3月27
日一部改正). [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html]
10
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号, 令和5年5月26日改正).
[https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=429AC0000000028]
11
クリニカル・イノベーション・ネットワーク. 国立国際医療研究センター. [https://cinc.ncgm.go.jp/(cited 2023.10.27)]
12
医療分野の情報化の推進について 医療施設調査. 厚生労働省, 令和2年.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html(cited 2023.10.27)]
13
社会保険診療報酬支払基金 レセプト請求形態別の請求状況(令和2年度). 厚生労働省, 2021年6月10日.
[https://www.ssk.or.jp/smph/tokeijoho/tokeijoho_rezept/tokeijoho_rezept_02.html]
14
平成30年度第8回医薬品医療機器制度部会 資料2.薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方. 厚生労働省, 平成30年11月8日.
[https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000382711.pdf]
15
個々人が自身の医療・健康に関するデータを記録し、それを自分自身が管理するもの。

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